第15回湘南国際マラソン中止!マラソン業界がたったひとつの希望を失った日

第15回湘南国際マラソンの中止が発表された。下記の開催条件のうち1〜3を満たしていないということで、これは最初に決められていたことなので仕方がない。2020年8月28日時点よりも好転していないし、神奈川県や自治体がOKとしないだろうし、そして緊急時の後方支援病院がNGとしたのだろう。

1.新型コロナウイルス感染症の状況が2020年8月28日時点より好転していること

2.神奈川県、及びコースを通過する全ての管轄する自治体からイベントの開催が認められていること

3.神奈川県において、新型コロナウイルス感染症に関する診療体制が整っていて緊急時の後方支援病院があること

4.申込人数が最少催行人数「18,000 人」に達していること

マラソン大会は多くの人たちの不便の上に成立しているスポーツで、それらの人たちの賛同がなければ、私有地でもないかぎり開催できない。ただ湘南国際マラソンは比較的自治体との連携も取れていると思っていたし、西湘バイパス内の25kmコースに決まったので、走ること自体は問題がない。

シンプルに「人が集まるのはNG」「人が集まるイベントには協力できない」という方針だったのだろう。そこをなんとかと言えるほど、マラソンは支持されているスポーツではなく、走らない人からすれば「こんなときに走らなくても」となるのは当然だろう。ランナーの気持ちはランナーにしかわからない。

困ったのは自治体の税金を注ぎ込んでいない湘南国際マラソンですら開催できなかったということで、かすみがうらマラソンなども中止に転がる可能性が大きい。長野マラソンも一般枠の募集を見合わせている。この状況が続くなら開催できる根拠がない。

そうなると開催できるのは河川敷などの草レースということになる。すでに小さな大会は開催されており、どの大会も盛り上がっているように感じる。やはりランナーにはマラソン大会が必要で、大会の大小に限らず、練習の成果をはっきする場所があれば参加するのだろう。

わたしも次の日曜日に、江ノ電ランを開催するのだが現時点で7人のメンバーが参加となっている。集まって走れる場がある。それがランニングのモチベーションにつながると思って、2ヶ月に1回のペースでイベントランを始めたが、こういう動きがこれから大きくなっていくだろう。

ランニング系YouTuberもイベントをすればいいのにと思うが、彼らは常に大々的なことをしようとするので(そうでないと注目されない)、10人以下のランイベントなどしていられないのだろう。まぁそれぞれにランニングの盛り上げ方があるので否定はしない。

話を戻そう。湘南国際マラソンが開催できないなら、いったいどこか開催できるというのだろう。感染者数が少ない夏にでも行うのだろうか。秋に開催される東京マラソンだって陸連の提示した基準を厳密に守るとなると、まず開催できないだろう。正直なところ絶望しかない。

もしマラソン大会が開催できるようになるとすれば、それは「新型コロナウイルスが驚異ではない」という考え方に変わったときだろう。闇雲に感染者数をカウントして騒いでいるうちは無理だろう。そもそもマラソン大会は主催には直接的な利益はないのだ。あえて開催する理由がない。

ビジネスとしてマラソン大会を開催するなら、いろいろと手を打つだろう。そうでなければ運営組織が潰れてしまうから。そういう意味ではウェルネスもかなり厳しい状態だろう。アールビーズはTATTAのオンラインマラソンでなんとか生き延びているが、それだっていつまでもは続けられない。

マラソン大会の運営団体がどこまで耐えられるのか。これはマラソン業界の見えていない大きな課題のひとつだ。そしてスポーツブランドもお金がない。シューズもウェアも売れないからスポンサーとしてお金を出すのも厳しい。無い袖は振れないのだ。開催が先送りになればなるほど状況は厳しくなる。

もちろんそれはマラソン業界だけではない。アパレル業界も厳しいし小売業はどこもかなり大変だろう。Go Toで救われている業界とて安泰ではない。安易に「もういいんじゃない」とは言えない状況だが、マラソン大会の存続がかなり危ない状態にあることは知っておいてもらいたい。少なくともランナーは。

「いずれ以前のように戻る」これはかなり厳しいだろう。もしかしたら台湾への渡航が再開されて、台湾のマラソン大会に出られるようになるほうが早いかもしれない。湘南国際マラソンの中止は、マラソン業界においてそれくらいインパクトがあるできごとなのだ。

マラソン業界は唯一の希望の光を失ってしまった。そう言っても過言ではない。チャレンジ精神を他の組織や団体に望むのは無理というものだ。開催するメリットよりもデメリットのほうが大きすぎる。それは、わたしたちランナーにとって、走る目的を失うことを意味する。

それでもわたしたちランナーは、走ることを止めるわけにはいかない。大会がないのだから、走る理由や楽しみ方を見直すきっかけになるだろう。そうなると走る楽しさを提示できる人や組織が注目されるようになる。もしかしたら、わたしにとってこれはチャンスかもしれないとふと思う。

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