先週、マイロード靴総合設計の薄井さんに和紙布シューズを頂いて、その間隔をつかむテストも兼ねての宮ヶ瀬湖24時間リレーマラソン。
天気は雨。雨に強いと言われる和紙布ItoiteXで作られたシューズが、どれくらい本当に快適なのかを感じるには最適な天気です。
ただ、その雨が強すぎたことで、雨が止んだ後も宮ヶ瀬湖24時間リレーマラソンの会場の広場は泥んこ状態。各チームのテントからスタート地点まで行くのにシューズが汚れるような状態です。
この大会はわたしをランニングの世界に引き込んだ大学時代の同級生に誘われて、彼のご近所さんで作ったチームに加えてもらって参加しています。
ですのでわたしを「裸足の河童」で認識している人はあまりおらず、普通のそこそこ走る人くらいの位置づけ。1年に一度くらいはそういう日があってもいい。
2チームエントリーしているので、テント内は賑やかなのですが、わたしたちのチームメンバーはスタート時点では8人。1周1.8kmの周回コースを走りますので、1周で交代すると1時間程度に1回順番がまわってきます。
もちろん1回で何周も走るメンバーもいるので、実際はもう少し余裕があります。
わたしは7番目の走者で、走り初めには少し強めの雨が振っています。暑すぎるよりはいいのですが、気にしたのは走路の路面と、和紙布シューズとの相性です。
軽く近所の公園で試走はしたのですが、4:00/km前後でのスピードで走っていませんし、何よりもこのコースには大きな上り坂と、それに続く下り坂があります。
濡れた路面でどれくらいグリップするのかがわからないため、1周目はかなり慎重にアタックします。
1周目:7:07 4:03/km
2周目:6:51 3:52/km
24時間も時間があるということ、メンバーの数も少ないということで最初の2回は1周で交代しています。もちろん和紙布シューズがどこまで走れるのかを、元気なうちにチェックしたかったというのもあります。
疲労はだいぶ抜けているとはいえ、先週147.7kmを走った足の状態で3:52/kmで1.8kmを走れました。この時点ではまだ和紙布シューズでの走り方も何も考えていません。
適当に走って、このタイムなら決して悪くありません。しかも足の疲労は少なく、どちらかと言うと心肺機能がついていけずこのタイムでしたので、まだまだ伸びることは間違いありません。
3周目以降はスピードをぐっと落として4:30/km前後でのクルージング走行です。
24時間でどれくらいの距離を走るのかもわかりませんし、来週の北海道マラソンのために疲労を残したくなかったので、軽めの走りを続けました。
もちろん、ある程度スピードを落として和紙布シューズと仲良くなることも目的です。がむしゃらに走っていたのでは、感じる力が低下してしまいますので。
最初はどう走れば、一番気持ちよく走れるのだろうと試していたのですが、「おぉこのフィーリング最高!」となった走り方のときに、思った以上にスピードが出ていなかったので、結局はいつもの後傾フォームに戻します。
マイロードのシューズは先週も感じたことなのですが、しっかりと接地したときの推進力がきれいに発生するのがわたしの感じた特徴になります。
アディダスのBOOSTや、onのシューズのような人工的な推進力というよりは、自分が踏み込んだ力がブレることなくまっすぐに地面に伝わり、それが自分の足にすべて戻ってくるような間隔です。
接地して体重がすべてシューズにかかったタイミングでグッと前に押し出されます。
このフィーリングを重視して、軽く前に進むという感覚を利用したかったのですが、そうすると思いのほかスピードが出ず、0:10/km程度スピードが落ちます。
たぶん、普通のランナーであればこの感覚で走るのがベストかもしれません。わたしの場合はやはり体の後ろ側の筋肉をフル活用したいので、気持ちいいフィーリングよりも自分の走りを優先させました。
いずれはこのフィーリングと自分の走りを上手に融合させることができれば、世界にひとつしかないシューズと世界にひとつしかない走り方で、世界を驚かせることができそうな気がします。
