
Aを持ち上げるのにBを引き合いに出して、Bを徹底的に叩く人がいます。反対にAを叩くために、「Bは素晴らしかった」とBを持ち上げる人もいます。これは商品やサービスのレビューや批評をするときに、避けるべき手法のひとつです。
たとえばアディダスのランニングシューズをレビューするのに、「ナイキの◯◯は」みたいな書き方をするのは原則としてNG。個人のブログでする場合は問題ありませんが、メディアとしてする場合は、それによりすべての人にメリットがある場合のみ使えます。
では、同じことメーカーの新旧モデルを比較する場合はどうなのかというと、それは問題ありません。ただ、盲目的に「新製品の方が優れている」とするのはNG。まったくのフラットな状態で比較して、自分の言葉で違いを表現する必要があります。
先日、ADIZERO BOSTON 13 のレビュー記事を書いたのですが、これがまさに同じメーカーの鍼灸モデルを比較するという構成で記事化したものになります。ここではADIZERO BOSTON 13 とADIZERO BOSTON 12 を比較して記事を書いています。
このとき、両方のシューズを同じ条件で履き、Runmetrixを使って、数値化した結果を元に違いを考察するというスタイルを採用したのですが、データ化することで、2つのシューズの違いが明確になり、なおかつ個人的な感覚を排除して、客観的に特長を伝えました。
興味深かったのは、本来であれば新モデルのほうが軽量であるはずなのに、ほぼ同じ重さで、旧モデルの初代は新モデルよりも明らかに軽いという結果になりました。これは比較したからわかったことで、メーカーが発信する情報だけで記事を書いてはいけない理由のひとつになります。

別にメーカーが間違った情報を出しているという意味ではなく、ランニングシューズはサイズごとに重さが異なり、サイズダウンやサイズアップすることで、2つのシューズの重さが入れ替わることが普通にあるのですが、それを知らずに「新作は軽い」と書くと、記事の信用度が落ちてしまいます。
また、記事内容としても「新作はすごい!」みたいな書き方をする記事が多々ありますが、企業メディアの場合は、ひとつの記事にかけられる時間が限られているので、ある程度は仕方ないのですが、私のような個人サイトの場合は、誰もが簡単に手に入れられる情報だけを掲載しても意味がありません。
SEOでは大手に敵いませんので、内容で差別化を図る。ただ、そのときに比較するモノをできるだけ下げないことが大切です。もちろん、個人的に感じていた不満点を伝えるのはありです。そこが改善されましたというのは、読者の共感を生み出すので。
基本的には正直であればいいとは思っています。そのときに、無理やり別の何かを引き合いに出さないこと。ただし、自分の中で思うことは自由です。むしろ、比較することでしか見えてこないことや、表現できないことはいくつもあります。
それを他人に対して使わないことが大切です。比較は使い方を間違えると誰かを傷つけることになり、それは自分自身の信用に傷つけることにもなります。だから、できるだけ紹介したいアイテムやサービスの良いところも改善したほうがいい点も単独で伝えるのが基本。
感情的になると、人はつい他の何かと比較して何かを貶めようとしてしまいます。そういう文章や言葉は誰にとってもメリットがありませんので、できるだけその手法を使わないことを意識してみてください。それを積み重ねると、モノの見え方が変わってくるはずです。
