シューズをめぐる2つのプロジェクトと1つのケニア

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「スマイルアフリカ プロジェクト ランニングフェスティバル 2016」の取材に行ってきました。取材内容についてはRUNNING STREET 365で記事にしていますので、気になる人はチェックしてください。

日本一早いマラソンレポート「スマイル アフリカ プロジェクト ランニングフェスティバル 2016」

高橋尚子さんの笑顔をたくさん見ることが出来ます。

いやそれはともかく、このプロジェクトなんですが、アフリカの子どもたちにシューズを贈ることを目的に、2009年に立ち上げられました。

日本人の子どもが履いているシューズがサイズが合わなくなって、まだ履けるのに捨てるしかなくなるようなことがあります。そんなシューズを、シューズを買うことができない子どもたちに贈ろうというのが本来の趣旨です。

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ただシューズを贈るだけでは、金メダリスト高橋尚子が先頭に立って行うプロジェクトとしてはもったいない。そこで高橋尚子さんとソトコトが一緒になって、ケニアでマラソン大会を開催しています。

日本人から送られたシューズを履いて陸上選手を目指す子どもたちも現れています。現在その大会はかなりハイレベルな大会なのですが、シューズを贈られたスラムに住む子どもたちが入賞するようにまで、ここまでの7年間をかけて行ってきました。

ケニアを中心としたアフリカでシューズが必要な理由は破傷風です。アフリカの人たちはそもそも裸足なんじゃないかと思うかもしれませんが、文明が中途半端に入ってしまった結果、日常の中に危険なものが増えてしまいました。

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スラムはゴミだらけで、ちょっとしたかすり傷でも破傷風になり、足を切断するようになることがあるそうです。それは決して珍しいことではなく、通常起こりうることで、子どもたちはかすり傷でも病院に行かなくてはいけません。

そんな子どもたちにシューズを贈ることで、救われる命があります。守られる足があります。

スマイル アフリカ プロジェクトでは1人でも多くの子供たちを守りたいということで、これまで8万足以上のシューズをアフリカに届けてきました。

一方でシューズがケニアのランナーたちケガに導いているとして、ケニアに裸足を導入しようとしている人たちがいます。裸足ランニングクラブの吉野剛さんを中心とした人たちです。

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ケニアでは陸上選手になって稼ぐことが貧困から向けだすための数少ない手段の一つになっています。地域の大会で勝ち、将来性があると見込まれると早い段階からシューズメーカーのスポンサーがつきます。

青田買い状態ですね。メーカーはシューズを提供するだけで、将来のスーパースターを抱えることが出来ます。ランナーは最新のシューズを手に入れることができるため一見するとWin-Winの関係です。

ところが、シューズメーカーにとってサポートしているランナーは使い捨ての駒のような扱いになり、故障して走れなくなったら当然契約を切って別の新しいランナーに乗り換えます。

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契約を切られたくないから、ちょっとしたケガは無理してでも練習を続けて、レースにも出場します。その結果として選手は陸上選手として生きていけなくなるような深刻なケガを負ってしまうこともあります。

そんな状況をなんとかしようとして、日本人の手によってケニアで裸足ランニングの普及活動が始まっています。

日本人によりケニアにシューズを届け、日本人によりケニアからシューズをなくそうとする。どちらが正しいという問題ではありません。ただ面白いなと思うわけです。

もう少し面白くするために、両者が協力し合う関係を築けると素晴らしいと思うのですが、この両者は相容れないものだと思いますか?

わたしはそうは思いません。

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どちらもケニアのためという思いは変わりません。そして、シューズが必要なところにシューズを提供し、シューズが問題を起こしているところからシューズを取り除こうとしているだけです。

いやシューズを取り除くのではなく、シューズを選ばない方法を提案しているだけで、それを選択するのはケニア人それぞれの問題ですし、ケニアに裸足を導入しようとしている人たちも、「スラムでも裸足でいるべき」なんてことは考えていないはずです。

それぞれが、いまのケニアに足りないものを補おうとしているだけですから、この2つの活動は矛盾するものでもなく、むしろお互いに協力しあうことで、単独で活動を行うよりもさらにケニアのためになる活動になるのではないかと、わたしは思います。

なんとかしてこの2つを結び付けられないかなと思うわけですが、こういうのは人為的に行うものではなく、必然性があれば、自然と結びついていくものでしょう。

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ただし、ケニア側で「日本人はシューズの危険性を唱えながらシューズを提供している」なんんて思われないように、お互いの存在を知り、交流くらいはあってもいいのかとは思います。

まぁこれはわたしの夢想でしかありませんので、それぞれがケニアのために活動を続けていれば、わたしがとやかく言う必要はないので、静かに見守りたいと思います。

お前はなにもしないのかと言われそうですが、わたしのフィールドは中国であってケニアではありません。気になるからと言ってあれもこれもできるわけでもありません。

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わたしにできるのはこうしてそれぞれの活動を紹介するくらい。いや、それこそがわたしの役割です。

11000km離れたケニアの地で、日本人によるシューズをめぐるプロジェクトが2つ行われ、それぞれの目指すところは大枠で同じでも、そのアプローチの仕方が違う。

その2つがお互いに距離を置くのではなく、何らかの形で手を取り合えば、単純に面白いなと思う。ただそれだけです。

スマイルアフリカ プロジェクト:http://www.sotokoto.net/smileafrica/
裸足ランニングキャンプ:http://hadashi-world.com


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著者:「少年ケニヤの友」
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