ランニングシューズを「サブ3〜サブ3.5向け」みたいに分類するのは無理があるが

ランニングシューズを「サブ3〜サブ3.5向け」みたいに分類するのは無理があるが
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ランニングシューズを紹介するときに「サブ3〜サブ3.5のランナーに適しています」みたいな書き方をすることがあるのですが、これを何とかできないものかと考えています。自分次第だから好きに書けばいいじゃないかと思うかもしれませんが、それ以外に伝わりやすい言葉がないので仕方なく。

走るペースごとに適したランニングシューズが違うというのは、マスで考えたときには合理的な分類方法になります。キロ3分台で走るランナーとキロ7分台で走るランナーとでは、走り方も走っている時間も違います。そうなると最適なシューズも異なってきます。

ある有名なランナーが「初心者用とかトップランナー用とか分けるのは、シューズを売りたいだけでしょ」というニュアンスのことを言っていましたが、私はそうは思いません。シューズはそれぞれのランナーのポテンシャルを引き出す道具であり、人によって最適な道具は異なります。

ペースが速くない人にはこういう傾向にあり、だからこんなサポートがあれば、ポテンシャルを引き出してゴールまで導いてあげられるという考えでランニングシューズは開発されます。だから「サブ3〜」みたいな売り方をメーカーもします。なのでそういう分類は間違いではありません。

Advertisement

でも、個別に考えたときには、かなり乱暴な分類になります。まずその分類だと男女の筋力差が無視されます。女性は男性に比べて筋力が弱い傾向にあり、男性と同じフォームで走っても、ペースは落ちます。でも同じフォームで走れるなら、シューズは同じでもいいはずです。

もちろんペースが異なれば、グリップ力も異なるので、同じフォームで走れるからといって、同じシューズでいいとは言い切れないのですが。このあたりがシューズ選びの難しさなのですが、難しいからといって思考停止して「サブ3〜」みたいに紹介するのは違う気がします。

メーカーがどのようなランナーを想定してシューズを開発したのか、それをオープンにしてくれると、こちらも紹介しやすいのですが、メーカーはたくさんの人に売りたいから、絞り込みをしません。なのに「サブ3〜」みたいな分類をするという矛盾もありますが。

でも、本来は明確なターゲットがあります。「足の形・着地方法・ペース・体重・ピッチもしくはストライド」などなど。せめて足の形と着地方法だけはオープンにしてもらいたいというのが私の希望。これだけわかれば、誰かにシューズを紹介しやすくなります。

Advertisement

でもメーカーは絶対にやりません。メーカーによっては、ランニングシューズの重さすらオープンにしておらず、売り上げが下がる可能性があることには一切手を出しません。それがビジネスだから当然ですが、シューズがここまで進化しているのに、売り方が変わらないのはどうでしょう。

アシックスがプロネーションのタイプごとにランニングシューズを出しており、ホームページでオープンにしているので、同じようなことができるなくはないとは思うのですが。まあメーカーに期待しても何も変わらないでしょうから、これ以上は書きませんが。

どんなフォーム向きなのかはソールを見れば大抵わかります。足の形については、フィッティングすればわかることなので、これもまあ「ちゃんとお店で試し履きして」と伝えればいいだけです。とりあえずはそれを手掛かりに紹介し、気になるシューズがあれば自分で履いて確かめてみるのがベストでしょうか。

ただ、それがランナー側に本当に役立つかどうかはまた別問題としてあります。自分のランニングフォームを、客観的に見たことがない人がほとんどでしょうから。本当に最適な1足を求めている人だって限られています。そうなると、結局のところペースごとの分類でいいのかもと思ったり。どうしたものかな……

RUNWAY練習会開催中

効率のいい体の使い方を中心とした練習会を毎週水曜日に日比谷で開催しています。記録が伸び悩んでいる人や、ケガをしにくい走り方を身に着けたいという人のための筋トレ&走り方講座中心のトレーニングを行っています。

日時:毎週水曜日19時〜20時30分
場所:国立競技場外周
参加費:2,000円(第1・3水曜日は無料)
申込:こちら

RUNNINGカテゴリの最新記事