メーカーの人が自社の商品についてきちんと把握しているわけではない

アシックスのサブ4向けのランニングシューズ「S4」の発表会&試走会に参加したのですが、試走会でシューズの感じを聞かれて「踵着地じゃないとシューズのポテンシャルが活かされない」というようなニュアンスのことを伝えたら、あまり納得していなかった様子でした。

昨日もレビューのための写真撮影のために履いてみて、さらにMETASPEED SKY+と履き比べてみたんですが、やっぱり踵着地のシューズなんですよね。発表会で川内選手も踵着地のシューズと言っていたので、設計コンセプトがそうなんだと思います。

でもメーカーの人がそう理解していないわけです。別にアシックスの人を非難しているわけではなく、同じようなことはナイキでもアディダスでも起きています。設計コンセプトが営業の売出し方に反映されていなくて、間違った情報がメーカーの人の先入観となる。

私にしてみれば「履いたらわかるだろ」なんですが、先入観があるとわからなくなるのか、もしくは履いてもわからないという人が多いのか。シューズの違いが履いてもわからないなら、シューズトライアルに人が来ないのもわかります。

そもそも多くの人が、シューズに走り方を合わせるという感覚がなく、自分の走り方を固定してシューズも履くことになります。私も以前はそういうところがあったのでわかります。裸足ランニングが軸になっていたときがまさにそんな感じ。

別にそれでもいいんですよ。それで自分の走りに合うシューズが見つかるなら。でもそもそも違いがわからないのであれば、自分の走りに合うシューズなんて見つかりっこありません。だからいつも履いているメーカーを選ぶ。

シューズの形が自分の足に合うのももちろん大事です。「幅広だから◯◯は合わない」という人も少なくありません。でも自分からシューズに合わせればフィット感なんていうのは、慣れで大抵どうにでもなります。いつもと違う違和感に対して「合わない」と言っているだけ。

それはともかく、メーカーの人だからといって自社のランニングシューズについて正しく理解していない可能性があることは頭に入れておく必要があります。本当に自分で履いて感じて説明しているのか、それとも社内で共有している売るためのコンセプトをベースに説明しているのかは、こちら側が判断しなくてはいけません。

もうひとつ気をつけなくてはいけないのが、メーカーがあえて本当のことを言わないことがあります。今回のS4の場合は、記者の方が「METASPEEDシリーズと同等の素材を使っているのに、どうしてこの価格が実現できたのか」という質問をしていましたが、これに対して「1人でも多くの人に履いてもらえるようにこの価格にした」と答えています。

これは嘘を言っているのではないのですが、本質のところを隠しています。記者の方が聞きたかったのは「どこの質を落としたのか」ということなんです。でもメーカーはそれをまともに答えるわけにはいきません。だから答えをはぐらかしたわけですが、これを人によっては「アシックスが自社の利益を減らして安くした」みたいに受け取るわけです。

そしてどこかでシューズの説明をするときに「METASPEEDシリーズと同等の素材のシューズを安く買えるからコストパフォーマンスが高い」なんて言うわけです。でも履いてみればどこが違うのかなんてすぐわかるわけです。何が違うかはRUNNING STREET 365に書くのでここでは秘密にしますが。

なのでメーカーの人やメディアの記事はあまり鵜呑みにしないようにしてください。大事なのは自分の感覚です。とはいえ走って試せない場合は、信頼できる情報発信者を見つけることが大切。情報発信者をどう見極めるか?メーカーのHPに書いてあることをそのまま発信している人を除外していけば自然と見つかります。

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