熱中症リスクを下げるために頭に入れておくべき基礎知識

熱中症で5000人以上が搬送されたとか。5000人というのはちょっと尋常じゃない数です。先日まで梅雨だったというのもあって、まだ体がなれていないところへの高温。

11人の方が亡くなられたということで、これは真面目に話をしたほうがいいかなと。

熱中症になりやすいのは高齢者ですが、真夏にランニングをしているランナーにとっても他人事ではありません。わたしは30℃以上の気温での練習は避けるべきだと思っていますし、自分でもそんなときには走りません。

昨年、中山道を真夏に走ったときも、12時以降17時までは走るのを禁止にして、基本的には夜間のランニングをしていました。

そういえば、どこかの元プロ野球選手コメンテーターが「ケガが怖かったら、スポーツは辞めたほうがいい」という発言が問題になりましたが、わたしは「スポーツを続けたいなら、ケガのリスクは排除すべき」です。

それはプロでもアマチュアでも同じことです。

日本では苦しんで苦しみ抜いた先にだけ、何かが待っているという考え方が根付いています。それはひとつの真実です。苦しみから逃げて何かを手に入れることはできません。でも、しなくてもいい苦しみは避けるべきです。

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室温をエアコンで下げればリスクが大幅に下る

「エアコンの風が嫌い」とか「昔はエアコンなんか使っていなかった」と言う人もいます。正直好きにすればいいとは思いますが、室内でも35℃くらいの室温になります(先日温湿度計を買って測っているので間違いありません)。

35℃くらいの室温になると、人間は自分の体の熱を逃がすことができなくなります。人間は熱を外に逃がすことで36℃くらいの体温を維持していますが、室温や気温が高くなるとそれができなくなります。

もう少し正確に書きましょう。

1.室温が上がると体温が上がる
2.体温が上がると体の表面の血流が増えて熱を外に逃そうとする
3.血液が足りなくなり血圧が下がる
4.脳に十分な血液が流れずめまいなどが起きる

これが熱失神と呼ばれる状態で、この他にも熱痙攣、熱疲労、熱射病などのさまざまな症状がありますが、室内にいる場合には少なくとも、エアコンで室温を下げておけば熱失神を防ぐことができます。

電気代が心配?健康よりも電気代のほうが大事ですか?熱中症で搬送されたらいくらお金がかかるのでしょう。後遺症が残ったらどうしますか?いろいろ思いはあるかもしれませんが、どんな手を使ってでも室温を下げてください。

スポーツドリンクが嫌なら麦茶を飲む

汗をかいたときの水分補給は、必ずナトリウムなどのミネラルの含まれたものにしてください。簡単なのがスポーツドリンクです。でもスポーツドリンクの甘さが嫌いだという人もいますよね。

そういう場合には、経口補水液がいいのですがこちらも好き嫌いが分かれます。わたしはO.R.S 経口補水塩タブレットを水に溶かして使うことが多いのですが、Amazonなどで購入しないといけません。

欲しいときに手軽に買えませんので、O.R.S 経口補水塩タブレットはある程度ストックしておかなければいけません。それが面倒だと思うなら、麦茶を飲むようにしましょう。

抗酸化作用もありますので、疲労回復にも効果が期待できます。ランナーにとっても実は麦茶はかなり優れたドリンクのひとつです。

麦茶ポカリスエットアクエリアス
エネルギー0kcal25kcal19kcal
食塩相当量0.03g0.12g0.1g
カリウム12mg20mg8mg
マグネシウム0.5mg0.6mg1.2mg

ナトリウムはそれほど多いわけではないですが、飲まないよりはマシです。運動直後はスポーツドリンクのほうがいいかと思いますが、自宅で飲むのは水ではなく麦茶にすることで、ミネラルを補うことができます。

ランニング中やランニング後は、やはりスポーツドリンクか経口補水液がベストです。水分中に糖が含まれていると、腸での水分吸収効率がアップします。甘いのが嫌かもしれませんが、その甘さが水分吸収に役立つと思って我慢しましょう。良薬口に甘し……といったところでしょうか

運動をしてもいい気温の指針

30℃以上になったら走らないとお伝えしましたが、これはなにも闇雲に言っているわけではありません。日本体育協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」に気温と運動の関係が示されています。

35℃以上:運動中止
31~35℃:厳重警戒(激しい運動はNG)
28~31℃:警戒(積極的に休息)
24~28℃:注意(積極的に水分補給)

正確にはWBGTという暑さ指数によって決まりますが、気温でいえばこのようになっています。31〜35℃は厳重警戒で、激しい運動はNGとなっています。

そんなことを書くと上記のコメンテーターは「軟弱な」と言いそうですが、人間の体は物理的に耐えられる限界があります。そして、その限界を超えなくても、確実に消耗しています。

消耗したらいつも以上にリカバリーをしなくてはいけなくなり、質の高いトレーニングのサイクルが崩れてしまいます。

マラソンはメンタルのスポーツですが、暑い中頑張ってトレーニングをしても、ケガのリスクが高まり、トレーニングの質が下がるだけです。それよりは、気温が低い午前中や夕方以降のランがおすすめです。

まとめ

こういうのは、RUNNING STREET 365で書くべきことなのですが、1人でも多くの人に無理をせずに毎日の生活を送ってもらいたいので、あえてこちらに書きました。ランニングするしないに関係なく熱中症対策は重要です。

とにかく部屋を涼しくすることと、麦茶やスポーツドリンクで水分補給をすることを心掛けてください。あとは、暑い日には必要もないのに外に出ないことです。散歩もランニングも早朝か夕方を選びましょう。

暑い中で無理して運動するくらいなら、昼寝でもしていたほうが健康的です。精神論で頑張りたい人は好きにすればいいと思いますが、好きなことを長く続けたいのであれば無理はしないことです。


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著者:永島 計
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