コンプライアンス:守る意識がそもそも間違っているという話

アルバイトやライティングなどさまざまな仕事をしていると、同じ職場などどこにもないことに気づきます。当たり前だと思うかもしれませんが、本当にそれぞれの会社に個性があって、同じ業種でも若くてエネルギーに溢れている職場もあれば、ルールでがんじがらめになっている職場もあります。

昨今はコンプライアンスの遵守が厳しくなっていますが、少なくとも私が知る限り、コンプライアンス遵守を重視している会社ほど堅実になり、反対に自由な発想で新しいことに挑戦している会社ほど、コンプライアンスを軽視する傾向にあります。日本人の特性によるものなのか、それとも世界的にそうなのかはわかりません。

理想はコンプライアンスを遵守しながらも、自由にのびのびと働ける環境なのですが、この2つを両立させるのはとても難しく、日本人のメンタルだと自己矛盾を生み出してしまうのかもしれません。だから、それぞれの会社の経営陣がそのバランスを上手く舵取りし、会社の色を作っていくわけです。


個人的にはコンプライアンス遵守を重視している会社はあまり得意ではありません。それはコンプライアンスを無視していいと言っているのではなく、コンプライアンスなんていうものは、意識しなくても自然に守れるものだと思っているからです。それは意識してやることではないからです。

機械設計のような硬めの仕事をしていると、何も言わなくてもコンプライアンスを守る人が多く、少なくとも若手になるほど違法行為やズルを嫌う傾向にあり、上司がコンプライアンス違反をほのめかしたり、求めてきたりして、若者が嫌気を指して辞めていきます。

社会とはそういうものだと思っていたのですが、付き合いのある会社のひとつに、「ちょっとそらはまずくないか」と思うようなコンプライアンス軽んじるような行動が目立つ会社があり、その会社では若手ほどそのような傾向にあり、コンプライアンス違反をするのは上司ばかりではないのだと新鮮な驚きがありました。


面白いのは、そのような会社ほど勢いがあって、どんどんシェアを広げているように感じるということ。人を縛るものは目に見えるものも、そうでないものも発想を制限し、できるだけ自由に働けるほうが、個人も組織も可能性が広がっていくのかもしれません。

ただ、コンプライアンス軽視はどこかで必ず問題を起こします。バレない嘘がないように、表沙汰にならないコンプライアンス違反はありません。ここが本当に会社経営の難しいところで、イケイケどんどんで天下を取れるほど甘くなく、結局のところ生き残るのはルールを守ってコツコツ積み重ねている会社です。

ただ、そのような会社も設立したばかりの段階では、イケイケどんどんの会社に潰されてしまうこともあります。だから、最初は勢いよく立ち上げて、社会の目につくようになってきたら整えていくというスタイルの変化が求められます。私が社会人になって入ったアルプス技研がそのような感じでした。


勢いに乗って成長し、上場するタイミングでコンプライアンスを重視したり、評価方法を変えたりと、「きちんとした会社」になるように整えていったわけです。私はそれに耐えきれなくて辞めましたが、会社が間違っていたとは思っていません。シンプルに私には合わなかっただけ。

もっとパワハラをするような上司が「コンプライアンス」を唱えることにイラついたりはしましたが。ただ、コンプライアンス遵守を掲げないと、平気な顔をして違反する人もいるのが現実で、むしろそのような人の方が多数派なのかもしれません。そして今の私はそれをよいとは思っていません。

清く正しく美しくなんてことは言いません。ただ、せめて社会に迷惑をかけないことをベースにしている人たちと仕事をしたいものです。そしてその意識が抜けている人や組織とは距離を置いていかなくてはいけません。それができるのがフリーランスの数少ないメリットのひとつなので。

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