30℃を超える気温の中を走るのって1ミリもカッコよくないから

高校生がランニング中に倒れて、病院に緊急搬送されたものの意識不明の重体になっているというニュースを読みました。その時間の気温が32.8℃で、熱中症予防運動指針からすると、「厳重警戒」もしくは「運動は原則中止」に該当します(湿度による)。

厳重警戒ですでに、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける指針になっています。細かい計算をするのが面倒なので、私は30℃を超えたら日中は走らないようにしています。旅ランは30℃以上でも走ることもありますが、かなりペースを落とします。

若い頃は暑さに耐えている自分に酔っている時期もありましたが、百害あって一利なしというのが今の考え方。1ミリもすごくないし、むしろ愚かな行為でしかありません。マラソンは耐える競技という印象が強いので、暑さに耐えることがすごいという空気がありますが、30℃以上の気温の中を走るのは無意味です。

ただ、絶対に走ってはいけないとは言いません。どんな挑戦をするかは個人の自由ですので、暑さに耐えるというチャレンジもいいでしょう。アメリカには気温50℃の中を走るバッドウォーターウルトラマラソンという大会もあります。

限界に挑みたいというのは人間の真理。でも、そのような挑戦をすごいと褒める風潮はなくなったほうがいい。暑さに耐えて走ったとするSNS投稿にはいいねを押さないほうがいい。シンプルに「バカじゃないの?」と言ってもいい。

私たち人間には物理的に耐えられる温度というものがあります。タンパク質で体が作られている以上、ある温度以上になると変質します。変質したタンパク質は元に戻ることはありません。物理的に限界があり、そこに個人差があります。だから、そこは挑むところではありません。

そもそもそんな気温の中を走ったところで、熱中症にならなかったとしても、とんでもない疲労を負うことになります。下手したらマラソンシーズンを棒に振る可能性だってあります。そこまでして30℃以上の気温の中を走る意味がどこにあるのか。

夏に走ってはいけないと言っているわけではありません。朝の涼しい時間や、太陽が沈んでから走ればいいんです。工夫の仕方はいくらでもあります。厳しい環境のなかで走ることは、自分の命を削っているのだと認識してください。

自分の命を削ってまでやりたいことなら止めはしません。でも、自己満足や承認欲求からやっていることなら「やめておきなさい」と忠告しておきます。繰り返しますが、1ミリもカッコよくありません。むしろカッコ悪いことです。

それを褒め称える人も同じです。明らかに危険な気温で走っている人を必要以上に褒めないこと。その人のことを本当に大切に思うなら「やめておきなさい」と忠告する。それが難しいなら、せめてSNS投稿はスルーするのが優しさです。

ただ、北海道にいると本州の暑さを忘れてしまうので、私もつい「いいね」を押してしまいがち。だから、SNSを投稿をスルーするというのは自分自身に言い聞かせていることでもあります。その「いいね」のせいで、大切な人が倒れるとか、絶対に起きてほしくないので。

大事なことなので何度でも言います。30℃を超える気温の中を走らないこと。走っても短時間にするか、危険を感じたらすぐに止まること。トレーニングをやりきる必要はありません。暑くてしんどいなら、さっさとやめて、アイスクリームでも食べてクールダウンしましょう。

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