24時間マラソンで知った「手は抜かないし諦めないけど頑張らない」という道

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1人24時間から3日が経過しましたが、おそろしいことに自分の中ですでに過去のことになっています。体はまだ思うように動きませんので、練習再開とはいきませんが気持ちはすでに前に向かっています。

ただ、自分の中で少しまとめておく必要があるなと思い、あれにより何を得たのかを書いておこうと思います。

正直なところ数時間で逃げ帰る自分を想像していました。ところが、スタートしてからはいつもどおり走ることと、10分休憩が慌ただしいというのあって、あっという間に3〜4時間が経過しました。

「こんな走りが続くわけがない」「いつか失速するから」と思いながらも11時間。太ももの付け根が痛くなるまで、わたしは機械のように淡々と走り続けました。

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その後もペースは落ちたものの、50分走って10分休むを繰り返しました。

24時間を1人で走ったことをすごいと言ってくれる人がいましたが、わたしは自分の決めたことを淡々と遂行しただけです。昔の自分だったら耐えられなかったかもしれませんが、今のわたしは耐える必要もありませんでした。

理由は分かりません。もうやめたいと思うことは1度もなく、いかにして距離を積み重ねるかばかり考えていました。

きっと適正があったのでしょう。それと走るのが好きなのかもしれません。きっと誰にでも24時間ずっと続けられる何かがあるはずです。24時間ゲームを続ける。24時間お酒を飲み続ける。24時間走るのもその1種みたいなものです。

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ただ、わたしにとって「好き」というのは、ワクワクしたりドキドキするようなものではありません。高揚感はなく、もっと穏やかなもので、心が安定している状態になることを「好き」だと感じます。

いつからそうなったのかは分かりませんが、その感覚はこの1年で強くなったような気がします。

わたしにとって、走るということは気持ちが昂ぶるものではなく、気持ちが穏やかになる行為になっています。悩みやイラつきを抱えていても、走ることで穏やかになれる。

24時間を走りきれたのは、「頑張ろう」という気持ちがあったわけではなく、ただ穏やかになれる時間に身を置いただけ。

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そうなんです。頑張ろうという気持ちは微塵もありませんでした。最後の2時間は150km超えを目指して頑張りましたが、それまでは「走れないのは仕方ない」「今できることをすればいい」そんな気持ちで足を動かし続けました。

これまでの24時間マラソンは、どこかに「頑張ろう」という気負いがありました。これが走りにつながるとさえ思っていましたが、気持ちがプラスに作用するのはきっとフルマラソンくらいまでがいいところです。

それ以上の距離を走るには、頑張らないこと、普段どおりの走りをすることなのかなと。もちろん人によって違うかもしれませんが、わたしは頑張らないことの大切さを学びました。

きっと、それは文章を書くときもそうですし、何をするときも一緒なのかもしれません。

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頑張ることがいいことだとあたり前のように言われていますが、頑張ることが結果につながるとは限りません。「頑張れ」という言葉の本質は「手を抜くな」「諦めるな」ということだと思うのですが、でもそれは「頑張らない」でも成立します。

頑張ることなく、自分のやるべきことを淡々とこなしていく。

手は抜いていませんし、諦めてもいません。それでいて気負ってもいません。これって剣術の極意とか、悟りの世界とかに近い感覚かもしれません。

まさか自分がそんな領域に足を踏み入れているとは思いませんが、宮本武蔵も五輪書でそのようなことを書いていたはずです(読み直してみようかと思います)。仏教では心が穏やかであることが理想の状態とされています。

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もしかしたら今回感じたものを追求していけば、達人と呼ばれるような人たちの背中が見えるくらいにはなるのかもしれません。それは長い距離を走れるようになるというのではなく、心のあり方として。

とはいえ、頑張らないで結果を出すという領域を安定して得られるようになるのは簡単なことではありません。

未熟ですからどこかで頑張って結果を出そうとしてしまいます。でも、日常の一つひとつをもっと自然体で行い、自分の感覚にまかせて行動するようになれば、きっと見えてくるような気がします。

深く穏やかになるために走る。

なんとなく自分の向かうべき道が見えてきたような気がします。


五輪書 (講談社学術文庫)
著者:宮本武蔵
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