宿にはいろいろな人がやってきます。でも、基本的には宿の管理人の色に近い人が集まるんだなぁと、変なところに感心した3日間でした。まだリニューアルして1年の宿というのもあって、私が最初に訪れた11月には色がそれほど出てないような感じがありましたが、それから数ヶ月で雰囲気がすごくいい感じ。
お前がそれをいう立場かと叱られそうですが、どんな宿にも基本的な色というものがあるのは、これまで全国各地を旅していればわかります。人によっては宿の評価を良い悪いで判断しますが、世の中に悪い宿なんてどこにもなくて、自分の色に近いかそうでないかの違いしかないと私は考えています。
少なくとも、どこかの層に支持されていない宿が生き抜けるほど甘い世界ではありません。どんな低評価の宿だって、何らかの魅力があり、それが刺さる人がいるから経営が成り立ちます。低評価というのは、単純に刺さる人が少ないだけのことです。ただ、観光地の宿にとって評価というのはとても大事。評価というか口コミですね。
口コミというのはとてもわかりやすい指標のひとつです。新規の宿泊客を増やすには高い評価であることも大事ですが、宿にとってもっと大事なのは色を知ってもらうこと。数字だけじゃ本質は伝わりません。でも口コミで何が良かった、何が足りなかったというのは色がしっかりと出ます。
そして、その色に共鳴した人が予約してくれる。それがまた宿の色になっていく。私がお手伝いをしている、伊豆高原・富戸にある「一本のえんぴつ」にやってくるお客さんは、優しい人が多く、やんちゃそうに見える人でも根っこの部分が優しい。みんな笑顔を見せてくれますし、いろいろ話をしてくれます。
困ったことに私がまだ宿の色に馴染んでいないということ。そんな簡単に馴染めるものではないのはわかってますが、お客さんにとっては小さな違和感になる。本当は「なんでも知ってますよ」みたいな顔をして対応して、心配させないようにするのが理想。私は困ったときにすぐに顔に出るタイプなので、不安を与えることもあるのではないかと思ったり。
今回はできるだけ焦らないことをテーマに幾つかの業務をしました。時間に追われる業務で仕事としてやるのは初めてのこと。でも、お客さんはお金を払っているし、まさか私が初心者だなんて思ってもないわけです。だから不安を与えないように、動揺を見せないように心がけました。
ミスは「自分は間違ってないから」という顔をしてれば乗り切れるって、あるアイドルの子が言ってました。みんなで踊るときに振り付けを間違っても、間違ってない顔をしていれば、そういう振り付けなのだと思ってもらえるのだとか。それと同じとは言いませんが、堂々としているのはとても大事なこと。
そして私が最も苦手とすることでもあります。何をするにしても、自信なんて持ったことがありませんし、何よりも自己評価が低いのもあって、46年の人生で堂々としたことなど1度もなく。でも、今回は堂々とした自分を演じるのもお仕事なので、頑張ってみました。そこそこ上手くできたのは、やっぱりお客さんが優しいから。
世の中には無理難題を押し付ける人もそこそこいるわけですが、そういう人が集まらない宿なんだろうなと。もちろん、これからもそれが続くわけではないですが、時間が経過すればするほど色はしっかりと出てくるものなので、基本的にはいい人を引き寄せてくれる。私はその色を汲み取って接客をする。
これまでにない働き方で、大変ではありますが楽しんではいます。少なくとも現段階では知らないことばかりだし、嫌な思いをさせられることもありません。多少寝不足にはなりますが、連日というわけでもありませんし、それで友人が楽になるなら大したことではありません。私の仕事は宿直ですが、バッファになることでもあります。
宿のお手伝いに限ったことではなく、私が生きていてやるべきことはバッファになること。やりたいことが溢れて持ちきれなくなった人に、ほんの少しだけ余裕を作ってもらうこと。本当にやりたかったことに取り組んでもらうこと。それができたら、世の中はほんの少しだけでもいい方向に流れるじゃないですか。私はただそれが嬉しいわけです。
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