ハルカススカイランレポート〜悔しさの中の自己ベスト更新〜

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昨年に引き続きハルカススカイランを走ってきました。ハルカススカイランはことしからワールドサーキットのひとつに組み込まれましたが、一般ランナーのわたしには何も関係ありません。

昨年よりも速く駆け上がる。目標はそれだけです。

本当は10分台で完走するという目標がありましたが、万里の長城マラソンで足裏を負傷した結果、3週間で走ったのは2つのレースだけ。ハルカススカイランの数日前に筋力が落ちすぎていることに気づき、目標を下方修正。

ハルカススカイランは「ラン」となっていますが、すべてを走りきれるのは一部のトップランナーだけ。わたしのような庶民ランナーは少しでも粘って耐えるだけ。

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ハルカススカイランの前日にアディダスのイベント取材があったため、現地入りは夜行バス。

今年のハルカススカイランは受付会場があべのハルカスではなく、少し離れたてんしば広場。プレスの受付はあべのハルカスだったこともあり、到着早々にあたふたします。

8時10分にプレスの受付を行い、8時40分に個人の受付。9時からは開会式で、その後着替えて自分のレースの準備。その間に取材も行います。分刻みで動き回らないといけないスケジュール。

走りながら取材もするのは大変ですが、それすらも楽しく感じられるのがハルカススカイランです。

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下手に時間があると、余計なことを考えてしまいます。60階をどうペース配分するのか、シミュレーションを行う。それが理想なのですが、そのシミュレーションは数階上がるだけで意味がなかったことに気付かされます。

わたしは、1年前に個人とプレスの2回走っているので、心構えは誰よりも知っているつもりです。

気持ちを上げすぎないこと。あくまでも冷静にして、それでも順番が来る前にある程度は心拍数を上げておきます。階段レースはゼロから一気に最大心拍数まで上げるレースですので、一度は心拍数を上げておかないと、いいタイムは望めません。

幸いなことに気温は1年前よりも暖かめ。裸足の状態でも何の不安もありません。

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ハルカススカイランにどれくらいのランナーがいるかはわかりませんが、わたし以外の裸足ランナーは見かけませんでした。ただ、階段ならシューズよりも裸足のほうが圧倒的に有利です。

シューズ特有の蹴り出しもできませんし、上りですのでクッションすら意味がありません。シューズは無駄なロスを生み出すだけですが、みんな当たり前のようにシューズを選びます。

足におもりを付けて走っているようなもので、数階であればそれもいいのですが、これが1610段にもなると明らかに足の軽さは武器になります。

わたしのブロックはFでしたが、小さなブロックわけにはあまり意味はなく、4〜5ブロックくらいが混成になり、そのうち5人ずつが30秒毎に走り出します。

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30秒の余裕というのは思ったよりも大きいもので、前の組に追いつくというのは簡単ではありません。

スタートの号砲とともに前方に飛び出る河童。飛び出したというよりは周りが自重した感じです。エリートランナーの場合は、お互いを肩で押し合いながらいいポジションを確保します。

階段に入る段階で少しでも前にいること。これがとても重要です。

遅い人を抜いていくことは簡単ですが、走力がやや劣るくらいの相手の場合、外側から抜くというのはほぼ不可能です。階段で抜きかけても、踊り場で大回りをすることになるため、簡単に引き離されます。

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ですので、少なくとも同時スタートの中では誰よりも前にいる必要があります。

階段に入って、すぐに手すりを掴んで上がります。階段垂直マラソンですが、1秒でも時間を縮めるポイントは手すりにあります。足の筋力だけでなんとかしようとすると、必ず脱落します。

足の筋肉はできるだけ使わずに、腕の力で移動します。

このコツを知っているかどうかで、タイムは1〜2分は違います。ずるいと思うかもしれませんが、手すりを使ってはいけないというルールはありませんし、トップランナーほど上手に手すりを使います。

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もうひとつのポイントは「階数を数えないこと」です。懸命に上ってまだ10階。そういうときに人間はとてつもない疲労感を感じてしまいます。人によっては心が折れることもあります。

25階まで上がっても、まだ35階残っているときの絶望感。

ですので、できるだけいま何階にいるのかは考えません。一歩踏み出せばそれだけゴールに近づくと信じて足をあげるしかありません。

最初は1段飛ばしで駆け上がりますが、20階を超えた当たりからそれが厳しくなります。ただ1段ずつ上がるのと、1段飛ばしで上がるのとではスピードがまったく違います。

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10分台を出すには、最後まで1段飛ばしをしなくてはいけません。十分な練習ができなかったわたしは、当然最後まで耐えられるわけがありません。どこまで粘れるか、それだけが課題です。

徐々に1段飛ばしができなくなっていき、最終的には前の人を抜くときだけ全力を出します。途中に給水ポイントもありますが、すべて無視して上がることだけに集中。

50階までくればあとは気持ちの問題です。心臓が飛び出そうな状態で、息を吸うことすら苦しい状態。ただ、どれだけ苦しくても万里の長城マラソンの3往復目の苦しさよりはまだましです。

3本目の復路で、永遠に終わらないのではないかと思った上り坂。あのときよりは足が動きます。ただ心肺系が苦しいだけ。苦しいのは我慢すれば乗り越えられます。

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そうやって止まりたくなる自分を奮い立たせての60階到達。

60階まで駆け上がっても、まだ油断はできません。60階の回廊をぐるっと1周近く周りますので、数十メートルのランが残っています。昨年はここで安心してスピードを落としてしまいました。

今回は最後まで駆け抜けよう。そう思って走り出した最初のコーナーで足を滑らすというハプニング。それでもすぐに体勢を整えてリスタートします。足に力は入りません。

ここで歩いても数秒遅いだけ。そう分かっていても、足は前に進もうとします。

13分32秒。

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昨年よりも1分も速くゴール。ただ、その瞬間にわたしを支配したのは悔しさです。きちんとハルカススカイラン向けの練習ができていれば、あと2分は縮められたはず。

10分台を出せるかどうかはわかりませんが、11分台は確実に出すことができました。

練習ができなかったのはすべて自分のせいですが、ただただ悔しさだけが残ります。この日のベストは尽くせましたが、もっとできるはずという思いは消えることがありません。

今シーズンのメインレースは愛媛マラソンです。それが終わったら、半年以上かけて上り専用の体づくりを始めよう。この悔しさを1年後にぶつけたい。そんな想いがわたしを支配しています。

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そこに何があるのか?

きっと何もないのでしょう。あるとするなら自分の誇りを守るというだけのこと。誰のためでもなく、誰かに勝ちたいのでもなく、自分のプライドのためだけに体を鍛え上げる。

そんなことを考えながら、取材枠での2本目を駆け上がりました。

おそらくハルカススカイランを4本走ったことがあるのはわたしだけ。誰よりもあべのハルカスの階段を知っている男としての挑戦がこれから始まります。


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著者:ディエゴ・シメオネ
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