東北・みやぎ復興マラソン:大会終了は終わりの始まりか

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マラソン大会はそろそろ限界にきている。物価が高騰したのもあり、大会の参加費が1.5万円近くすることも珍しくなくなりました。あらゆる物の値段が上がっているわけで、マラソン大会だけ据え置きというわけにはいきません。ただ、ランナーにとっては出場へのハードルが高くなります。

1年間に3大会出ていた人は2大会に絞るかもしれません。少なくとも、参加費が上がることが参加者増につながることはありません。しかもランニングシューズも高騰しています。本来なら、お金をかけずに楽しめる趣味のはずが、マラソンを走るとなるとちょっとしたブルジョワの遊びになります。

それに加えてコロナ禍で、「マラソン大会を走らなくてもいいかな」と考える層が増えています。その結果、多くのマラソン大会で定員割れが起きています。定員割れすると、当然スポンサーも付きにくくなるか、スポンサー料が減額されます。スポンサーも遊びでやっているわけではないので。


スポンサー収入が減ると大会側は予算が足りなくなってしまいます。だから、そろそろ手を引く大会が出てくるというのが私の予想でした。ただ、これは資金力が影響する話なので、東京マラソンや大阪マラソンのような大規模大会は、そう簡単には撤退しないと考えています。

東京マラソンにいたっては、経済効果が大きいため、東京都の支出は東京マラソン開催による税収増で取り戻せるはずです。だから大きな大会は生き残ると思っていたら、コロナ禍以降、最も勢いがあった大会と言っても過言ではない「東北・みやぎ復興マラソン」が終了宣言をしました。

青天の霹靂とはこのこと。フジテレビ系列の仙台放送が主催の大会で、復興という大義名分を掲げていたのに、志半ばで終わってしまう。関係者は本当に悔しいとは思いますが、これが今のマラソン大会の現実でもあります。

正直なところ、東北・みやぎ復興マラソンは、大会を盛り上げるのにお金を使いすぎた感はあります。多くの芸能人をゲストランナーとして呼び、広告やCMにも力を入れて、東北一のマラソン大会であることをアピールしてきましたが、そこには当然お金がかかります。

だから東京マラソンも、芸能人をたくさん走らせるということをしなくなりました。芸能人の大物ゲストランナーは話題性は上がりますが、費用対効果がよくありません。もしかしたら東北・みやぎ復興マラソンのゲストランナーは、復興支援のために無料で大会に参加しているのかもしれませんが。

これからのマラソン大会のあり方として可能性があるのは2つ。ひとつは参加費を2万円以上にしてそれに見合う大会にする。もうひとつは自治体が「市民の健康促進」を掲げて、税金を活用して開催する。前者はおそらくランナー離れが進みます。


後者は小さな大会を目指せば成立はします。参加賞のTシャツをやめて地産のものを参加賞とする。完走メダルも出さない。そして完走証は紙で発行する。最近はデジタル完走証が主流になっていますが、どれだけコストダウンになるのだろうと疑問に感じています。

私は別に紙の完走証を望んではいませんが、ランナーの中には、一定数の「完走証は紙でもらいたい」人たちがいます。もし高橋尚子さんのような人気のゲストランナーを呼ぶなら、100枚に1枚の割合でゲストランナーのサイン入りにするというのもありです。

小さな大会にするならゲストランナーは必要なく、市長が走ればそれで十分なのですが。とはいえ、マラソン大会の開催はどうしてもお金がかかります。開催することで困る人たちもいます。今回の東北・みやぎ復興マラソンの終了を受けて、撤退を検討する大会が増えていくのかもしれません。

著:テリー植田
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