
ビジネスマナーというものがあります。おそらくビジネスマナー検定でもあったら(実際にあるような気もしますが)、私はかなり低評価になるはずです。エンジニア育ちということもあって、お客さんの前に行くことはほとんどなく、ビジネスマナーを教えてくれる人も周りにいませんでした。
ただ、ビジネスマナーを知らないことで困ったことはありません。何億円にもなるような契約を結ぶことはありませんでしたし、これからもないはずです。そういう場で「あいつのビジネスマナーがなってないから」と、契約を拒否されるシーンがないわけです。
ビジネスマナーはともかく、人生のマナーくらいは知っておいても損はないかなと思うことはあります。もし、何かの間違いで天皇家にお呼ばれしたときに、最低限のマナーを知らずに、不敬をはたらくようなことのない程度のマナーは、日本人として身につけておくべきかなと。
本当はそういうときにも、「教養がないもので」と、言えるほうがかっこいいと思うのですが、そもそも私はそういうタイプの人間でもおりません。腰は低ければ低いほどいいと思っていますし、周りの人に不快な思いをさせたくないという気持ちが強いので、マナーは大切だなと。
マナーはありませんが、常識はそれなりにあります。仕事で指示をされたときに「はい」と返事する。これは私にとっては常識なのですが、意外と世の中の人はそれができていません。フルキャストで働いていると、数名グループで仕事をしていても、返事をするのは私だけ。
人間関係の基本中の基本だから返事をしているのですが、当然のように私だけ浮いてしまいます。そこは気にしません。声を出すというのは私のアイデンティティのようなもので、周りにどう思われようとブレない部分、ブレさせたくない部分。誰よりも大きな声で元気よく。
基本的に挨拶と返事だけしっかりしていれば、営業職でもない限り大体なんとかなります。あまりクライアントに会わない技術職とはいえ、年に数回はお客さんのところに行きます。そこで、自分の言葉で語るようにしていれば、怪訝な顔をされることもありません。
ただ、それが許されるのもハキハキと話すようにしているのと、心を開いておくことが大前提。要はフレンドリーな関係になってしまえるかどうか。私はそうやってきたので、やはりビジネスマナーをきちんとやってきた人からすれば、とんでもない行動なのかもしれませんが。
「はい」のひと言が言えるかどうか。派遣などで働く場合には、運命の分かれ道なんだと思います。そういえば、駒澤大学陸上競技部の寮に取材に行ったとき、挨拶をきちんとするように、徹底した教育がされていました。国士舘大学のときもそうでした。
そういう学生は、陸上選手として食べていけなくても、きっとどの職場に行っても可愛がってもらえます。ちょっとやり過ぎなところもなきにしもあらずですが、まあ教えている人が昭和の人たちですから、昭和の体育会系っぽくなるのは仕方ありません。
次のステップとして、フレンドリーに人と接することができれば理想ですが、別に私が預かっている子でもありませんし、余計なお世話でしょうから細かいことは言いません。ただ自分はその方向性でこれからも行くつもりです。人間はみんな平等であり、その上で自分は半歩下がるスタンス。
半歩下がるけど謙らない。こうやって文章にするとなかなか高度なことをしているような気がするのですが、別に頭で考えてやっていることではありません。そう考えると、私を育ててくれた人たちに感謝しかありません。そういう人たちがいて、私はいま気持ちよく働けているのですから。
