中国人の日本短期滞在ビザ:ノービザではない理由

今年の11月から、日本人が中国へ行くときの短期滞在ビザ(観光ビザ)が不要になりました。不要になったというよりは、もとに戻っただけですが、この交渉はかなり難航したようで、一説によると「中国人もノービザで」という話も出たとか。

正直なところ、中国人がノービザで日本に入国するというのは「ない」と思っていました。それはノービザになって欲しくないという話ではなく(むしろ両国ノービザが私のスタンス)、日本政府も中国政府もそれを望んでいないということです。

日本政府は中国人のノービザを認めると、まず宿泊施設が足りなくてオーバーツーリズムの問題が発生します。さらに、国境での緊張状態が高まっている状態で、フリーで受け入れるなんてことはリスク管理の状態からも、容易には受け入れられません。


何よりも、国民感情の問題があります。日本では中国人に対する表立ったヘイトはありませんが、いまだに中国人に対して快く思っていない人たちが一定数います。しかも日本では外国人のトラブルが増えており、ノービザなんて決めたら、内閣がひっくり返る大騒ぎになります。

一方で、中国政府もノービザを望んでいないというのが私の見解です。なぜなら、国民を管理しきれなくなるから。中国は自由さと徹底した管理が同居する国です。それが自由に日本に行けるとなると、困ったことが起きます。日本に滞在している間は、管理しきれなくなるわけです。

もちろん、大多数の中国人は何事もなく戻ってきます。でも、政府として危険分子になる人も、そこに含まれてしまう可能性を否定することはできません。それは、清時代の終わりに実際に両国の間で起きたことで、国父・孫文は何度も日本に亡命しています。

ノービザで日本に行けるということは、中国の知識層や富裕層にとって、日本は潜在的な亡命先になります。少しずつ資産を動かされるようなこともありますし、日本に何度も滞在して、民主主義という危険思想を崇拝する可能性だってあります。

何よりも、管理できていないという状態そなものを中国政府は嫌います。だから、「日本人をノービザで受け入れる代わりに中国人もノービザで」とはならないわけです。ただ、何もしていないわけはありません。コロナ禍明けに日本だけ短期滞在でもビザが必要だった期間が長かったのは、間違いなく交渉があったからです。

何が交渉材料だったのかはわかりませんでしたが、中国人の短期滞在ビザ発給要件を緩和へという記事がYahooニュースに掲載されていましたので、ここが着地点だったのでしょう。私たちに影響が大きいのが「団体観光ビザの滞在可能日数が15日から30日に延長される」ことでしょう。


30日も観光で滞在する人は限られていますが、それが観光を装った別の目的のツアーであった場合、30日間日本に滞在することも考えられます。たとえば日本の不動産購入や日本でのビジネスの拠点作りなどを目的に30日滞在する人が出てきます。

私の予想を遥かに上回る理由で滞在する人も出てくるはずです。ビザ発給要件が緩和されると、おそらく滞在している中国人のトラブルが増えることになります。それがテレビニュースなどで取り上げられ、「だから中国人は」なんてヘイトにも繋がります。

日中交流が目的のノービザや発給要件の緩和なのに、両国の関係が悪化する未来だって考えられます。そこをどう乗り切るのか、そして個人的にこの波にどう乗るのかを考えています。何かが大きく変わるとき、そこにはチャンスが落ちていますから。

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