プロの仕事:百発百中に憧れる器用貧乏が目指すところ

ランニングの情報発信をはじめてから、年間で世の中のランニング熱がどれくらい高まっているのか、注目度がどれくらい下がっているのかを肌で感じるようになりました。夏場は走る人がいないので、RUNNING STREET 365のアクセスも減りますし、プレスリリースも少なくなります。

もっとも盛り上がるのが東京マラソン前で、まさにこの時期は紹介記事の依頼や新製品の発表などが重なり、目がまわるほど忙しくなります。今年は大阪マラソンの取材をしないので、少し時間に余裕がありますが、これでこの連休に大阪入りしていたら、スケジュールが完全に破綻していました。

大阪マラソンから東京マラソンへと続くことが、マラソン熱をさらに高める要因になっています。しかも翌週には名古屋ウィメンズマラソンもあります。いずれもマラソン大会の中では「花形」に位置付けされる大会で、多くのランナーが目標としています。


ただ、その中でも東京マラソンは飛び抜けた存在になっています。多くのメーカーが東京マラソンに合わせて製品発表を行い、機運に乗ろうとしており、それがさらに盛り上がりを生み出す好循環。やや、バブル気味かなと感じるほどですが、情報発信をする者としてはありがたいことです。

そんな東京マラソンがいよいよ次の日曜日に開催されますが、今年は正式に取材申請しており、絶好のスポットで撮影できます。ただ、1メディアあたりの撮影スポット数に限りがあるため、勝手に記事にしていたときとは撮れる写真のパターンに限界があり、かなり工夫をしなくてはいけません。

とはいえ、RUNNING STREET 365のレポート記事は基本的にフォーマットを固定していて、写真を10枚以上使うことはまずありません。10カットなら、ひとつの場所で3〜4カットになり、必要のない写真を撮らずに済むと考えることもできます。

取材に行くと、ひとつの大会で500枚以上撮ることが多々あります。動いている人が対象なので、私の腕ではどうしてもピントを合わせきれなかったり、タイミングが合わなかったりします。それをシャッター回数で補うわけで、これではいつまで経っても撮影が上手くなりません。

9枚の写真が必要なら、シャッター回数は9回というのが理想。それがプロの仕事だと思っているのですが、おそらく今どきはプロも連写しているのだと思います。デジタルの時代ですから、必要かどうかは後で選別すればいいわけです。ただ、私の理想はやはり無駄のなさ。

必要な枚数を撮ったら、あとは何を書くべきかを考えながらランナーや応援者、スタッフを観察する。そうすることで、記事に深みを出せるようになります。たくさんシャッターを押しているということは、それだけ大会を見えていないわけです。私はカメラマンではなく物書きですから、大事なのは現場を見ることです。


とはいえ、最近はひとつのことしかできない専門家はすぐに切り捨てられます。むしろ、何でもそこそこの器用貧乏と揶揄されていた人が重宝される時代。「これしかできない」も突き詰めていけば、常人では辿り着けない領域に入れます。でも、時代がそれを求めていません。

私はライターであり、カメラマンであり、パーソナルトレーナーです。ときどきはWebサイトの立ち上げもしています。最近はデザイナーの仕事もできるようにと、デザインの勉強もはじめました。とにかく何でもやってみるから、どれも突き抜けていきません。

ただ、どの分野でも目指すのはトップレベル。これはランニングだって同じ(でした)。いつも視線だけは頂点を見つめている。そうすれば、スキルはとにかく中途半端な仕事をすることはありません。だから、なんでもできるというのもプロとしての働き方のひとつなのかなと、最近になって、少しだけ自分に甘い考えを持つようになっています。

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