東京マラソンはどこに向かうのか【アスリートファーストとは】

2020年の東京マラソンの受付が豊洲になりました。受付会場が2ヶ所に分かれており、さらにEXPO会場が別の場所になっています。オリンピックではあれほどアスリートファーストを掲げていた東京都が、いきなり反旗を翻したような選択をしています。

個人的には東京マラソンはよく出来ている大会だとは思っていますが、この数年はどうも迷走しているような感じを受けています。これまでは軸が一本通っていたような雰囲気がありましたが、今は船頭を失った船のようにさまよっています。

大きな船だから、とりあえずまっすぐに進んでいますが、このままの状態が続くようだと間違いなく座礁します。

目次

東京マラソンEXPO 2020はランナー以外は入れない?

東京マラソン2020の受付とEXPOの会場は次のようになっています。

プレスリリースより

ランナー受付A会場:豊洲PIT
ランナー受付B会場:新豊洲 brillia ランニングスタジアム
EXPO会場:豊洲市場6街区屋外スペース

豊洲PITと新豊洲 brillia ランニングスタジアムは道路の対面にあるので、かなり近いように思えますが、横断歩道がないので、会場を間違えると豊洲市場駅のほうまで引き返さなくてはいけません。このあたりは気をつければいいことですが、混乱が起きるのは間違いありません。

そして、EXPO会場は800mも離れた豊洲市場です。それも屋外スペースということですので、おそらくランナーの多くは、EXPOに行かずに帰ることになるかと思います。よほどポカポカ天気なら散歩感覚で行くかもしれませんが。

ただEXPOに関しては面倒な制限があります。

  • 2月27日(木)及び28日(金)は一般来場者が入場できないこともある
  • 2月29日(土)は一般来場者が入場できない

基本的に東京マラソンに出場する人のための東京マラソンEXPOということになります。木曜日と金曜日なら出場しない人も入れるかもしれませんが、豊洲にまで行って入場制限されているかもしれないと思うと、わざわざ行くことはないでしょう。

実質的に東京マラソンEXPOから、出場するランナー以外は締め出されたことになります。これはいったい誰が得をするのでしょう?

会場がこれまでよりも狭くて、混雑するのを防ぐためということですが、東京マラソンEXPOは東京マラソンの抽選に落ちた人も楽しみにしているイベントのひとつです。他に選択肢はなかったのでしょうか。

ランナー目線ではなく運営目線になりつつある

東京マラソンの倍率は10倍以上もありますが、その人気の理由としてランナー目線ですべてが構築されていた点が挙げられます。何をするにしても、まずはランナーのストレスにならないようになっていて、その待遇の素晴らしさが特別感につながっています。

ベースが「ランナーの喜び」にあり、それでいて関係するすべての人たちがハッピーになるような仕組みを作り出した天才がいます(どなたか存じませんが)。でもその構築したものが崩れ落ちているのを感じます。

少なくともいまは、ランナー目線ではなく運営目線です。運営をしやすいように、運営側の都合で様々な部分が再構築されています。そして、東京マラソンはもはや、わたしたちが熱狂した頃の姿ではなくなっています。

  • 厳重すぎるスタート前の警備
  • 閑散としたフィニッシュエリア
  • 読み取りづらい案内図
  • フィニッシュエリアから荷物受取まで長い距離を歩かされる
  • 雨や雪を考慮しない屋外でのEXPO

それぞれに理由はあるのでしょう。仕方のないこともありますが、どれもこれも運営側の都合で決まっていることです。このあたりが、5年後10年後にどう響いてくるのか。少なくともわたしにはいい未来は見えません。

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東京の考えるアスリートファーストとは

来年のオリンピックにおいて、アスリートファーストという言葉を何度も耳にしました。そして、マラソンと競歩が札幌に持っていかれる形になりました。これに関してはIOCの強引さに苛立ちましたが、そもそも東京都がアスリートファーストを履き違えているような感じも受けています。

IOCにしても東京都にしても「自分たちの考えるアスリートファースト」を押し付けているに過ぎません。そしてそのベースにあるのが「運営側の都合」です。まずは運営側の都合ありきで構築し、そのうえでアスリートに提供できるベストを尽くす。

これではアスリートファーストではなくアスリートセカンドです。

もちろんマラソン大会なので、運営できないのでは成立しません。でも、かつての東京マラソンは、まずはランナーのことを最優先して構築していました。それによって運営がかなり大変だったことだとは思いますが、東京マラソンに人気が集中したのは、それを徹底していたからです。

そういう姿を取り戻してももらいたいと思いながらも、大きな船が進路を変えるのは簡単ではないことも理解しています。東京マラソンはお祭りのようなものですので、他のマラソン大会と比較することに意味はないのかもしれません。

ただ「ちょっとおかしくないか?」と感じる部分が増えています。東京都としては「このまま進めば氷山にぶつかる」と思って舵を切ったのだとは思いますが、わたしには氷山に向かって舵を切っているようにしか見えません。他のランナーがどう感じているかはわかりませんが。

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