大阪万博1万円の荷物預かり:否定ではなくポジティブに考える

奇策というものは弱者の戦略であり、何度も使えるものではありません。奇策を仕掛けると知られてしまうと、相手がそれを警戒しますし、信頼も失っていくためです。戦国時代の戦で奇策を逆手にとって罠にかけるという話(作り話かもしれませんが)もあり、もちろんリスクもあります。

もちろん、そんなことは偉い人なら重々承知なのだと思います。だから奇策は、ここ1番というときだけ使います。それもかなり立場が弱いときにです。ところが大阪万博は意外なところでそのカードを切ってきました。それが大型荷物の預かり1万円というサービス。

実際にはサービスではなく、キャリーケースなどの持ち込みを抑止するための策なわけですが、だからこその奇策になります。正攻法であれば、大型荷物の持ち込みは禁止であるというアナウンスを徹底するだけでいいわけですが、それではインパクトがありません。


結果的に「聞いていない」と反発して、現場でトラブルになるのは目に見えています。だから、「大型荷物の預かりは1万円」というインパクトのある発信をして、それにより持ち込みを禁止することをアピールしたわけです。「高くて誰も使わない」という声は、まさに運営の思い通りなわけです。

それでも、キャリーケースなどを持ってくる外国人の方もいるわけで、そのような人たちを門前払いするわけにもいきませんので、200個限定で預かれる体制も整えています。仮に200人が利用したら1日200万円の売り上げになります。期間が184日ありますので、3億6,800万円の売り上げになります。

いやいや、その金額では200人も預けないって思うかもしれませんが、1日15万人も訪れる予想となっています。そのうち外国人が1割だったとして、1.5万人の訪日客がいて、当然のことながら富裕層も含まれます。彼らは数十万円の予算で日本に来ます。1万円増えたところでという話です。

おそらく、預けるのは家族が多いでしょうから、数個預ける可能性だってあります。そう考えると、200個限定というのは「足りない」となる可能性もあります。円安と日本の物価を考えれば、私たちの5,000円くらいの感覚で預けることができるので。

ただ、すべては蓋を開けてみないとわかりません。大事なのは荷物預かりに1万円ということにケチをつけたり、自分の意見を述べることではなく、ビジネスチャンスと考えられるかどうかです。大型荷物を預けられず困る人が出てくるわけで、誰かの「困った」は必ずビジネスになります。

シンプルなのは荷物預かりサービスをすることですが、おそらく会場近くでは規制されるので現実的ではありません。桜島駅と弁天町駅も預かり所を作るそうなのでNG。ただ、他の乗り継ぎ駅などであればコインロッカーも埋まり、預かりサービスも上手くいくかもしれません。


ただ、こういう時こそ「奇策」なわけです。正攻法で攻めるのではなく、意外なアイデアで勝負する。もしくは、荷物預かりには直接関係ないところで儲けの仕組みを作る。少なくとも、急激な円高に触れなければインバウンドは期待できるわけです。だから外国人向けのサービスでもいい。

このニュースを見て、「この期間はさらに外国人が増える」と受け取った人であれば、さまざまなサービスを思いつくはずです。反対に「1万円なんて高すぎる」と文句を言うだけの人が、何かを得ることはありません。でも、ほとんどの人が後者になります。

それでいて、大阪万博関係で儲ける人たちを羨んだり妬んだりする。未来を決めるのはいつだって自分の思考です。大阪万博に対してネガティブな感情を抱くのではなく、むしろどんなニュースもポジティブに受け止め、自分にできることを考えましょう。

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