私が思っている以上に世間の読解力が低下しているのだろうか

YouTubeなどの動画で著名人が「最近の人は頭が悪くて文章が読めない」と発言しているのを聞いたのですが、それが何度か重なったのもあって、「ひどい言いようだな」と思ったのですが、もしかしたらその人たちが言っていることのほうが正しいのかなと思うようなことが。

まずはこの記事を読んでもらいたいのですが、記事を読んでどんな感想だったでしょうか。私が乃木坂46の音楽を好んで聞いているとかそういうことは抜きにして、素直に感じたことを述べてもらいたいのですが、これに対するコメントがどうもおかしなことになっています。

要約すると、女優もしている乃木坂46のメンバー山下美月さんが、レシピ本などに書かれている「適量」がわからないから細かく書いて欲しいと言ったことに対して、明石家さんまさんが「大竹しのぶさんと同じだから、女優として伸びる」みたいなニュアンスのことを言ったそうです。

私は番組を見ていないので発言の真意はわかりませんが、この記事でのポイントは山下美月さんの「細かく知りたい」という考え方に対して、明石家さんまさんは瞬時に「それは女優としてのスタンスに通じる」と考え、そういえば大竹しのぶさんもそうだったから、きっとこの子は伸びると言ったことにあります。

どうでもいいような愚痴を会話として展開した明石家さんまさんの話術と、山下美月さんの性格や女優としての可能性について触れた、とても面白い記事になっていると私は感じました。もっともこの手のテレビ番組をそのまな記事にするのは嫌いなんですけどね。

ただライターさんも仕事ですし、何よりも私情をいっさい挟むことなく、事実だけを述べながらも2人が引き立つような文章に仕上げるのって、きっとかなりの技術がいるんだと思います。ところが問題はコメント欄です。

この記事のコメント欄には「私も適量だとわからない」とか「そこが料理の面白いところ」みたいなコメントで溢れているじゃないですか。正直私は背筋が凍るような思いでした。この人たちは文章の表面しか受け取らないのだと。

それが1人や2人ならわかります。10の投稿があれば1人くらいそういう人がいるんだろうなというのが私の感覚なのですが、私が読んだ10のコメントのうち10が「適量」についての内容なんです。なるほど先述の著名人の言うことももっともかもしれないなと。

確かに文章として書かれている事実は「適量」についてなので、お前の読み方のほうがおかしいと思うかもしれませんが、だとすれば「大竹しのぶと同じ」「女優として伸びる」という部分が文章として意味をなさなくなります。

物書きとしては、これはかなり困ったことになります。行間を読んでくれたり、裏読みをしてくれたりすることを期待してはいけないということになるので。小説はこれからもっと売れなくなりますし、短歌とか詩とかはライティングの世界のマイノリティになります。

もっともよく考えたら私の場合は、誤解のないように噛み砕いた文章ばかり書いているので、私が思っている以上に影響を受けないのかもしれません。ただ創造性に欠けるというコンプレックスを持ち続けることになるのでしょうが。

本当に困るのは文章を書いた人が行間を読ませようとしているのか、ただ事実を述べているだけなのに、偶発的に行間を読ませる文章になっているのか分からなくなる可能性があるということ。そして「雨ニモマケズ」が人生の理想と言ってきましたが、すでにいろいろ誤解されて解釈されるかもしれないんですよね。

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