先日、あるイベントで、ランニングのあとにサウナに入るというイベントがあり、昨日も別のイベントでランニングのあとに銭湯に入って、仕上げにビールなんてことをしたのですが、どちらも驚くほど気持ちよく、そのためだけに走る企画をしようかと検討しているほど。
特に昨日のイベントは、朝からパーソナルトレーニングをして、中国ビザを取りに行ってと、いろいろやったあとに、とんでもないランニングシューズを履かせてもらった高揚もあり、クタクタなのに気分が舞い上がっていたというのもあります。やっぱりお風呂はいいですね。
そういえば、北海道では万葉の湯に泊まったのですが、ここ数年入った温泉の中でピカイチでした。湯船に浸かった瞬間に声が漏れてしまうほど。札幌の夜景が遠くに見えて、朝風呂は朝日を浴びながら。最高に満足したので、多分これから何度も使うことになると思います。ゲストハウスに泊まってる場合じゃありません。
そんな感じで、最近外のお風呂がお気に入りなんですが、ちょっと「?」となる発言を立て続けに聞いたので、ここに書いておきます。それはサウナのあとの水風呂や交代浴が疲労回復効果があるというようなことを、影響力のある人が当たり前のように発言していたことです。
サウナや交代浴で疲労回復するかどうかというのは、かなり難しい話になります。ある論文では効果がないとしていますし、ある論文では効果があるとしており、どれくらい冷水に体をつけるのかなどのノウハウも求められるため、安易に「疲労回復する」と発言するのは危険です。
たしかに冷水に体をつけると乳酸値が下がるので、疲労を感じなくはなります。でも負荷を受けた筋肉や筋が元に戻っているわけではありません。なくなるのはあくまでも疲労感で、疲労ではありません。血流がよくなって老廃物が除去されたり、筋肉に血液を送りやすくなるとも言われていますが、ランニングの場合は目に見えて改善するわけではありません。
たとえば短距離走で2回のレースの間に体を冷やしたり、サッカーなどの球技でハーフタイムに体を冷やすと、効果があるとされています。ただ、基本的には疲労感が薄れることが最大の効果であり、その状態で運動するとより多くの疲労を抱えることになります。
ところがサウナや交代浴の話は、トップアスリートでさえ信じています。なぜなら乳酸値が下がって、疲労感が抜けるから。だから「エビデンスは?」とか「論文はあるの?」って聞くと、「自分で実感している」と反論されます。
では、サウナや交代浴をしなかったときと比べてパフォーマンスがどれだけ変わったか、数字で示せるのかというと、そんなことはありません。なぜなら、サウナや交代浴を使っても劇的に疲労回復するわけではないから。あくまでも感覚で話しているだけ。
誤解しないで欲しいのですが、別にサウナや交代浴を否定や批判しているわけではありません。好きならやればいいし、苦手ならしなくてもいい。ただそれだけのことで、やるべき理由に真実でないこと、エビデンスのないことを語らないほうがいいと伝えたいだけです。
かつて、ランニングの前にストレッチが大切みたいなことが当たり前のように言われてましたが、今では「静的ストレッチはNGで動的ストレッチは効果がある」に変わっています。エビデンスもなく、みんなストレッチをやっていたわけです。パフォーマンスが下がるとも知らずに。
大事なのは常識を鵜呑みにしないこと。あらゆることに対して「ホンマか?」の気持ちを持ち、自分で調べること。少なくとも発信する側の人間にはその責任があると思うのですが、現実はそうではないので、発信しない人も著名人の言葉だからと鵜呑みにしないように心がけてください。