
5月に入ってもパーソナルトレーニングの依頼がいくつか入っていて、そのうち半分くらいが「初めまして」の依頼者になります。リピートしてくれる方もいるのですが、半数近くが1回で感覚を掴んで、そこから自分でトレーニングすることになるので2回目がなかなかありません。
それはトレーナーとしてはいいことなのかもしれませんが、ビジネスとしては失敗です。1回で走れるようにするからそこで終わってしまう。でも、1回で済むことを何回かに分けて伝えるというのも違う気がします。だからこれでいいかと割り切ってはいます。
ランニングはとてもシンプルで、体が本来持つ力を使って行うので、基本的には誰もが1回でマスターしてしまいます。走るたびに足が痛くなっていた人も、走り方のコツを伝えるだけで、痛みなく走れるようになっています。
別に私が優れているというわけではなく、人間の体が本来できることを引き出しているだけ。そしてランニングはみんなが思っている以上にシンプルで、誰でも簡単に習得できます。もちろん長く走るためには別のトレーニングも必要ですが。
ではなぜみんな走り方がおかしいのか。ひとつはいつも言っていることですが、走り方を習ったことがないから。そしてもうひとつは、どうやっても走れるからです。独自のフォームであってもフルマラソンくらいならなんとか走れてしまいます。
でも、人間の体の構造を理解して走っているわけではないので、走りにロスが生まれて、伸び悩んだりケガをしたりするわけです。さらにランニングを「頑張るもの」だと考えている人も多く、みんな一生懸命走ります。でも本来のランニングはもっと余裕があるものです。
ランナーは獲物ではなく、狩る側の立場にあります。獲物は捕まらないために全力で逃げる必要があります。捕まったらおしまいなので一生懸命走るわけです。でも狩る側は違います。全力で走るのではなく、周りをよく見て最適解を探しながら走りを変化させていく。
ランニングで大事なのは一生懸命走ることではなく、正しい動きができているか、何度も微調整しながら、体と対話しながら走ることにあります。そのためにはがむしゃらに走るわけにはいきません。常に心に余裕を持って、最適化をしながら走るのがランニングの基本。
ゴルフや野球で大振りしたからといって、ボールの飛距離が伸びるとは限らないのと同じです。ただ、そういうことを誰も教えてくれないから、自己流で全力疾走するわけです。そして故障したり、伸び悩んだりするわけです。せっかくの才能を埋させたまま。
基本的に40代までならキロ4分台は簡単に出せます。一生懸命足を動かさなくても、その領域に手が届きます。それはこれまで何人ものランナーを見てきてわかりました。ただ、そこに到達するために必要なことと真逆なことばかりやっているから結果が出ない。
もちろん、そういう人がいるから私に仕事の依頼があるわけで、私にとっては好都合です。でも、たった60分の指導で走れるようになるわけです。それくらい浅いところでみんな引っかかっています。むしろ、YouTubeなどで学んで必要ないところを深掘りしている。
腕振りとかインターバルとか、そういうものは土台ができてから。ランニングシューズだって、最初は土台づくりに適したものを選ぶべき。でも、そのための情報発信がまったく足りていません。じゃあお前がやれと言われそうですが、面倒なことは嫌いなものでして。
