暑さへの耐性:暑さに強いから大丈夫ということはない理由

倉庫仕事の残業とポイント練習により、体のあちこちが筋肉痛になっています。そもそもポイント練習前も体が重かったのですが、想定以上に走れたことを考えると、疲労そのものは思ったほどないのかもしれません。ただ痛みがあるだけの状態です。

痛みの感じ方というのは個人差があります。かすり傷で泣き叫ぶ人もいれば、深い傷でも平気な顔をしている人もいます。蚊に刺されたときに、耐えられなくなって皮膚を掻いてしまう人もいれば、「どうせ一時的なものだから」と無視できてしまう人もいます。

この個人差というのが厄介で、「あの人ができるなら自分もできる」なんて、間違った判断につながることが多々あります。その代表的なものが「暑さ」です。暑さの感じ方も痛みと同じように個人差があります。ただ、痛みと違って、暑さに強い人ほど評価される傾向にあります。


また、暑さは慣れもあり、普段から暑いところで作業している人は暑さに対して適応しており、周りから見ると「暑さに強い人」という印象になります。暑熱順化という言葉がありますが、私は専門家ではないので、その理屈はわかりません。慣れとどう違うのかも知りません。

結局のところ人間は環境に慣れる生き物で、そして感覚には個人差があるのは確実です。ただ、メンタルとして耐えられるのと、人間の体の機能として耐えられるのは違います。さらに、人間の体の物理的特性によって耐えられる限界もあります。

慣れというのは2つの面があり、単純に気持ちの部分、すなわちメンタルとして「慣れる」ことがあります。これはランナーに限らず、人間としてとても重要な能力で、かなり厳しい環境でも、1度経験していると、2度目はそこまで厳しさを感じなくなります。


そして体の機能としても慣れがあります。夏の暑さでいえば、1度暑さを経験することで、汗をかきやすくなることがわかっています。汗をかいて体を冷やそうとするわけですが、これは体が勝手にやっていることなのですが、どれくらい汗をかくようになるかとか、どのタイミングで汗をかくかとかは個人差があります。

これは人間の体の機能の限界とも関係します。汗を使って体を冷やすことはできますが、人間の体内で水分を作れるわけではないので、いくら暑さに適応できても、体重の2%を超えての発汗は人体を危険な状態にします。どこで危険になるかも個人差がありますが、共通しているのはすべての人に限界があるということです。

すべての人に限界があるという意味では、やはり体の物理的特性も無視できません。これはいつも言っていることですが、私たちの体はタンパク質でできていて、タンパク質としての性質はすべての人に共通しています。タンパク質の変性温度については、42℃とか45℃とか言われています。


42℃か45℃か、いま調べる余裕がないのでそこはいずれ勉強しますが、いずれにしても変性する温度になれば、オリンピアンでも新生児でも、等しくタンパク質が変性し、元には戻らなくなります。これは暑さに強いとか弱いとかは関係ありません。

ただ、人間の体は危険を回避するようにできており、本来は変性する前の段階で運動を停止するようにできています。ところが「自分は暑さに強い」というメンタルで乗り切ろうとして、取り返しがつかない状態になるわけです。一見すると無事のように見えても、体内はすでにボロボロということだって考えられます。

ちなみに強烈な紫外線は皮膚がんのリスクを高めます。紫外線は目の病気も引き起こします。何度も言いますが、30℃を超える気温の中を走ることに意味はありません。自分は大丈夫と思っていても、体が壊れてしまう可能性があります。そのことをしっかりと頭に入れたうえで炎天下を走るなら自由ですが、私はそれを過信だと思います。

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