ランニングシューズの個性や特性について考える【メーカーが話さないこと】

先日、アシックスのランニングシューズ「NOVABLAST 2」をレビュー用にいただいて、あれこれ試している最中です。「NOVABLAST 2」はファンラン用のシューズで、マラソン大会に出るようなタイプではなく、毎日のランニングを楽しく続けたい人向けのシューズです。ただ、メーカーが言う通りに使わないのがRUNNING STREET 365のやり方。

先日の都電荒川線ランでも履きましたし、400mのインターバルにも使ってみました。あとは1kmのタイムトライアルをすれば記事を書けます。レース向きやトレーニング向きでないシューズも、ひと通りの使い方をすることで見えてくる個性があります。それを見つけるのが楽しいのですが、この感覚を共有できる人がいないのが、ちょっと寂しいところ。

それはともかく、「NOVABLAST 2」を履いて400mのインターバルトレーニングをしたときの話です。いつもは薄底のシューズを使って行っているのですが、今回は跳ねるような走り方をするシューズ。いったいどんなことになるか楽しみにしていましたが、完全に想定外なことが起きました。なんと400mを走れません。

ペースはキロ3分ちょうどが目標。この領域まで上げることは難しくありません。でも、このスピードを維持できず300mくらいで足が止まります。完全に酸素が足りていません。シンプルにオーバーペースなわけです。いきなりいつもと違うシューズで走っているのですから仕方ありません。クッション性も高いのでロスもあります。

そこで確実に400mを走れるペースを探しながら走って、最終的には400mを止まらずに走り切れましたが、ペースはいつもより1kmで10秒くらい遅いくらいです。それでいて、呼吸の苦しさはいつもの10倍くらいあります。ものすごく疲れるのですが、それに反して足はなんともありません。いつもなら足に疲労感がきて走れなくなるのに、そのときはそんな気配は全くなし。

いつもの薄底シューズに比べると、足への負担は格段に少なく、心肺機能への負担が格段に多い。シューズひとつでここまで変わるもんだと、変なところで感心してしまいました。私はインターバルは薄底シューズでするものだと思い込んでいましたが、鍛えたいのが心肺機能ならこのクッション性の高いシューズのほうがいいのかもしれません。

もちろん薄底シューズを履いているのは足を鍛えることも目的としているからで、薄底シューズが悪いと言う話ではなく、きちんと自分の目的を考えてシューズを選ばなくてはいけないと、改めて思ったという話です。限られた時間の中でいかに効率よくトレーニングするかが私たち市民ランナーの課題。そこで何を履くか「もしくは何も履かないか)はとても重要なテーマになります。

このあたりがもっと体系的になればいいのにと思うのですが、メーカーは売ることを重視しており、あまり細かく使い分けについては語りません。最近になってナイキやアディダスは用途別のシューズという売り方もしていますが、常識の範囲内というか「こんな使い方もできます」みたいなことは言いません。今回みたいにファンラン用のシューズを「インターバルに」なんて言わないわけです。

使い分けに関しても、細かな理由までは解説してくれません。「これはレース用」としたら、レース以外で使わないための理由を語るべきなのですが、それはシューズのネガティブな部分にもなり、売り上げにも影響するので触れないようにするわけです。このやり方はそろそろ限界が来ていると思うのは私だけでしょうか。メーカーがデメリットを語らないからレビューする人も忖度して語らない。でも購入した人は違和感を抱くわけです。

その違和感の正体が分かっていれば納得するのに、メーカーが表にしないから不信感になり「もうこのシューズは買わない」になります。下手すれば「このメーカーはダメ」とか言われてしまい、それがSNSなどにアップされます。それが広まると当然売れなくなるわけです。それよりは、みんなが感じる「なんで?」に対して最初から答えを用意しておいた方がいい。

ただ「なんで?」を掴むのが難しいのも事実です。契約ランナーは市民ランナーとは異次元の走りをしますから、シューズに感じることも違うわけです。じゃあ社員に聞くかというと、社内ではなんらかの力関係が働くので本音を語れる人は限られています。だから発売してみて、声を拾っていくしかありません。これがシューズ開発の難しさ。

もちろん「なんで?」に対してメーカーが答えを用意しないから、RUNNING STREET 365のような小さなメディアにもニーズが生まれます。そう考えれば今のままでもいいのかなと。ただ、基本的には私の感性だけでれびをしているので、本当にこれでいいのかはいつも迷います。点数が付けられないテストを受けているようで少しモヤモヤはするのですが、まあこればっかりは仕方ありません。

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