UTMFと山の神様【それでも開催を諦めない粘り強さ】

今週末に開催されるUTMFのコースが変更になったようです。路面の状態が良くないということで、トレイル部分が大幅にショートカットされるとのこと。そうしなくてはいけないという判断は現場の人たちにしかわかりませんし、当然のことながら苦渋の選択だと思います。

ただ、どうしても上手く開催できない大会のようでして、常に自然環境に振り回されているような気がします。それがトレイルの世界なのかもしれませんが、すごいなと思うのは、そうなってもまだ開催を続けようと思える情熱。私だったら「これは山の神様が怒っている」なんて考えて、開催を諦めます。

もっとも「山の神様が……」なんて非科学的な理由で開催をやめたら信用も落ちてしまうでしょうし、スポンサーも運営に対してスポンサーもついてくれなくなります。でもこれが江戸時代、いや昭和初期くらいでも、きっと地元の人たちが騒ぎ出して打ち切りになっていたはずです。

たった100年で私たちの常識や、物事の見方が随分と変わってしまったようです。科学的でない考え方は異質だと考えられますし、おかしな人だと思われます。でも私は八百万の神は当たり前のようにいると思っていますし、以前もお伝えしましたが、夜中に山には入らないようにしています。

山はそこで暮らす神様の家であり、呼ばれてもないのにそこに立ち入るのは失礼だと思っているから。招かれたときはいいと思います。たとえばお遍路中に石鎚山に登ったのですが、どうしても夜中に山の中腹に泊まるしかなかったのですが、まさにあれは呼ばれたもので、満天の星空で神様が迎えてくれました。

富士山に最初に登ったときは、山小屋に宿泊したのですが、歓迎されてない感が強かったのを覚えています。終身時にはなんともなかったのに、案の定、起きたときに軽い高山病になっていました。科学的に考えれば、きっときちんと説明が付くはずですが、私は「神様に叱られた」と受け取るわけです。

いつも言ってることですが、私は信心深い人間ではなく無宗教ですし、神様も仏様もどうでもいいと思うタイプ。ただ、八百万の神様や氏神様は大切にしています。生きていると、理屈や確率だけでは説明つかないような体験をするので、それらの神様がいてもおかしくありません。

だから、UTMFに自分が関わっていたなら「これはダメだろう」と考えるだろうなと。誰が悪いわけでもなく、それはもう神様が認めていないのだから仕方ないという話。別にUTMFの運営を責めているのではなく、私だったらそう考えるだろうなという話です。そして、今の時代はそういう考え方は認められないんだろうなとも思うわけです。

もし認めてくれる人がいても、私がその人を警戒します。それくらいめちゃくちゃなことを私は言っています。ただ100年前なら、そこまで滑稽ではない考え方というか、むしろ支持してくれる人の方が多いかもしれません。どちらが正しいとかいう話でもなく、常識なんて時代とともに変わるというだけの話です。

今のコロナ禍なんて、2020年以前は誰も予想しませんでした。たった2年で私たちの常識は大きく塗り替えられました。コロナ禍だって100年前なら、また違った対応になったはずです(それは悪い意味で)。だから、本当のところ正解なんてなくて、しかも世の中は多様性が進んでいて、共通のイメージを持つのが難しくなっています。

私は常識人ではあると思っていますが、生き方は異端だという自覚はあり、多様性によって救われている人間のひとりだと思っています。この時代に八百万の神なんて言ってる時点で、まず間違いなく異端。でもそういう生き方をしていても変な目で見られることもありませんし(多分)、迫害されることもありません(今のところは)。

ところで富士山はどの神様のテリトリーでしたっけ?祀られているのはコノハナサクヤヒメ(火の神様)ですが、これは噴火を抑えるために祀られた神様。でも噴火が起きてないことを考えると彼女のテリトリーでしょうか。火の神様が何に怒っているのかはわかりませんが、そろそろUTMF側の粘り強さに折れてくれても良さそうなのですが。

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