仲間と走った秋の万里の長城マラソン2018回想記

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万里の長城マラソンを走るのはこれで何回目になるのでしょうか。日本事務局の仕事をするようになって、春大会にはすでに出ていませんが、小規模な開催となる秋大会は昨年に引き続き2回目です。

実は一昨年も秋大会が開催されるはずだったのですが、中国政府からの指示で別の大会に合流させられるという結果になりました。

そういうトラブルを回避するために、秋は大きな万里の長城ではなく村の中にある小さな万里の長城で開催を目指し、今年それが実現できました。

大会そのものについてRUNNING STREET 365でレポートしていますし、レースはそれほど語ることもありません。わたしが参加した男子10kmの参加者が4人だったこともあり、幸運にも優勝させてもらいました。

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勝負の勝ち負けというのは時の運のようなものがあり、自分よりも速いランナーがいたら勝つことができません。実際にわたしはハーフマラソンのトップよりも、10kmの時点では後ろにいましたし。

そして全力を出し切ったかというとそういうわけではありません。撮影のための、それからまた10kmを走り、さらにフルマラソンランナーのサポートでプラス7km程度。

もちろん筋肉痛もかなりきていますが、命を絞りきったような走りをした昨年とは高揚感も疲労感もまったく違います。コースも春のコースよりも万里の長城部分が短いので、負担はそれほどありません。

でも、春のクレイジーなコースは普通ではありません。一般のフルマラソンランナーが挑戦するには、秋の大会の万里の長城のほうが適しています。

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そういえばわたしが最初に参加した当時は、5〜6時間で完走していました。コースの難易度が上がったのは2013年から。わたしが万里の長城マラソンにハマったのは、そんな緩さが残っていた頃の大会でした。

そういう意味では、今回初めて参加してくれたラン仲間にとっても「もう絶対に走らない」とならなくて、良かったのではないかとは思いますが、それぞれにどう感じたかは分かりません。

ただ、あれほどまでに美しい万里の長城を見てもらえたというのは、本当に良かったと感じています。写真を載せてはいますが、はっきり言って写真ではその壮大さの半分も伝わりません。

「万里の長城を見すぎて、少しも感動しない」と言っていたわたしが、口をあんぐりさせて驚くしかないほどの美しさ。参加者が少ないのもあり、それをすべて独り占めできるわけです。

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秋の万里の長城マラソンがいいのは、やっぱり参加者が少ないということです。嫌でも他のランナーと近づくことになります。ラン仲間たちもそれぞれに国際交流を楽しんでいたようでした。

そういうとことから「もう少し英語ができるように」とか「中国語も勉強しようかな」となったなら、それは万里の長城を走ったことよりも意義のあることだと思います。

わたしも中国語をほとんど話せませんが、最低限のコミュニケーションくらいはとれるくらいになったのは、万里の長城マラソンの存在があったからで、そこから中国や台湾の友だちが増えたわけです。

今回は、ラン仲間を連れ出して北京市内を1日20kmのペースで歩かせてしまいましたが、それだけ歩いたことで、普通の観光では感じられない北京の今に触れてもらえたような気がします。

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5人の仲間、みんなが北京を気に入ったかどうかも分かりませんが、少なくとも気に入るかどうかの判断材料くらいにはなったはずです。

わたしは北京が大好きですが、北京に在住している人ですら北京が好きでなかったりするわけです。みんながみんな「また行きたい」とならなくても、それがあたり前。

もちろん楽しんでもらいたいですし、またみんなで来れたらいいなとは思っていますので、自分が「これは美味しい」と感じた料理店をチョイスしましたし、観光地も歩いてもらいました。

わたしが北京の街に慣れすぎているので、どんなところに心を動かしてもらえるのかが、すでにわからなくなっているという問題があるものの、みんなと歩くからこそ、いつもと違う北京の表情を楽しむことができました。

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楽しんでもらうつもりが、結局はいつものように楽しませてもらったような形です。

自分だけの参加だったら、これまで走った万里の長城マラソンとそれほど変わらない時間を過ごしたはずです。それも悪くはありませんが、豊かさや幸せというのは「どこにいるか、何をするか」ではなく、「誰といるか」ということのような気がします。

わたしは1人でいる時間を大切にするタイプですが、それができるのも孤独ではないと思わせてくれる人たちがいるからです。そういう意味では、春の大会も多くの人と繋がれる大切な大会です。

でもやっぱり春は人数が多いので、全員に気を配ったり、トラブルを起こさないようにと考えたりしようとすると、1人1人と向き合える時間が短くなってしまいます。

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来年の春は100人以上の日本人参加者を目指していますので、それだけの人数が集まったら、すべてがをこれまで通りにするというわけにはいきません。

今回、仲間と万里の長城マラソンを走ったことで、自分の原点を思い出しました。そのことによって、春の大会をもっと全力でサポートする覚悟ができました。

このタイミングで、北京で仲間と同じ時間を共有できたこと。

正直これだけで、わたしは十分に満たされました。満腹と思えるくらい充実した時間を過ごして帰国できる。これと同じような感覚を1人でも多くの人に体感してもらう。これがわたしの役割であることを再確認。

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北京に観光で行く人を何万人も増やすことは、わたしの器ではありません。でも、万里の長城マラソンというキラーカードを手にしてしまったからには、その運命に抗うわけにはいきません。

日本事務局としても、やや慣性の法則に流されていたところでしたので、それを見つめ直すいいきっかけになりました。やっぱりわたしは北京が好きですし、その北京を訪れてほしい。

そのためにも、まずラン仲間に「また万里の長城マラソに行きたい」と言ってもらえる大会にできるようにすること。そのためにするべきことが山積みですが、一つひとつ着実に進めていきます。


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著者:インフォビジュアル研究所
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