第6回東西対抗東海道53次ウルトラマラソンを振り返る

そういえば、東西対抗東海道53次ウルトラマラソンについて、ほとんど何も書いていなかったのを思い出し、今さら振り返ってみようと思う。大会全体ではなく、個人的な走りについて。ダラダラ引き伸ばしても読む方も大変なので、3日分をコンパクトにまとめておきます。

3日間で250kmをどう走ったのか。走りそのものは決して良いものではなかったのですが、これから旅ランをする人の役に立てばいいなと。きっと、このままマラソン大会が開催されなかったら、旅ランがちょっとしたブームになるかなと期待しています。いや、そのブームの一翼を担いたいというのが本心です。

目次

2020年12月30日・1日目

東軍のスタートは東京の日本橋。東軍はクレイジーランナーの三州ツバ吉さんと、ワラーチでウルトラマラソンを走れる小嶋さん。ただし、三州さんは仕事の関係で1日遅れのスタート。小雨が降る中、午前8時の日本橋から2人のランナーが走り出す。いや、サポートにラン仲間のナベくんが来てくれたので、スタートは西軍と同じ3人。

西軍は毎週のようにウルトラマラソンを走る田中さんと、トライアスロンもウルトラマラソンもこなす安藤さん。そして、この大会までフルマラソンよりも長い距離を走ったことのない野原さん。東軍も西軍も全員(東軍サポートのナベくん、西軍サポートの松島さんも含め)が万里の長城マラソン参加者だったのですが、万里の長城マラソンに参加する人は、挑戦するということに対するハードルが低いのかもしれません。

問題はこのメンバーの中で、圧倒的に練習量が足りていない私。付け焼き刃で2週間前に御殿場線66kmを走りましたが、東西対抗東海道53次ウルトラマラソンは1日90kmは走りたいところ。とてもそんな準備はできていないのですが、泣き言を言っても始まりません。スタートラインに立ったからには1歩を積み重ねていくしかありません。

スタートから雨だったのもあり、片手に折り畳み傘のスタイルなのでペースは上がらず。傘をさして走るの?と思うかもしれませんが、眼鏡ランナーが雨の中のランニングをするならカッパではなく傘がベスト。腕を振るタイプのランナーに難しいかもしれませんが、私はミラーレスカメラを片手にフルマラソンを走っているので、手に何かを持つのには慣れています。

ただ、自分の走力があまりにも低下しており、思うようなペースで走れません。この日の目標を箱根湯本に設定していたにもかかわらず、平塚を越えたあたりからメンタルがやられ「無理!もう小田原でもいいや」になってしまいます。西軍は4日で走るスケジュールとのことなので、こちらも無理に3日で走る必要はありません。

ところが先行していた小嶋さんが、小田原からさらに進みます。明らかに箱根湯本を目指しており、そうなると足並みを揃えるしかありません。きっと弱気になっていた私を奮い立たせようとしたのでしょう。実際にそれを見た私は「箱根湯本で合流しよう」の気持ちが高まり、残った力を振り絞って僅かながらの山登り。

なんとか箱根湯本のコンビニで小嶋さんと合流し、無事リミットの23時前に95km地点にある日帰り温泉の天成園に到着。温泉で汗を流して1日目が終わります。その前にひとつハプニング。三州さんが家庭の事情でスタートできなくなったとのこと。これで東軍が勝つにはワンツーフィニッシュが必須になりました。

2020年12月31日・2日目

起床は4時30分。リクライニングシートの寝心地が悪く、何度も途中で目が覚めてしまいベストコンディションとは言い難いものの、5時にスタートしなくては、この日の目標である府中宿(静岡)まで行けません。なんせ、いきなり箱根越えが待っているのですから。2年前はこの箱根を初日に通過しましたが、結果的に足裏を痛めて、そこから地獄の2日間でした。

それを踏まえての箱根湯本止まりでしたが、今回はそもそも初日に箱根越えをできる走力が備わっていませんでした。ただ、前回とは違って朝からしっかりと走れます。上りは得意なので、コツコツ積み重ねながら、少し先に出発した小嶋さんを追います。比較的早い段階で小嶋さんを追い抜きますが、道の駅で休憩していたら追い抜かれてしまい、また追いついたら小嶋さんが若者ランナーと並走しています。

なんでも私たちと同じように日本橋からスタートして沼津を目指しているのだとか。世の中にはおかしな人がたくさんいます。いろいろ話をしながらだったのもあり、箱根の下りはあっという間。ただし、知らないうちに道が変わっていて、かなり無駄に距離を走らされた感じがありました。

さらに箱根で調子に乗りすぎたようで、そこから平地での足取りの重いこと。薩埵峠できれいな富士山を眺めるはずが、由比宿を通過したのがすでに18時過ぎ。富士山なんて見えるはずがなく……と思いきや、月が夜の駿河湾と富士山を照らして、これまで見たこともないような幻想的な風景がそこに。

