ハルカススカイラン向けの体づくりをしているため、負荷の高い練習後の数日はかなりゆっくりのスピードでジョグをしています。そのため、いろいろな人の背中を見ながら走ることができます。
わたしの練習コースには東海大学陸上部の選手なども走りに来ますので、そのレベルの幅はとても広く、参考になる人もいれば「もう少し走りを改善したほうがいいのでは」と余計な口を出したくなる人もいます。
ランニングにおける走り方なんて人それぞれでいいのですが、正直あの腕振りというものだけは今すぐ止めさせたほうがいいような気がします。みんなあんなに腕を振って何をしているのか不思議に思います。
マラソンのテレビ中継で解説者がしきりに「もっと腕を振ったほうがいい」と言っているのが最大の弊害だと思うのですが、腕振りにどのような効果があるのか、人間の体の仕組みも含めて説明できる人はどれくらいいるのでしょう?
キロ3分で42kmを走る世界のことはわたしには分かりません。自分でもキロ4分を切るくらいのスピードを出すときは、つい最近まで腕を振るしかないと思っていましたが、それもたぶん近いうちに必要ないと言い出すでしょう。
ランニングに詳しい人なら「腕じゃなくて肩甲骨を動かすんだ」と言うかもしれません。これは腕を振るよりはよっぽどマシですし、理にかなっているとは思います。
そして肩甲骨の動きを意識して、速いスピードを出そうとすると腕振りが必要になります。そうしないと腕の動きがワンテンポ遅れてロスになってしまうからです。前提として肩甲骨を動かす必要があるならですが。
わたしのいまの走りは以前よりもさらに肩甲骨を動かしません。それでもちゃんとスピードは出せます。
わたしの場合は特殊な走り方ですので、それをみんなにおすすめするつもりはありません。ただ腕を振っても振らなくてもキロ3分30秒くらいなら大して変わらないという事実は知っておいてもらいたいところです。
腕を振るのは別に構わないと思います。なぜ振るのかをきちんと自分で説明できるなら。でも、どこかのランニングコーチにそう言われたから。これは説明ではありません。
腕を振ることでどの筋肉が連動して、走りにどうプラスになるのか自分なりに理解できているなら腕なんて好きに振ればいいのではないかと思います。ただ少なくともわたしの経験の範囲内では腕を振るメリットはほとんどありません。
ただ、ひとつだけ明確なメリットを挙げることはできます。それは腕によってリズムをとるくらいのことです。腕を振ることが習慣になっている人は、いきなり腕を振りを止めるとリズムが取れなくてうまく走れません。
そういう意味では腕振りもまったく意味のないものではありません。ただ、それは習慣になっているだけのことであって腕を振らない走りが定着したら、腕でリズムを取らなくても走れるようになります。
なぜ、ここまで腕振りを嫌っているのかというと、サブ3を狙うようなトップランナーでもないかぎり、腕振りが走りにまったく連動していなどころか、あきらかに腕振りが走りを阻害しているように見えるからです。
背中側から見ているとバランスが完全に崩れていてロスの多い走りをしてます。その最大の理由が筋力不足にありますが、筋力をつけるには地道なトレーニングが必要です。
普段忙しい市民ランナーのほとんどが、そのような地道なトレーニングをする時間がないかと思います。だとすれば最初から腕なんて振らなければいいんです。
ただでさえ足りていないエネルギーを腕なんかで消耗するのはもったいないと思いませんか?
もうひとつだけ腕振りのメリットがあるのを思い出しました。「写真が映える」これは顕著に違いが出ます。腕振りがないランナーは絵になりません。わたしは万里の長城マラソンのPV撮影で何度も「腕を振れ」とカメラマンに言われました。
腕振りなんてその程度のものです。
いつも言っていることですが、大事なのは自分で考えるということです。なぜそれを選ぶのか、なぜそうなっているのかをきちんと自分で考えて自分の言葉で語れるようにしておくこと。
これはマラソンに限ったことではありません。言い方は悪いですが、何も考えずに腕振りをしている人は、普段から自分で考えるという習慣が足りていないように思えます。
だからどうだと言われると返す言葉はありませんが、何事も自分で考えること。そして自分で決めること。フルマラソン走れることよりも、そのことのほうがよっぽど重要です。少なくともわたしの中では。
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