昨日のブログで、なぜ走ると心拍数が上がるのかという話をしましたが、そこからさらに興味が深堀りされて、そもそもランニングというのは体内で何が行われているのかが気になったので、自分なりにまとめる意味も含めてブログに書いていこうと思います。
自分の体を知るのは個人的には面白いのですが、外向的な人はただただ退屈かとは思います。でも何かの役には立つかもしれませんし、気付きにつながるかのうせいもあるので、よろしければ最後までついてきてもらえればと思います。
筋肉の収縮はATPによって行われる
わたしたちは骨格筋と呼ばれる筋肉を収縮させて走ります。この筋肉の収縮に必要なのがATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれる化合物です。筋肉が収縮するときにATPが分解されてADPやAMPと呼ばれる化合物になります。
もう付いてこれないという人もいそうですが大丈夫でしょうか?わたし自身もそこそこきついです。
ATPがADPやAMPに分解されるときにリン酸が分離します。筋肉を動かし続けるには、この分解されたリン酸をADPやAMPに付加してATPに戻す必要があります。それをするのがホスホクレアチンやグリコーゲン、グルコース、脂肪酸、アミノ酸などになります。
ホスホクレアチンはマラソンにあまり関係ないので省きます。グリコーゲンは炭水化物を摂取したときに肝臓に蓄えられるエネルギー源です。これが消費されるときに乳酸が発生するので乳酸系と呼ばれています。
グルコース、脂肪酸、アミノ酸は有酸素系と呼ばれるマラソンで使われるエネルギー源です。これらからATPを作る仕組みはかなり複雑なので省きます。
マラソンでは有酸素系のエネルギーも使いますが、速いペースで走るときに乳酸が発生することからもわかりますように、乳酸系のエネルギーも利用します。いずにれしても大事なのは、これらのエネルギーがないとATPが作られず、走れなくなります。
ATPをエネルギーとするときに熱が発生する
ここで少し昨日のブログの内容に戻りますが、わたしたちは走ると体が熱を持つとお伝えしました。この熱の発生源がATPになります。ATPが分解されるときのエネルギーの25%が筋収縮に使われ、残り75%は熱になります。
筋収縮を頻繁に行うとATPの分解が進みますので、体はどんどん熱を生み出すことになります。熱が発生するとどうなるのか。
- 皮膚血管が緩み皮膚に血液が溜まる
- 心臓に戻ってくる血流が減るので交感神経優位になる
- 心拍数を上げてより多くの血液を流そうとする
- 汗をかいて体を冷やそうとする
- 汗をかくと血液の水分が失われて余計に交感神経が活発になる
- さらに心拍数が上がる
ランナーでもない限り、普通は汗をかいた時点で運動をやめます。そうすると汗で体が冷やされて(少し説明が乱暴ですが)、血液が心臓に戻ります。副交感神経優位になり心拍数が下がります。休んでいるのでATPの分解が行われないため、発熱も起こらずに体は元に戻ります。
こう書くとわかるのですが、汗というのはかなり厄介な存在です。ATPが分解されるだけなら体内の脂肪やアミノ酸から再合成できますが、汗というのは細胞や血液の水分を消費します。外部から補給しないと戻りません。
有酸素系でATPを生成するときにビタミンB1が必要になる
少し話を戻しましょう。グルコース、脂肪酸、アミノ酸などの有酸素系のエネルギー源はミトコンドリアを使ってATPの生成を行います。このときに必要になる栄養素がビタミンB1です。ということはビタミンB1が不足すると、ATPの生成ができなくなります。
ビタミンB1は体内の貯蔵量が25〜30mg。マラソンでどれくらい消費するのかは調べきれませんでしたが、日本人の推奨摂取量が男性で1.4mg、女性で1.1mg(年齢によって違う)ですので、そう簡単には貯蔵量が足りなくなることはないはずです。
ただ、ビタミンB1は脚気の原因になったように、日本人には不足しやすい栄養成分のひとつです。もっとも豚肉をそれなりに食べていれば補えるので、基本的には心配いりません。わたしの場合は玄米食なのでさらに不足はないはずです。
たくさん摂取しても尿から排出されるので、大量摂取する意味もありません。
とはいえビタミンB1はお酒を分解するのにも使われ、利尿作用もあるので、排出を促してしまうという問題もあります。ビタミンB1を十分に摂取しているつもりでも実は不足しているというケースもあるので、お酒飲みはそれなりの注意が必要です。
まぁこれはビタミンB1は意識的に摂取しておこう程度の話として覚えておくと良いでしょう。ただ、これはちょっと奥が深そうな話なので、この先も調べてみることにします。
ストライドを伸ばしたほうが有利という仮説
ATPの分解によって熱が発生し、その熱を下げるために交感神経優位になって心拍数が上がっているのだとすれば、ATPの分解を減らすことが単純に心拍数を抑えることに繋がるのではないかという仮説が成立します。
調べてみるとどこでも「ピッチ走法は心拍数が上がる」とあります。エビデンスが見つかりませんので、自分で試してみようと思います。
ただストライドを伸ばすということは、1回のATP分解におけるエネルギー発生量が大きくなる可能性はあります。これも仮説ですが、速いランナーというのはピッチとストライドのバランスが絶妙なのではないかと思います。
そういう意味では自分に合ったストライドを見つけることができれば、わたしの走りはまだ改善される可能性が残されています。難しいのは走りながらピッチのことなんて考えてもないということ。気持ち1歩を長くしてみますが、上手くいくかどうかはわかりません。
パワーで1歩を大きくするのではなく、体の上手な使い方で大きくできれば良さそうな気もしますが、そんなことが簡単にできればみんなやっているわけで……でもこれは人体実験という遊びです。科学的に正しい走りを実現してみるという遊び。
そのために日々勉強をしているわけです。
ちなみに、いろいろ試してきましたが、いつもの6.5kmのコースでとうとう30分を切りました。速く走ろうとしたわけではなく、体に任せてのタイムです。以前は40分くらいかかっていたこともあったのですが……
走力が上がっているのか、別の原因なのか早くタイムトライアルをしてみたいところです。