相性:ランニングシューズを選ぶときに意識すること

アディダスから世界記録を更新するためのランニングシューズの2代目が発表されました。価格は82,500円なので試すこともできませんが、こういう勝利やタイムを出すことだけに特化したシューズが市販されるというのは、それだけで夢があります。

高すぎるという声もあるかもしれませんが、アディダスにしてみれば、ほとんど利益はない可能性もあります。生産数が限られているので、金型代や流通コストを考えると、利益が出ても本当にわずか。それでも販売するのは、市販されるシューズでないと公認レースで使えないためです。

かつてはオーダーメイドのランニングシューズを履くことが認められていましたが、現在は審査を受けていないオーダーメイドシューズは認められません。この部分に関していえば、トップアスリートのランニングシューズは退化しています。


オーダーメイドが認められていた時代は、自分の足にジャストフィットするランニングシューズを作ることができました。ところが今はどんなに優れたシューズであっても「足に合わない」ということが起きます。それは私たち一般のランナーも同じです。

ランニングシューズというのは、誰か知らない人の足(木型)に合わせてデザインされています。ところが人間の足の形は千差万別で、足の形が合わないシューズでは、自分とシューズのポテンシャルを100%発揮することはできません。

だからランニングシューズ選びでは、まず自分の足に合うかどうかを確認する必要があります。フィッティングをしたときに緩みがないか、足の指は窮屈ではないかなどを確認し、違和感やストレスを感じることのないシューズを選びます。

その上で用途に合わせた機能を持ったシューズ、自分の走り方に合ったシューズを選びます。トップアスリートの場合、スポンサーの関係で履くべきシューズが固定されることもあるため、走り方を変えなくてはいけないこともありますが、私たちにはそれはありません。

基本的にはレース用、ジョグ用にフィジカルトレーニング用の3つあればOKですが、ジョグ用とフィジカルトレーニング用を1つにまとめることもできます。タイムにこだわらないなら、すべてを1足にまとめることも可能で、その場合はできるだけソールが薄いシューズがいいというのが私の持論。

フルマラソンなんて裸足でも走れるわけですから、スピードを出さないならシューズにクッション性なんてなくても構いません。ただそれは極論であり、多少なりとも速く走りたい、体への負担を抑えたいなら、厚底を選ぶという考え方もあります。


大事なのは「何のために走るか」を明確にすることです。自分の足にフィットすることを大前提として、目的に合った1足を選ぶ。これがランニングシューズ選びの基本であり、すべてと言っても過言ではありません。そして、選んだシューズに適した体づくりをすることになります。

自分の足にジャストフィットするからといって、月間走行距離が100km以下のランナーがレーシングシューズを履いて、全力で走ればまず間違いなくケガをします。このあたりの考え方を理解していないから、「ケガをしやすいシューズ」みたいな、ありもしないジャンルを作り出してしまいます。

自分の足にフィットしていないシューズでも、体づくりさえしっかりしていればケガは回避できます。ただ、自分のポテンシャルを100%引き出せるわけではありません。そういう意味で、自分と相性のいいシューズを見つけ出すことがとても大切になるわけです。

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