マラソンやランニングにおける理想の集中力の使い方

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セイコーゴールデングランプリ陸上2016を観戦して感じたことのひとつが、トラック競技で最も重要になるのは「集中力」ではないかということです。

ゾーンという領域が本当に存在するのかはわかりませんが、自分の持つ能力を最大限に発揮するためには極限にまで集中力を高め、練習通りの力を出せるようにするわけです。

マラソンの場合は、速い選手でも2時間ちょっとかかるわけですから、トラック競技のように集中力を高めすぎるわけにはいきません。

人間の集中力はそれほど長い時間継続できませんし、マラソンで大事なのは瞬間的に自分の身体能力を爆発させるのではありません。

むしろいかにして爆発させずに最後まで維持させるかという冷静な計算を常にし続ける必要があります。

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小説「遥かなるセントラルパーク」で主人公の1人であるドク・コールが言った言葉が印象に残っています。

「いつだってランナーをつぶすのはペースなんだ。決して距離ではない」

そう、マラソンで大事なのはいまの自分が42.195kmを走り続けられるペースをつかんで、それを最後まで貫き通すこと。優勝を狙うランナーは駆け引きがありますが、わたしたち市民ランナーは「守り続けられるペースで走る」ことが理想です。

「守り続けられるペースで走る」ためには集中力も瞬間的に高めるのではなく、安定して走りだけに集中するためのペース配分が必要です。

レース序盤に自分の体の調子を掴むための集中力と、レース終盤で待ち構える壁を乗り越えていくための集中力は少し高めですが、その他のクルージングしている時間はある程度は脳を休ませる必要があります。

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マラソンでもゾーンと呼ばれる領域があります。

わたしも24時間マラソンなどではときどきやってくる現象ですが、体に痛みはなくどこまでも気持ちよく走れるようになります。

これは悪魔の誘惑です。

レース中盤でゾーンに入ると、ゾーンの時間が終わったあとの無力感に耐えられなくなり、ペースはグッと下がってしまいます。集中力の持続は限界があり、体力だって一時的に向上したように見えても現実はただの消耗です。

マラソンで大事なのは体力のペースを守ること、そして集中力のペースを守ることです。

42.195kmはとても長い距離になります。この距離を人間があたりまえに走るようになってからの歴史はわたしたちが思った以上に短いものです。

人間の体はフルマラソンに適したものに適応させることは可能ですが、そもそもは42.195kmを走るために作られているわけではありません。

だから人間特有の工夫を重ねる必要があります。

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動物のように本能でいつも全力であるのではなく、もっと淡々と冷静に走り続けること。これは地球上でおそらく人間だけが持っている能力です。

人間は集中力と体力を分散させたり、爆発させるために高めたりすることができます。

練習で走るときに「集中力」を意識して走ってみると、これまでとは違う景色が見えてくるかもしれません。練習で体力をつけるだけではなく集中力も鍛えるようにしてください。

集中力を自由自在にコントロールできるようになったとき、思い通りのレース展開ができるようになり、マラソンをもっと楽しめるようになりますよ。

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