ランニングではフォアフット(前足部)やフラット着地、踵着地といろいろな着地方法があり、最近ではフォアフット着地のランナーが増えてきました。
その理由として、ケガをしにくいというものもありますが、何よりも「トップランナーの多くがフォアフットだから」というのが影響しているかと思います。ただこの情報はある意味正しく、ある意味間違っています。
正確にはトップランナーがレースペースもしくはそれよりも速いペースで走るときにフォアフットになります。そうでないときには、ほぼフラットな着地になっているということはあまり知られていません。
彼らはフォアフットで走りたいと思ってそうなっているのではなく、キロ3分というスピードで走ったときに、勝手にフォアフットになっているだけです。キロ3分というのは、100mを18秒で走るスピードです。
高校男子の100m平均が14秒前後ですので18秒はそこそこののスピードです。しかも、それをあと420回も繰り返すわけです。100mを18秒で走るというのは、地面を蹴るなり押すなりしないと出せません。
出来るだけ接地時間を短くして、回転数を上げていく。ピッチも200前後(1分で200回着地)ありますので、踵を付けている余裕はありません。踵を付けないのではなく、踵が付かないというのがトップランナーたちの走りなのです。
ただ実際には後半になると筋力が低下するので、多少は踵を使うことになります。とはいえ、このトップランナーの走りを指して、ランニングはフォアフットがいいと言うのは「本当にそうなのか?」と疑問に感じます。
仮にトップランナーが全速力の80%くらいの力でフルマラソンを走っているとします。市民ランナーでも同じように80%の力で走るならフォアフットでもいいと思います。
でも実際にそのスピードを維持して走り続けられる市民ランナーはほんのひと握りだけです。
トップランナーが力を抜いて走るときにフラット着地しているなら、同じようにわたしたちもフラット着地が理想ということになるはずですが、そのような文脈で着地方法が語られたものを読んだことがありません。
わたしは基本的にフラット着地です。なぜならそれが1番安定するから。裸足でもシューズでも基本的フラットです。シューズは踵が厚いので結果的には踵着地になりますが、意識としてはフラットにしています。
ただスピード練習では踵は付きません。実際には紙一重。踵がほんの少しだけ浮いているレベルで、細かく見れば地面に触れているかもしれません。
これが絶対に正しいとは言いませんが、理にはかなっていると感じていますし、走りとしても無理がありません。少なくとも練習で大きなケガをすることなく走り続けてきます。
裸足だから?
でも裸足の人たちはフォアフットだからケガをしないと言います。わたしはフォアフットではありません。
むしろフォアフットを意識しすぎてケガをする裸足ランナーも少なくありません。裸足用の筋肉が出来てないのにいきなり長い距離を走ったからというのが定説ですが、裸足用の筋肉なんて存在しません。
安定した着地が出来ているかどうかの問題で、フォアフットを意識し過ぎて踵を付けないのは、筋肉の負荷としてはトップランナーがレースペースで走っているのと同じ状態になっています。
不安定な状態で無理して走るからケガをするわけです。間違ったフォアフットは間違った踵着地と同じくらい問題があります。
ケガをしたくなければ出来るだけ広い面で体重を受けなくてはいけません。だから、走りの基本はやはりフラットなんだというのが、最近のわたしの考え方です。数年後に違うことを言っているかもしれませんが。
ただ裸足を否定するわけではありません。わたしは普段の練習のほとんどを裸足でしています。速くなりたいのではなく、上手に体を使えるようになりたいから。そのためにはシューズからの情報はノイズにしかなりません。
うまく走れていないとき、シューズを履いていると、それが走り方の問題なのかシューズのせいなのかわからなくなります。
わたしは左足のほうが長いため、右足と左足で微妙に膝の角度を変えて走っています。この時の感覚は裸足でないと分かりません。
先日、久しぶりにシューズで走ったときに、まっすぐな道なのにどんどん右に体が流れていきました。左のほうが長いから当然の結果ですが、シューズを履いたことで、神経の伝達系が混乱して微調整が出来なかったのがその理由です。
わたしが裸足で走るのはフォアフットで走りたいからではなく、体の声をダイレクトに聞けるから。あとは、ただ楽しいからというだけです。
もっとも走り方なんて人それぞれ。正解なんてどこにもありません。
自分でそれを探す過程が大切です。ただ闇雲に試行錯誤しても遠回りになるだけです。もし試行錯誤のヒントが欲しいという人がいれば、時々開催してるわたしの練習会に来てもらえればと思います。
もしくは平日夕方に鶴巻温泉まで来てもらえれば一緒に練習します。文章ではやはり伝えきれないので、ぜひ気軽に声かけてくれればと思います。