ランニング後にビールなどを飲酒すると脱水症状になるのは本当か?

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ずっと疑問に思っていました。ランニングなどの運動の後に飲酒すると、脱水症状になって危険だから止めておけってやつ。水分を摂って脱水症状になるわけないじゃないかと思いながらも、「常識」みたいな扱いだったので信じてました。

でも、その根拠となるデータを探そうとしたんですが、インターネットなどで探しても論文やデータが見つかりません。どのサイトも「1リットルのビールを飲むと1.1リットルの水分が失われていると言われています」みたいな濁し方。

誰が言ったのが、その根拠がどこにあるのかの出典みたいなものは書かれていません。

そんなのランニング後はビールを飲むしかない派のわたしとしては認められません。その根拠があやふやなままで練習後のビールが否定されていたのではたまりません。

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というわけで、本当にそれは根拠があるのかどうかについて調べながら記事にしていきます。ここ大事です。結論ありきではなく、今この文章を書いている段階では結論は分かっていません。

ことの始まりは簡単なことです。がっつり汗をかいた後に飲みに行って、そこそこビールを飲んだにもかかわらず、帰宅まで数時間一切トイレに行かなかったわけです。

食事もそこそこしているのもありますが、体重は増えています。2〜3日は体重が増えたままです。脱水しているなら体重は減るはずですが、そんな経験は一度もありません。ビールで飲んだ水分はちゃんと体に留まっています。

この問題を解決するにはまず、アルコールの分解について学ばなくてはいけません。

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胃や腸で吸収されたアルコールは血液を通じて、肝臓に送られます。肝臓でアルコールは次の順に分解されていきます。

「アルコール→アセトアルデヒド→酢酸」

酢酸は血液を通って全身をめぐりながら水と炭酸ガスに分解され、最終的には尿として体外は排出します。アルコール50gを排出するのに必要な600〜1000mlと言われていますが、まずこの根拠がまったく分かりません。

ただ、ここで止まっては意味がないので、仮にここでは1000ml必要だとしましょう。アルコール度数5%のビールを1リットル飲んだとすると、このときの水分摂取量は950mlで、摂取したアルコールは39.5gです。

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39.5gのアルコールを分解するのに必要な水分は790mlということになります。水分はすでに950ml摂取していますので、もし、アルコールの分解が瞬時にされて排出されたとしても、160mlは体内に残ります。

非常に効率は悪いのですが、摂取水分の16%は体内に残るのですから走った直後よりはマシです。

もちろん、これがアルコール度数の高いお酒になると話は別です。アルコール度数が6%までは許容範囲内ですが、それを超えるとアルコールの排出に追加で水分が必要になります。

ここから考えるに、ランニング後のビールは正しかったわけです(正しくはない)。誰ですか、危険だから飲酒しないほうがいいなんて言ったのは。

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ちなみに1000mlのビールで摂取した39.5gのアルコールを分解するのにかかる時間は、体重が55kgの場合は4時間48分です。こんなにも時間をかけて、790mlの水分を排出するわけです。

ランナーは夏場のランニング1時間で1〜2リットルの汗をかきます。全然ゆっくりですよね。ビールが脱水症状を招いて危険だと言うなら、ランニングのほうがもっと危険です。

水分面だけを言えば、ビールは一時的であっても体内の水分を補うことができますし、少なくとも排出量よりも体内に残る量のほうが多いので、脱水症状を促進させるということはありません。

もちろん、ビールを飲まずにきちんと水分と塩分補給をしておいたほうが体にいいのは間違いありません。でも、そんな健康を考えるくらいなら最初から体に負担のかかるマラソンなんて走りません。

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健康よりも快楽を優先させているのがマラソンランナーです。健康だけ意識するなら毎日30分〜1時間走っていればそれで十分です。フルマラソンは体内の活性酸素を増やしますので老化だって早く進みます。

というわけで、ランニングのビールは正解と言いたいところですが、これはあくまでも水分面だけの話であって、ランニング後の飲酒には実は別の問題があります。

アルコールを排出するときに必要なのは水だけではありません。ビタミン類やカリウム、ナトリウム、亜鉛、カルシウム、糖分などなどミネラルがどんどん抜けていきます。

シメのラーメンや味噌汁が欲しくなるのはナトリウム不足が原因で、マラソン後の夜に飲むとカリウム不足で足が攣りやすくなります。飲んだ帰りに甘いものが欲しくなるのは糖分が抜けているからです。

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要するに、ランニング後にお酒を飲んで不足するのは水分ではなくミネラルなどの栄養素なわけです。これはちょっと大きな問題です。単純に考えて体の回復が遅れますので、練習再開が遅くなります。これは実際に研究結果が出ています。

ただ、足りないものは補えばいいわけです。打ち上げで飲むときにミネラルの摂取を積極的に行うこと。特に塩分は汗でも抜けていますので、意識して摂る必要があります。

あとは走った後には体内の水分とグリコーゲンの量が落ちていますし汗もかいていますので、普段飲むときよりも血中アルコール濃度が上がりやすくなります。簡単に言えば酔いやすいというわけです。

酔うために飲んでいるわけですから、お手軽でいいのですが体への負担は大きくなります。判断力も低下しますので、乗り過ごしなども発生しやすくなります(これは個人的な問題)。

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結論を言えばランニング後にビールを飲んでも脱水症状になんてならないけど、体には良くないということになりました。ビールじゃなくてもアルコール度数を6%以下に抑えておけば脱水症状にはなりません。

体に良くないから飲まないか?

バカ言っちゃいけないよの世界です。わたしたちはロボットでもAIでもありません。合理性ばかりで生きているわけではありません。高揚したいときもありますし、美味しい日本酒を口にした喜びはフルマラソンを完走するよりも大きいものです。

もちろん、お酒に弱い人や好きじゃないという人もいると思います。そういう人にランニング後のお酒を強要するつもりもありません。でも「脱水症状になるから」と脅すのは止めたほうがいいと思います。

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最初にも書きましたが、そもそもアルコールの排出に必要な水分量の根拠となったデータが、わたしの探す限りでは見つかりません。おそらくお医者さんとかならすぐに出せると思いますが。

いずれにしても、お酒はほどほどにというのは間違いありませんが、この暑い時期に「脱水がこわいから」といって飲むのを断念する必要はないということです。

わたしぐらいが簡単に検証してわかることなのに、なんで大手メーカーは飲酒が脱水症状を招くなんて言うんでしょう。情報はきちんと伝えるべきです。

というわけで、わたしはこれからも大手を振って、ビール党としてランニング後のビールを楽しもうと思います。日本酒は走った後以外か、きっちり水分と塩分補給をしてから。検証したからにはそれくらいはしっかりしようと思います。

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この記事には続きがあります。


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著者:葉石 かおり
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