裾野:誰にとってもランニングが身近なものになる時代へ

ランニングは手軽に楽しめるスポーツですが、マラソンは庶民の趣味から、ブルジョワの趣味へと移行しつつあります。東京マラソン2026の参加費は19,800円。かつての東京マラソンが1万円ちょっとで参加できたことを考えると、参加費は約2倍にもなっています。

ランニングシューズも1万円台の後半、2万円を超えるようなシューズも珍しくありません。ランニングシューズの寿命は500〜1000kmが一般的で、1日1時間の練習を毎日するなら2〜3ヶ月毎に買い換える必要があります。Tシャツは参加賞でもらえますがランパンやソックスも必要です。

マラソン大会も遠征するとなると、参加費のほかに3万〜5万円くらいかかります。私も年間10レース以上走っていた年もありますが、もう同じようなことはできません。かつてトライアスロンがお金持ちの趣味という位置づけでしたが、今はフルマラソンがその位置になりつつあります。


ただ、それを悲観しているわけでもありません。そもそも私は裸足ランナーであり、ランニングシューズが必要ありません。それでいて、レビュー用にシューズを提供してもらっているので、一目惚れでもしない限り、ランニングシューズを買うこともありません。

そして、マラソン大会に対するこだわりもなくなり、愛媛マラソンや階段マラソンを除いて、「これは絶対に走る」という大会もほとんどありません。そうなってくると1つの大会に対する予算も余裕が出てきます。それだけでなく、マラソンに関わるようになったことも影響しています。

マラソン大会にしても、ランニングシューズにしても、それを提供するのには様々なコストがかかります。かつて、東京マラソンは参加者1人あたり10万円のコストがかかると言われていました。そこから物価高やセキュリティの重要性が高まったのもあり、コストはさらに上がっています。

そういうことを知識として得て、そして多くの人が関わっていることを学んでいった結果、マラソン大会側が「参加費2万円」というのなら、それはもう受け入れるしかないと考えるようになりました。少なくとも私が知る範囲で、マラソン大会で大儲けしている人も組織もはいないので

ただ、今回もこれからも東京マラソンのエントリーをするつもりはありません。マラソンはランニングの一部でしかなく、私がこれから開拓していくのは、マラソンでないランニングの楽しみ方。もっと多くの人がランニングを始めたくなったり、興味を持って行動に移してくれる未来です。

大袈裟なことを言えば、ランニングブームを起こそうというものです。マラソンブームではなくランニングブーム。たとえば、高校生が毎朝、学校に行く前に軽くランニングするくらい、ランニングが身近にある世界。そのためにはまず、ランニングの楽しさを知ってもらうこと。


パーソナルトレーニングでランニングを教えていますが、ほとんどの人が大人になってから運動をやめており、人によっては走るのが苦手としていて、まずはここから変えていきたいところです。そして、その先の目標のひとつとして、フルマラソン完走があればいいかなと。

走るのが好きだからフルマラソンも走ってみる。参加費が上がることで、そういう人たちの障壁になるというのは悩ましいところですが、幸いなことにリーズナブルな料金で走れるマラソン大会もまだまだあります。そういう大会が残っているうちに、ランニングの楽しさを提案し、ランニングブームを起こす。

失敗するかもしれませんが、失うものは何もありません。だったらチャレンジする価値はあります。マラソン大会のほうは少し勢いを取り戻しつつあるので、きっと私よりも賢い人たちが盛り上げてくれるはず。私がするべきことは、その裾野を広げていくことです。

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