スポーツマンシップってなんだろう【天童ラ・フランスマラソンにて】

マラソンに限らず、スポーツには正々堂々であることが求められます。正々堂々な態度を欠いて勝利した場合には、それはルールの範囲内であっても徹底的に叩かれることになります。叩くのもどうかと思うのですが、スポーツはどうしても「スポーツマンシップ」という考え方がついて回ります。

その一方で「勝てばいい」という考え方もあります。スポーツマンシップを重視して、勝利を逃した場合、それはそれで責任を問われることになります。特にチームスポーツの場合、勝利とスポーツマンシップの天秤はとても悩ましい話になります。

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マラソン大会では原則として歩道を走ってはいけない

昨日、天童ラ・フランスマラソンに出場したのですが、大会アンバサダーの金哲彦さんがランナーと一緒に走りました。種目はハーフマラソンでウェーブスタート。金哲彦さんは第2ウェーブからのスタートになります。

これまでの天童ラ・フランスマラソンでは、ランナー1人ずつに声をかけながら走っていたのですが、還暦でサブ3を狙うというチャレンジをしているようで、今回は1時間30分での完走を目指すとのこと。それはすごいことだなと思ったのですが、ちょっと気になったシーンが。

私は第1ウェーブでスタートしたのですが、1週間前に万里の長城マラソンを走ったこともあり、コンディションがあまり整っておらず、比較的早い段階で金哲彦さんに追いつかれました。そのとき、ありえないことが起きました。

ランナーというのは基本的に車道を走ります。歩道を走るのはNGで、大会によってはルールとして歩道を走ることを禁じているケースもあります。ルールとして規定されていなくても、暗黙の了解として歩道を走ることはしません。

ところが、金哲彦さんは歩道を走って他のランナーを抜いていきました。これをどう考えるか。

模範となるべき姿を見せるか結果を出せることを重視するか

金哲彦さんは大会アンバサダーであり、模範となるべき存在です。その人が歩道を走ったということは、今後の天童ラ・フランスマラソンでは、歩道を走ることはNGではなくなることを意味します。普通の参加者が歩道を走ったこととは意味が違います。

第2ウェーブスタートなので、歩道を走らないと1時間30分以内の完走が難しかったのかもしれません。でも、他のランナーと違う条件で出した記録に何の意味があるのでしょう。そもそも記録を狙いたいなら、第1ウェーブからスタートすればよかっただけです。

第2ウェーブのランナーを盛り上げるという役割があったのかもしれませんが、いきなりペースを上げて走ったのでは第2ウェーブを盛り上げることはできないわけで、そこからスタートする必要が本当にあったのでしょうか。

いや、第2ウェーブからスタートする理由があったからそうしたのでしょう。でも、それが歩道を走っていい理由にはなりません。大会側がOKとしたというのであれば、それは他のランナーに周知すべきことで。少なくとも私はそれを聞いていません。

別に金哲彦さんを批判したいわけではなく、そこまでして記録を狙うことに、どういう意味があるのかと疑問に感じているだけです。それよりも模範になる走りをして、1時間30分以内で走れなかったほうが個人的には美しいと感じます。

スポーツには勝ち負けよりも大事なことがある

そもそもマラソン大会で歩道を走ってはいけないというのは、私の思い込みという可能性があります。でも普通に考えて危険です。応援者がいるわけです。もちろん天童ラ・フランスマラソンの運営がOKした可能性だってあります。

ただ、私は歩道を走ることをスポーツマンシップの観点から、あるべきことではないと思います。いや、あってもいいのですが、それで結果を出した人を私は尊敬することはできません。だから、ちょっと今回のことは金哲彦さんに対してがっかりしています。

マラソン業界・ランニング業界において影響力のある人の中で、比較的きちんとしている人だと思っていたので。もっともそれくらいエゴが強くないと、勝負の世界ではやっていけないのかもしれません。なので、あくまでも私の価値観でしかありませんが。

今回の件に関係なく、そもそもスポーツマンシップとランニングの関係について、きちんと1度見直しする必要があるのではないかと感じています。マラソンはルールのあるスポーツです。勝ち負けよりも大事なことがあり、それが何なのかを明文化する。

いつかやろうと思っていましたが、「いつか」ではなく、急いでやらなくてはいけないことのように感じています。

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