
この仕事はとても大切なので、お客様に失礼のないように。会社員をしたことがある人なら、このようなニュアンスの言葉を上司からかけられたことがあるかと思います。仕事には重要性が高いものと、そうでないものがあるというのが多くの人の共通認識。
でも実際のところ、仕事に重要なものもそうでないものもありません。すべての仕事が重要で、必要のない仕事はひとつもありません。確かに取り返しのつかない、ミスが許されない仕事はあります。でも人間がやっている以上、どんな仕事もミスは起きます。
そしてどんな簡単な仕事でも、それがなければ会社は上手く回りません。だから、どの仕事も集中して、丁寧かつ迅速に行う必要があります。日雇い派遣で働いていると、「丁寧」ができていない人が多いことに気付かされます。仕事が早い人はいくらでもいますが、かなり雑な仕事になります。
困ったことに、正社員がそれを注意しないことも多々あり、結果的にその作業がやり直しになるなんてことも珍しくありません。そうなると「所詮は派遣」みたいな評価になり、派遣に期待されなくなる。結果的に時給も上がらず、雑な仕事を続けた自分を自分が苦しめることになります。
私はこの世界で重要なことは「生きる」ことだけだと思っています。何があっても生きるという強い意志、それ以外はすべて等しいというのが私のスタンス。少し前のブログでも書きましたが、たとえば世の中の職種に「これが重要」というものはないと思っています。
総理大臣も日雇い派遣も、やる仕事の内容が違うだけ。もちろん人に与える影響力は違いますが、影響力が少ないからといって日雇い派遣の仕事は手を抜いていいかというと、もちろんそんなわけはありません。どちらもベストを尽くすという意味で「同じ」なわけです。
ちなみに、愛媛マラソンでいい走りができなくても大したことはありません。別にそこで私の人生が終わるわけでもないし、思うような結果が出なかったという経験を積むことはできたわけです。だから、私にとって優先順位は高く設定していますが、順位がどこでひっくり返るかはわかりません。
私にとって大切な人を助けるためなら、愛媛マラソンを白紙にすることだって厭いません。そんな大切な人を助けるということも、別の何かに優先順位を取って代わられる可能性もあります。朝令暮改。人生で優先すべきことはその時々で変わっていきます。
でも「本質的に重要なこと」は基本的には変わりません。重要なことが変わるのは、自分の中で人生観が変わるような天変地異が起きたときだけ。ちなみに、重要でないことは、必ずしも「どうでもいいこと」ではありません。オリンピックをすごいと感じるけど、草サッカーや草野球も同じように楽しく感じるという話。
優劣がないと言ったほうが伝わるでしょうか。東の病気の子も、南の死にそうな人も私にとっては同じ。ただ、同時に起きた場合には、片方しか会いに行くことはできず、優先順位を決めなくてはいけない。どちらのほうが私を必要としているか、私が役に立てるかを考えて、どちらに行くかを決めるわけです。
実際には先に連絡があったほう、先に状況を知って「会いに行こう」と決めた方に行くんですけどね。私にとってはみんなフラットだから、先に約束したほうを優先する。少なくとも「この人のほうが偉いから」みたいな基準はありません。そもそも私には「偉い」という価値観もありませんし。
八百万の神様さえも偉いと思っていないわけで、人間ごときに優劣なんてあるわけがない。人間にあるのは個性だけ。誰かが決めた価値観で優劣を決めるというのは、可能性を狭めているようでもったいないじゃないですか。仕事ができない、スポーツが不得意、だからどうしたというのでしょう。そんなことで人の価値が下がるようなことはありません。