さいたま国際マラソン、横浜マラソンの参加費が15000円で「高すぎる」という声があがっています。6時間制限になり、募集人数も増えたさいたま国際マラソンは募集開始から3日経過したいまも定員が埋まっていません。
さいたま国際マラソンの定員が埋まっていない理由は何も参加費だけの問題ではありませんが、その理由の一つになっているのは間違いありません。
でもマラソンの参加費はいったいいくらなら正しいのでしょうか。
本当に15000円は高過ぎるのか、高い安いを議論する前にマラソン大会にかかるお金について少し知っておきませんか?
マラソン大会の収支
いわきサンシャインマラソンが大会収支を出していますので、それを参考にさせてもらいましょう。先に断っておきますが、これはいわきサンシャインマラソンの運営の良し悪しを語っているのではないことは頭に入れておいてください。
まず単純に2年前の収支の総額を見てみましょう。
収入合計:1.1億円
支出合計:1.1億円
約6万5千円の黒字です。
ちなみにこの年のフルマラソンの定員は7000人で参加費は5000円です。この参加費は今年から7500になっています。
黒字なのに値上げって・・・と思うかもしれませんが、もう少し詳細を見ていきましょう。
マラソン大会開催に必要な支出
まずはマラソン大会を開催するのにどれぐらいの費用が必要なのかをみてきましょう。
いわきサンシャインマラソンはフルマラソンは7000人の参加者ですが、他の種目も合わせると1万人の参加者だと考えてください。
選手スタッフ費:1781万円
募集広告費:1246万円
大会運営費:7494万円
公認申請費:96万円
事務局費:276万円
義援金:191万円
選手スタッフ費のうち828万円が選手につかう費用(事前発送、保険)で、1人あたり828円です。 選手スタッフ費にはスタッフのお弁当や医師や審判への謝礼も含まれています。
もっとも高い大会運営費ですが、その中でも設営関連費が2520万円かかっています。会場設営や音響・ステージの設営。
仮設トイレは1日1万円/台が相場ですが、大規模なので1台5000円程度かそれ以下の可能性もあります。1万人規模の大会であれば200台ぐらいでしょうか。トイレの数については大雑把に考えて60人に1台ぐらいだと考えてください。
1万円かかるとするなら3日で3万円×200台で600万円です。実際はもっと安いのでしょうが、それほど大きく外れているわけではないはずです。仮設トイレがそれなりに収益を圧迫する存在なのは理解してもらえるかと思います。
マラソン大会開催で得られる収益
つぎにマラソン大会の収益の内訳を見てみましょう。
いわき市補助金:1050万円
参加費収入:4463万円
前夜祭参加費:36万円
大会協賛金:5383万円
繰越金:101万円
雑収入:57万円
これを見れば何を言いたかったのか分かるかと思います。
マラソン大会はスポンサーなしでは成り立たないんです。わたしたちが参加費として支払っている金額以上のお金をスポンサーから集めています。
もしスポンサーがいなければ、この大会の参加費は5000円が10000円になっています。 その「もし」の仮定が間違っているといえば間違っているのですが・・・
ちなみに東京マラソン2014の協賛金は17億円で、東京都の負担は1.4億円です。
マラソン大会の参加費はいくらが適切なのか
マラソン大会の収支がいかにスポンサーに頼っているかが、わかってもらえたかと思います。スポンサーもメリットがあるからやっているんだからいいんじゃないかと思うかもしれませんが、じゃあスポンサーが手を引いたらどうなります?
スポンサーが「メリットがないのでスポンサー費下げます」って言ったらどうなります?
これは実際にすでにそうなりつつある現実です。
協賛メーカーは無限に予算があるわけではなく、そしてマラソン大会はどんどん増えています。そうなると協賛金は分散するか、もしくは注目度の高い大会のみに集中することになります。
そんなスポンサーの協賛金に頼らない大会を目指したのが横浜マラソンですが、はっきり言ってランナーへのアナウンスがうまくいっているとは言えません。
東京マラソンは1人あたりの経費が5万円かかるそうです。参加者の負担は1万円で4万円はスポンサー費や自治体負担。
5万円のマラソン大会に出ようなんて人はほとんどいないでしょうが、参加費が1万円というのはなんとなく歪だと思いませんか?
もっとも東京マラソンは広告宣伝費が莫大な金額になっているので1人あたり5万円というのも乱暴な計算ですが。
結局いくらなら適切なのかという答えは出せないのですが、地方都市のマラソン大会で1人1万円、大都市なら2万円がスポンサーに頼り過ぎない適切な金額というのがわたしの感覚です。
だから1万5千円が安いとか言いたいわけではなく、マラソン大会って思った以上にお金がかかっているということと、スポンサーに頼りきっているということだけ頭に入れておいて欲しいのです。
日本がまた不景気に戻ったらどうなるかは・・・言うまでもありませんよね。考えたくもないのでこれ以上は言いませんが。
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