体重は軽いほうがマラソンは速く走れます。言うまでもないことです。
でも今日言いたいのは、特に自己ベスト更新のように追い込んでいないようなランナー。むしろダイエット目的で走り始めたランナーがフルマラソンを完走できるようになって、その上でまだ痩せる必要があるのかということです。
この国では痩せていることを良しとして、モデルさんのようなスリムな体型を素敵だと賞賛する流れがありますが、それって本当に大事なことなのかと、ふと思ったわけです。
もちろん、自分のお腹についた贅肉がみっともないと思うのであれば、ダイエットするのもいいかもしれませんが、フルマラソンを完走できる人は、それで十分に健康体ですよね。
どんな形であれ、少なくとも6〜7時間以内に42kmという距離を走れるわけです。人間の運動能力としてはなんら問題ないはずです。別に多少脇腹がたぷたぷしてももいいじゃないですか。
お前は体を絞っているくせに、何を言っているのだと思われるかもしれませんが、わたしは痩せている状態をベストと思っているわけではなく、納得のいく走りをするために体重を落としているだけです。
そして、よく絞られていると言われますが、実際は161cmで54kgです。BMI値でいえば20.83ですので普通体重です。適正体重は57kgとなっていますが、それよりも3kg軽いだけです。
体はそれなりに絞られていますが、決して痩せているわけでないことは、BMI値からも分かってもらえたかと思います。
そもそもわたしは「走っても痩せない」とこれまでいろいろな場所で言ってきました。BMI値が高い人であれば、たしかに運動すれば多少は体重が落ちるかもしれませんが、基本的に運動をすればお腹が空きますから、食費とお酒代がかさむだけで、体重は減りません。
徹底した食事管理をすれば話は別ですが、走ってお腹が空くのは健康な証拠です。以前ある人に「走れば走るほど太るんだけど」と相談されましたが、少なくともわたしはそれを悪いことだとは思いません。
わたしたちはなぜか「痩せなくてはいけない」という思い込みを持っていますが、人間にはほどほどという考え方があります。ストイックになれる人はそのまま続ければいいと思います。
ただストイックに追い込めない自分を責める必要は1mmもありません。
走るのが楽しくて、タイムを追うのが楽しくて、練習をたくさんやった結果として痩せていたというのであれば、それはそれでいいことかもしれません。
そうではなくフルマラソンを完走できるだけの体を持っているなら、それがその人にとって健康な状態のひとつの目安です。
痩せたいだけなら、ランニングよりもヨガやピラティスを真面目に取り組んだほうが、よっぽど簡単に美しい体を手に入れることができます。
自分の横っ腹をみっともないなと思って痩せる。美しい体を手に入れるために痩せる。それを否定するつもりはありませんが、その理想の先にある体型は本当に健康な状態なのかということはよく考える必要があります。
増田明美さんが、10代女性アスリートの「無月経・疲労骨折」が常態化していることを大きな問題として、あちこちで話をしていますが、きっとこれは男性アスリートでも同じことがおきています。男性は見える形で出てこないだけで。
NHKクローズアップ現代:無月経、疲労骨折・・・10代女子選手の危機
質素倹約で贅沢をしない食事をする。これくらいであればまだ良いかと思います。
ただ、痩せすぎな状態はやっぱり危険ですし、わたし自身も体脂肪を落としすぎたときは本当に気を使います。正直言って、市民ランナーレベルで痩せようとすることは「百害あって一利あり」。その一利はタイムを縮められることだけです。
自分自身のベストな体重を把握して、そこを超えたから間食をやめようというのはありです。でも3食の食事(人によっては2食もしくは1食ですが)はしっかり摂って、体のケアをすることは大切です。
しかもベストな体重は常に変化します。1年前のベストな体重が今のベストな体重とは限りません。わたしの場合、5年前くらいまでは、体重を50kg以下にすることは難しくなかったのですが、今は52kg以下に持っていくことすらできません。
以前よりも圧倒的に筋肉がついてしまったためです。来シーズンから筋トレも取り組むので、ベスト体重はこれからも増えていく可能性があります。自分の理想体重は、そうした体の変化も考えた上で判断する必要があります。
女性は特に痩せたい願望が強いかと思います。自分が自分の体に納得しないのであれば、痩せようとするのもいいのですが、できれば一歩立ち止まって、本当に痩せる必要があるのか自分の体に聞いてください。
もちろん男性ランナーもです。
命を削ってまで自分を追い込む人は、それはそれでかっこいいなと憧れます。でも知らず知らずのうちに命を削っている人に対しては、「危険だよ」と言わないといけないかなと、そんなことを考えています。
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