薩埵峠を越えても思うように走れないのは相変わらず。しかも先行しているはずの小嶋さんのGPSが動いておらず、不安になりながら前に進みます。嫌な予感というのは当たるもので、薩埵峠の途中で道をロストしたとのこと。流石に引き返す力は残っておらず、自力でリカバリーしてくれると信じて府中宿を目指します。

ところが予約したホテルのチェックインが22時までだったことが発覚し、江尻宿から府中宿までは、重たい足に鞭を打って走ります。それでもキロ8分ペース。なんでこんなにも走れないのだろうと自分の不甲斐なさにがっかりしましたが、そんなことを言ってもホテルは近づかないので、コツコツ積み重ね、なんとか無事にチェックイン。

あとは小嶋さんが到着するのを待つだけです。この日の宿はそれぞれ違いましたが、一応主催者なので全員の安全を確認するまでは眠れません。少しだけ紅白歌合戦を見て、小嶋さんが静岡駅近くまで来たのを確認したところで、1年の締めくくりにビールで乾杯。残すところ60kmで3日完走が見えてきました。

ちなみに西軍は大雪との戦いだったようで、寒さと滑りやすい路面、動かない体とかなりハードな1日になっており、野原さんと安藤さんはリタイアも考えたとか。それでも3人とサポートの松島さんが毎晩合流し、チームとして走っていたのでなんとか乗り切れたようです。

東軍はまた違ったチームの形で、前にいる人が後ろにいる人を引っ張るスタイル。背中は見えなくてもGPSによってどこにいるのがわかるので、励みになります。並走することはなくても、支え合いながら進む。どういうスタイルで走るかも東西対抗東海道53次ウルトラマラソンの醍醐味です。6回目にしてようやく実現しましたが。

2021年1月1日・3日目

残り60kmですので普段なら5時出発なら12時には終わります。でもここまで180kmを走っているダメージは想像以上に大きく、そしてここにきて冷たい向かい風に行手を阻まれます。気を抜くと後ろに飛ばされそうになるくらいの強風。そして冷たい風は体温をどんどんと奪っていきます。ほとんど歩いているかのようなペース。まったく進みません。

いま思えば、あれで心が折れないのはなかなかのもの。おそらく最終日だったから耐えられたのでしょう。2日目にあの冷たい向かい風だったら、絶望的な気持ちになっていたかもしれません。

何度も走ってきた東海道。きちんとゴールまでのイメージができているので、牛歩ながらも着実に前に進みます。とにかく太陽が出ているうちに少しでも前へ。そう思いながら、着実に進んでいきます。2年前は初詣をする余裕がありましたが、今年は1ミリも余裕がありません。

そして思ったよりも早く、日没を迎えてしまいました。相変わらず風は冷たく、こうなると休憩することもできません。座って休んだらすべての熱を奪われてしまい、低体温症になるのは目に見えています。できるだけ休まずに体を動かしつつと思うものの、あと少しというところで危険を感じたので、マクドナルドで休憩。体を内側と外側から温めて、ラストランに備えます。

この判断が良かったのか、そこからは走りが戻ります。天竜川で強風に煽られながらも目の前にあるはずの六所神社に向けてラストスパート。完走は間違いありません。反省点は多々あるものの、なんとか予定通りに3日での完走。ダメだった自分なりに上手くまとめて、20時28分にゴールしました。

そして小嶋さんも22時45分にゴールし、東軍でのワンツーフィニッシュに成功しました。6回目にして初めての東軍勝利。今年に限ってはチーム内で引っ張り合うという作戦を採った東軍が勝ちましたが、このレースで大事なのは勝ち負けよりも、250kmに挑むという姿勢です。そういう意味では敗者などいないレースです。

まとめ

自分のコンディションを上げきれずにスタートラインに立ちましたが、やはりマラソンは積み重ねのスポーツ。練習は嘘をつかないというか、練習していないことがもろに出ます。長い距離になればなるほどごまかしが効きません。そう考えればよく250kmを3日で走れたなと。

過去に達成していたという実績だけが自分を動かしたような気もします。そういう意味では旅ランというのはメンタルが大事だと実感する結果になりました。足は動かなくても心が折れなければ前に進むことができる。1歩前に進めば、それだけゴールに近づくわけです。

あたり前のことですが、それを実感できる人はきっと限られているのでしょう。だから私は幸運です。こうやって無謀な企画を年末年始に一緒になって挑戦してくれる仲間がいる。だからこそ、気持ちが折れることなく(ヒビくらいは入りましたが)最後まで走り続けることができました。

いずれ、これを2日間で走る人も出てくるかと思います。わたしだって、それを達成できる可能性はあります。ただ、今の自分では無理です。東西対抗東海道53次ウルトラマラソンを終えて、ようやくコロナ禍においてもランニングと向き合う覚悟ができたような気がするので、ここから調子を上げて今年中に250km2日間に挑戦するつもりです。

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