映画館を出た瞬間から、スキップしたくなる。『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。』はそんな映画でした。もちろん、そういう映画と分かっていましたが、想像以上に胸がギュってなっています。
わたしのイメージから、色恋の話は似合わないことは自覚しています。
それでも恋をしたくないわけではありません。したくないわけではないけど、もう恋の始め方も忘れてしまいました。いまの自分の状況で恋だの愛だの言っている場合でもない……というのは都合のいい言い訳です。
一歩を踏み出す勇気がないというのが本当のところ。
わたしのことはどうでもいいんです。映画『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。』を観てきました。この映画は日台合作の映画で、台湾旅行に行く前から行きたかった映画です。
わたしの夢は、日本人にあたり前のように中国人の友だちがいて、中国人にもあたり前のように日本人の友だちがいる時代を作ること。わたし1人ができることは小さいけれども、同じことを考えている人はきっといるはずです。
その小さな力がいくつもできたとき、わたしの夢は叶うのだと思っています。それが叶うのは10年後か100年後かはわかりませんが、わたしがやっているのはそのための種まき。
そして、その過程にあるのは日本人や中国人だけでなく、台湾や韓国の人たちも、あたり前のようにお互いをリスペクトし合える関係の構築。生まれた国がどこであれ、簡単につながり合えるようにしたい。
そういう想いをずっと持っているため、この映画のストーリーのように、日本人の男の子と台湾人の女の子が結ばれるという話は、興味を惹かれました。しかもこれは実話を元にした映画です。
映画をこれから観ようという人もいると思いますので、ストーリーにはあまり触れないようにしておきます。ストーリーに触れずに、いかに素晴らしい映画なのかを伝えられる文章力がわたしにあるのかは疑問符がつきますが、頑張ってみましょう。
この映画をどう表現したら伝わりやすいか。映画を楽しみながら、ずっと悩んでいました。
この表現で合っているかはわかりませんが、画用紙に描かれたような映画。これがわたしの率直な感想です。とても余白がいっぱいで、こういう伝え方もあるんだなと変なところで感心してしまいました。
余白はいっぱいあるのですが、決してそこが白いというわけではなく、そこには日本や台湾の風景で埋め尽くされています。でも恋は盲目。景色はそこにあるだけで、モギさんとリンちゃんの二人だけの世界を覗き込んでいるような気分になります。
小さなことに大はしゃぎをして、ちょっとしたことがきっかけで、世界が終わってしまうかのような深い悲しみの底に落ちてしまう。あぁ恋ってこういうものだったなと懐かしく思いながらも、2人の距離がどんんどん近くなっていくたびに、胸が締め付けられるような気持ちになります。
人を好きになるときの感情がむき出しになって、恋することから逃げているわたしを刺激します。
それはきっとわたしだけではなく、この映画を観た多くの人がそうなるのかもしれません。すでに大切な人がいる人は、その人のことをもっと好きになり、そうでない人は、もう一度、恋をしてもいいかな。恋をしたいなという気持ちにさせてくれます。
そして映画館を出たらスキップをしたくなるわけです。
もうそんな年齢でもないのにな。そんな冷静なことを考えてしまう自分もいますが、少なくとも『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。』を観たあとには、すべての言い訳が小さなものになり、ただただ幸せな気持ちに包まれます。
そして、ほんの少しだけ台湾の人たちの生活を垣間見れるのが、いいアクセントになります。きっと台湾の人たちにとっては、日本人の生活や日常の景色が新鮮に見えているのでしょう。
そうやって、お互いの国のことに興味を感じて、例えば台湾に旅行に行く人が増える。そうなると嬉しいのですが、『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。』はまだまだ一部の台湾好きの人しか観ていない映画。
でもママダメは、すべての日本人に観てもらいたい映画。観れば幸せな気持ちになれるし、台湾のことをもっと深く知りたくなるはずです。海外への興味を持つにはいいキッカケになる映画です。
この映画のようなことが、きっとこれからさらに増えていくはずです。たくさんの台湾人が日本を訪れていますので、どこに新しい出会いがあるかわかりません。反対に台湾に行く日本人も増えていますので、国同士はいろいろありますが、人と人の関係はさらに密になっていくはずです。
中国好きとしては、同じような関係を日本と中国とでもできていくといいのですが、これはまだまだハードルが高そうです。まずはできるところから。
難しいことを抜きにしても楽しめる映画です。小さな映画館でしか上映されませんし、しかも期間はおそらく7月上旬くらいまで。台湾に興味のある人や、最近ドキドキしていないなと思う人は、本当におすすめです。ちょっと無理してでも観に行ってください。
好みは人それぞれですので、合わないという人もいるかもしれません。ユーチューブで冒頭の18分を配信していますので、その18分で引き込まれてしまったら、ぜひ映画館まで足を運んでください。
そしてわたしのように、胸がギュっとなる気分にひたってください。
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