価値観:マラソン大会の参加費は本当に高いのか

RUNNING STREET 365に横浜マラソンの新種目「湾岸ハイウェイラン」についての記事を書いたところ、参加費が「ハーフマラソンくらいの距離で16,000円もするなんて」というニュアンスのコメント付きでシェアしてもらえました。

記事を書いているときにまさに同じことを感じたのですが、どうも以前ほどはマラソンの参加費について、その価格設定にあれこれ思うことがなくなってきました。正直なところ諦めに近い感覚があり、「高いと感じたなら走らなければいい」と割り切っているところもあります。

マラソン大会の参加費で大儲けしている人がいるわけでもなく、1万人以上の規模のマラソン大会なら税金とスポンサーによるサポートがあって、ようやく成立しています。開催にかかる費用を考えると「湾岸ハイウェイラン」の1.6万円も決して割高ではありません。


ただ、マラソン大会を1万円前後で開催していた期間が長くあり、マラソン大会とはそういうものだと思い込んでしまっているところもあるので、ハーフマラソンの距離で1.6万円は高く感じますし、これからやってくるフルマラソン2万円の時代は、なかなか憂鬱なところがあります。

いずれマラソン大会の参加費が3万円を超える時代もやってきます。実際にニューヨーク・シティ・マラソンの参加費は会員で215ドルなので、日本円に換算すると約3万円になります(もっとも1ドル100円なら2万円になりますが)。

でも、大規模なマラソン大会にはお金がかかります。完走メダルをなくしたり、参加賞Tシャツをやめるなどしたら、参加費は抑えられますが、大会全体の盛り上がりを考えると安易には外せません。完走メダルも参加賞Tシャツも一定のニーズがあり、なくしたらなくしたらで評価が下がります。


個人的には、しばらくは参加費が高額な大会に出るつもりはありません。非課税世帯になってしまったというのもありますが、参加費と得られる経験値のバランスが見合っていないというのが正直なところです。たとえば東京マラソンの参加費は19,800円になりますが、それだけの経験ができるとは思いません。

それより、19,800円をポケットに入れて東海道を走ったり、山手線1周したほうが記憶にも残るし、美味しいものをたくさん食べることもできます。19,800円あれば東北までの往復の交通費に海鮮丼までついてきます。できることは山程あるわけです。

ただ、価値観は人それぞれです。トータル費用が何十万円にもなるホノルルマラソンツアーに、毎年参加する人だっているわけで、マラソン大会に19,800円の価値があるかどうかは人によって違います。以前はそんなことを考えもしなかったので、SNSに「高すぎる」なんて書いたりもしましたが、最近はそういうことは呟かなくなりました。


もちろん私にしてみれば、参加費は安ければ安いほどありがたいわけですが、それで大会の質が下がるなら値下げはすべきではありません。むしろ適正な価格にして、それに見合うだけの体験を提供することこそ、大規模マラソン大会のあるべき姿です。

難しいのは最高の体験になるかどうかは、参加者の準備次第ということもある点です。しっかり準備してきたならマラソンを心から楽しめますが、そうでないなら42.195kmがただの苦行になり、「苦行にこんな金額払えない」となるわけです。

どうすれば特別な体験をしてもらえるのか。いま全国のマラソン大会がその答えを出すために試行錯誤をしています。それは参加費の高騰があったからこそのムーブメント。だから参加費が上がるのは、必ずしも悪いことばかりではありません。だからこれから「参加費3万円だけどその価値あり」の大会が出てくることもちょっとだけ期待している自分もいます。

著:竹田ダニエル
¥1,562 (2025/04/19 19:43時点 | Amazon調べ)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次