Go To トラベルを停止させる状態でランイベントはどう開催すべきか

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年末年始のGo To トラベルが全国一斉停止になるという報道があり、政府はようやく感染拡大を食い止めるための動きを取り始めた。それがどれくらい効果があるのかはわからないが、今更感はいなめない。そして、おそらく人の動きを大きく抑制することはできないだろう。

会社の忘年会はなくなったとしても、飲み会そのものがなくなることはない。忘年会の数が減るくらいことで、人はやはり表に出る。今日から東京は気温がぐっと下がるので、少しだけ風向きが変わる可能性はあるが、そうはいっても年末年始に人の動きを止めるのは無理だろう。

お正月には初詣というイベントもある。もちろん、そんなところでクラスターが起きるなんて思ってもいない。確かに新型コロナウイルスの感染力は高く、みんながマスクをした結果、インフルエンザはほとんどなくなったのに、新型コロナウイルスの感染者数は減らない。

ただ、いろいろ言われてはいるが、結局マスクをして黙っていれば、そうそうには感染は広がらない。満員電車がこれだけ動いているにもかかわらず、この程度の感染者数で収まっているわけなので、神経質になりすぎる必要はないというのがわたしの認識だ。

それでも政府が本気を出すというのであれば、いろいろと改めなくてはいけない部分もある。先日の江ノ電ランも不要不急だと言われればそうだし、年末年始の東西対抗東海道53次ウルトラマラソンだって、必要なのかと言われると悩ましいところ。毎週土曜日の練習会もしかり。

だがわたしは、いずれも止めるつもりはない。参加する参加しないの判断は個人がすればいいことであり、受け皿は用意しておくべきだろう。ランニングイベントを開催する側の立場として、わたしはそう思う(すべてのプロデューサーがそう考えるかは知らないが)。

「わたしたちには走る権利がある」なんてことは言わない。その権利の裏には「すべての人の健康を守る義務がある」わけだし、医療関係で働く人のことも考えなくてはいけない。だから、あれもこれも中止にするというのは簡単なことだが、それが正解だとは思えない。

少なくともマラソン大会は「とにかく中止」という流れができた結果、再開するのがほぼ不可能な状態になっている。もちろん不可抗力というのもあるし、あとになってからなら、誰でも何とでも言えてしまう。大事なのはそこから学ぶということ。もしここでランイベントを中止すれば、再開するのが難しくなる。

そういう意味では緊急事態宣言というのはわかりやすかった。緊急事態でみんなで乗り切らなくてはいけないから、みんなで我慢しようという意思統一ができたし、緊急事態宣言が明けたから活動を再開しようという流れができた(それが正しかったかどうかはここでは問わない)。

マラソン大会にとって不利だったのは、緊急事態宣言を解除したからといってすぐにマラソン大会が開催できるわけではないということだ。プロスポーツは上手に再開に向けての舵を切ったが、マラソン大会は開催日の数ヶ月前に申し込むことになるので、緊急事態宣言が明けたから大会を開催しようとはならない。

そして何よりも6月というのはマラソン大会のオフシーズンになる。そこから夏にかけてはそもそも大会が限られていて、再開するタイミングがなかったのだ。秋大会も「開催できない可能性」を考えたら、自治体が絡んでいる大会は軒並みNGとするしかなかった。

そうこうしているうちに、陸連が再開の方針を示したが、とても現実的な内容ではなかったし、さらには期待の星だった湘南国際マラソンが中止となり、もはやトンネルの出口が塞がれたような感じすらある。マラソンと同じことをランイベントで行ってはいけない。

ランイベントなんてやっている場合なの?と思うかもしれないが、緊急事態宣言でも出ないかぎり開催はする。ランナーの受け皿は必要なのだ。ゆっくりと現在進行形で縮小していくマラソン業界をなんとかするためにも、自分自身がランニングの世界で生きていくためにも。

わたしが何かを背負うつもりはない。志もないし、ただランニングを楽しみたいし、楽しんでもらいたいだけ。でもこういうときだからこそ、走ることでストレスを解消してもらいたいし、ランニングを休んでいたという人も、「また走ろうかな」という気持ちになってもらいたい。

すべてを変えることなどできないが、目の前でもがいている人に手を差し伸べるくらいのことはできる。少なくともまだ今は手を引くタイミングではないというのがわたしの判断。絶対引かないというつもりはない。これは開催すべきでないと判断することだって当然ある。

いまは周りにいるランナーから笑顔が失われないように、自分にできることをやっていくだけ。幸か不幸かわたしには後ろ盾になるものがない。誰かに叱られるということもない。だから無茶をすることもないが、まだしばらくは自分の責任でランイベントを続けていこうと思う。


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