走ることの楽しさや意味を伝えていくという役割

ランニングというのはとても分かりやすい競技です。走り出せば、誰でもそこからランナーを名乗れます。サッカーやバスケットボール、野球などではそうもいきません。基本の動きを身に着けて、ルールも学ばなくてはいけません。

そういう垣根の低さがありますが、実際にランナーになる人はあまりいません。マラソンブームがありましたが、それでも実際に走り出したのは20人に1人くらいじゃないかと思います。

継続してランナーであり続けた人というのは、もっと少ないはずです。ランニングは始めるのが簡単ですが、やめるのも簡単です。走るのをやめてしまえば、ランナーではなくなります。

こんなに手軽で、しかも健康的になれるのに、実際にランナーになる人が少ないという事実。わたしの周りでも、かつて走っていた人でも、もうランニングをやめている人もいます。

走らなくなる理由はそれぞれですが、ほとんどの人が習慣化に失敗したか、習慣化の重要性を理解できずにいたかのどちらかだと思います。習慣化されていないランニングはなかなか続きません。

走る理由が明確な人の場合には、習慣化する必要もなく、モチベーションを高く保てば継続できます。でも、なんとなく走るというのではやはり続きません。それはランニングに限ったことではなく、例えば英会話なども同様です。

人間は必要に迫られないと頑張れないものです。夏休みの宿題を残り数日で仕上げた経験のある人なら分かるかと思います。そこまでにダラダラした時間はいくらでもあったのに、追い込まれるまで手を出さない。

わたしたちは、やらない理由を作るのが得意です。わたしだってそうです。興味が湧いたことでも、いろいろ理由をつけてやらないわけです。それに関しては、みんな天才的な能力を発揮します。

ランニングなんてしなくても生きていけます。だから興味が湧いたとしても「シューズを買わなきゃ」「走り方がわからない」などと理由をつけるわけです。「ランニングは健康に悪いと聞いた」なんて言う人もいます。

そういう人に、どうやれば興味を持ってもらえるのか。最初の一歩を踏み出してもらえるのかについて、最近よく考えています。

少し前までは、自分が楽しんでいる姿を見てもらえれば、自分も走ってみようかなと思う人が増えると思っていました。でも、実際にはわたしが楽しめば楽しむほど、周りの人たちからは距離ができていきます。

理由はわかっています。わたしの楽しみ方が極端だからです。「1日で東京の坂道を60ヶ所走る」なんて言っても、誰も共感はしてくれません。いや、共感してくれる人もいます。でもかなり限られた人たちです。

でも、そこに酔っていた自分がいたのも事実です。自分のやったことが、ちょっと常識から離れていても「面白そう」と言ってくれる人がいて、それで満足していたのがこれまでのわたしです。

そこで勘違いをして「みんなこういうのが好きなんだ」と思って、イベントをしても思ったよりも人が集まらない。そりゃそうです。1日に60km走りましょうなんて言っても「それは無理」となるに決まっています。

ずっと分かっていたことですが、見て見ぬ振りをしてきました。自分のやりたいことがそこにあったから。それと同時に「もっと走り出してもらいたい」という思いを持っていて、そこに矛盾が生じていました。

落とし所をどこにするのかというのは、とても難しいところです。自分の楽しさを追求するのか。それとも、こうあって欲しいという想いを形にするために、自分の楽しさを手放すのか。

金の斧と銀の斧の両方は選べません。

わたしは「世のため人のため」というタイプの人間ではありません。大きな世界を変えたいわけではなく、もっと小さな世界の身近な人を幸せにしたい。ランニングがその幸せにつながればいいなとは思っています。

では、そのために自分が何をするのかということです。RUNNING STREET 365はそのひとつの形ですが、認知度はそれほど高くありません。もっと露出させていかなくてはいけませんが、そのための分析と行動が不足しています。

情報発信するというのが、わたしの役割。だから、わたしなりの形で、もっとランニングしたくなるような話をしていかなくてはいけません。どこに障壁があるのか、何がハードルを上げているのか。

自分なりの答えを見つけて、自分のやり方で伝えていくこと。それをもう少し意識的に行っていこうと思います。先日のMGCでせっかくマラソン熱が高まっていますので、それに合わせて「走り出そう」運動を始めます。


「言葉にできる」は武器になる。
著者:梅田 悟司
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