学生バイト:経験不足によるミスマッチ

学生が夏休みに入ったことで、フルキャストを使ってバイトをし始めた学生さんが増えてきました。48歳になって学生と同じ仕事をしていると思うと、なんとも不思議な感じがするのですが、日雇い派遣なんて基本的に誰にでもできる仕事なので、当然といえば当然です。

ただ、私がメインで通っている職場のうち2つは、学生だと対応が難しい職場で、ほとんどの人が1回で辞めてしまいます。そもそも8時間の立ち仕事というのは、誰にとっても最初は厳しいものなのですが、経験の少ない学生だと「慣れれば大丈夫」という感覚がないため、「自分には無理」となります。

そして、作業そのものは誰にでもできても、周りの人たちは自分で考えて、それも驚くべきテンポで仕事をこなしていきます。しかも、きちんと他の人と連携を取りながら。社会に出たことのない人にとっては、目の前で起きていることを理解できないはずです。


私がよく行く職場のひとつに食品会社があるのですが、そこのおばちゃんたちの仕事ぶりは、それなりの社会人経験がある私でも学ぶことがたくさんありますし、力量の差を毎回感じることになります。アルバイトをほとんど経験したことのない学生が来たら、圧倒されてしまいます。

学生の方が体力はあるから、仕事を覚えたら学生の方が役立つという考えもありますが、経験が浅い学生はペース配分ができません。周りについていこうとして最初から全力を出し、午前中でへばって早退することも珍しくありません。若くして、いい仕事ができる人を私はまだ出会ったことがありません。

もちろん器用な人はいます。ひとつの作業だけに焦点を合わせたら、できる人はいくらでもいます。でも、それだけでは仕事にはなりません。勘違いしないで欲しいのですが、学生を非難しているわけではありません。学生と日雇い派遣の相性が良くないというお話です。


日雇い派遣とはいえ、そこはビジネスの世界です。学生だからという理由で大目に見てもらえることはありませんし、時給に見合った成果は求められます。でも、経験値が低いのもあって、手取り足取り教えなくてはいけませんし、それでいて次はないからロスになります。

学生なら接客業などもっと学生に向いたアルバイトをすればいいと思うのですが、そもそも接客が苦手という若者も以前より多いのかもしれません。日雇い派遣の仕事なら黙々と与えられた仕事を続ければいいので、内向的な人でも無理なく稼げそうな気がするのは理解できます。

でも、黙々と同じ作業を繰り返す仕事の多くは、とんでもないスピードを求めまれます。スピードを求められない職場ならパワーが必要になります。どちらも必要のない職場もありますが、キビキビ働かない人は評価が下がり、次からは働かせてもらえないこともあります。


よい経験にはなると思います。頑張って1ヶ月続けられたら、他の学生にはない大きな何かを手にすることもできます。でも、1ヶ月は続きません。これは大きすぎるミスマッチで、もったいないことだと思うのですが、私に何ができるわけではないので、ただ「思う」だけ。

単純作業であっても、やはり経験や知識があるほうがスムーズに仕事を進めることができ、派遣先に重宝してもらえるようになります。大事なのはそのレベルになるまで、継続できるかどうか。そして、現実としては続かないわけです。ものすごく疲れるし、自分の力のなさを直視させられることになるので。

そんな職場で私は楽しく働いているわけですが、それができるのもたくさんの経験を積んできたから。これまでの積み重ねがあってのいまの自分だということを強く感じています。どんな仕事だって無駄なことはなく、きちんと今につながっているんだと、フレッシュな学生を見ていて思うわけです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次