
何のために働くのか。社会人1年目に多くの若者が抱える疑問のひとつ。「何のために生きるのか」と同じくらい難解な問いであり、多くの若者は日々の仕事に忙殺されていき、その疑問について考えることをやめてしまいます。そして定年間際になって「俺は何のために……」となってしまいます。
この問いに正解はありません。人によっては「家族を守るため」であり、人によっては「夢を叶えるため」だったりまします。働かないと食べていけないから働いているだけの人も少なくありません。大人はちゃんとしているようで、意外とちゃんとしていないものです。
では私は何のために働くのか。私にもはっきりとした理由はありません。生活をしていくことは大切ですが、私が働く理由はそれだけではありません。生活をしていくだけなら大人しく会社員としてエンジニアをやっていました。でも私はそこに満足できなかったわけです。
いや、満足していなかったことは今だからわかることで、会社を辞めるときにはもっと短絡的な理由でした。ただ、こうやってフリーランスとして働くようになって分かったのは、ずっと繋がりを求めてきたのだと思います。できるだけ多くの人と繋がり、刺激を受ける。
例えばRUNWAYのパーソナルトレーニングはかなり低料金に設定していますが、そうすることで利用しやすくなって、新しい繋がりが生まれることを期待している部分もあります。ビジネスだけを考えれば値段設定を大きくミスしていますが、たくさん稼ぐことが働く理由ではないので。
人生においてお金はとても大切です。でも三途の川を渡るのに必要なのは六文銭だけ。その他の資産はひとつも持っていけません。そして、私たちはいずれ消えてしまいます。お金に余裕がある絢爛豪華な生活で繋がりが少ない人生よりも、霞を食べながらでも人と繋がる人生がいい。
それはあくまでも私のスタンスであり、人によっては真逆の人生を選びます。その場合は、当然のことながら働く理由が別のものになります。それが良いか悪いかという話ではなく、働く理由で悩んだら、どう生きたいかを考えることが大事だということを若い人に伝えたいという話です。
経験が浅いとどう生きたいかをイメージすることが難しいかもしれませんが、だからといって思考を停止すると歳を重ねてから後悔することになります。どう生きたいかなんて後でいくらでも方向修正できます。いま、どうありたいのかを考えて、そのために何をすべきかを探すこと。
家族と穏やかに暮らしたいなら、目の前の仕事をしっかりこなしつつ、将来の転職やリストラに備えて資格を取得したり、手に職をつけるためのダブルワークをしたりする。独立して自分のビジネスを立ち上げたいなら、いま勤めている会社のビジネスについて、徹底して勉強する。
いずれにしても、大事なのは「真剣に働く」ということです。やりたかった仕事と違うとか、上司が厳しいとか、そんな考えはすべて手放して、目の前にある仕事を誰よりも完璧に、圧倒的にこなせるようになることを目指す。それができれば、大抵の目標は叶います。
個人的には30歳までは種蒔きだと思っています。未来の自分に役立つかどうかはわからなくても、とにかくたくさんの種を蒔き、水を与え続けること。それらを収穫するのは10年後20年後かもしれません。花が咲いても必要としないかもしれません。
でも、種を蒔かないと花は咲きません。役に立つかどうかわからなくてもとにかく全力でやってみる。誘われたらふたつ返事でOKする。その積み重ねが将来の糧になり、自分の進むべき方向の見定めにもなります。だから、積み重ねの時期に安易に仕事を辞めないことです。