まだ後傾での走り方はいろいろトライ中です。一番難しいのは「速く走るためには、速く走ろうとしてはいけない」ということです。これは和紙布シューズというよりマイロードのシューズにも共通します。
速く走るためには、確かな接地と重心移動、そして筋肉の動きを感じること。これだけです。足を速く動かすとか、地面をしっかり蹴るとかそんなことは一切関係ありません。
シューズのポテンシャルと自分のポテンシャルを信じて「あるべき姿」で走ることができれば、スピードは勝手にあがってきます。
というわけで宮ヶ瀬湖24時間リレーマラソンでは最初の2周以外はずっと「あるべき姿」の模索の時間となりました。
それとは別に雨の中での和紙布シューズは、どんなポテンシャルを見せてくれるのかということもチェックです。
宮ヶ瀬湖24時間リレーマラソンは夕方以降までかなりの雨が降ったり止んだりでしたので、走っているときはずっと靴が濡れた状態です。
普段は5本指ソックスを履いて走らないのですが、せっかくのItoiteXのシューズですので、普段使いしているItoiteXのソックスも併用します。
この組み合わせで雨のなか走っても、不快感はまったくありません。不快感がないというのは不思議なもので、「だから素晴らしい」という感覚にはなかなかなれません。
人が「すごい」と感じるときは基本的に、基準点からプラスになったときで、ItoiteXの和紙布の場合は基準点からマイナスにならないということですので、なかなか「マイナスにならないすごい!」とはならないのが難しいところ。
ただ周りのみんなが、順番がまわってきて「シューズを履きたくない」というなかで、わたしは一切その感覚がなく、濡れたシューズもソックスも「気持ち悪い」となることはありません。
濡れていても濡れてなくても同じように気持ちよく走ることができる。これものすごくすごいことなんですけど、その凄さを伝えるのが、かなり難しいところでもあります。
ただし和紙布が貼られたインソールだけは、入り込んだ水の影響を受けて、インソールから和紙布が剥がれてしまいました。
帰宅してからマイロードの薄井さんと話をしたのですが、「そうなるかな」という予想はされていたそうです。マイロードでは靴の製作もしていますが、基本的にはシューズは手作りのです。
理想の完成品はあっても、作るのはあくまでもプロトタイプ。和紙布をインソールに貼り付けるのに使った接着剤は専用のものではないため、24時間も濡れていたらそうなるということです。
こんな悪環境でのテストはそうそうないでしょうから、これからは履いたらインソールも外して乾かすことを、心がける必要がありそうです。じっさいに薄井さんはインソールも外して干しているそうです。
和紙布シューズを手にして、まだそれほど時間が経っていませんが、自分の体の感覚がどんどん変わっていくことがわかります。
走りとの向き合い方、自分の走りをするときの意識する点がほぼ100%変わっています。
宮ヶ瀬湖24時間リレーマラソンは最終的に18周で28.8km走りました。昨年は19周していてベストラップが7:12(4:08/km)です。天候の違いはあれど、昨年と比較しただけでもかなり速く走れるようになっています。
おまけのように書いて申し訳ないのですが、今年もやっぱり宮ヶ瀬湖24時間リレーマラソンは楽しい時間でした。リレーマラソンってやっぱり楽しい。
先々週の皇居での24時間も楽しかったのですが、リレーマラソンはみんなが「追い込んでスピードを出す」という点が加わって、皇居での走りとはまた違った楽しさがあります。
初めましての人も何人かいて、そのほとんどが山を歩く人たちだったので聞ける話が新鮮でした。
そして何よりも中止になるんじゃないかという豪雨の中、ともに走ったという一体感。これは今年の宮ヶ瀬湖24時間リレーマラソンだから得られるものです。
チーム成績も昨年よりも大幅アップだったらしく、42位でのフィニッシュ。
あまり疲労を残さないようにと思っていましたが、結局最後は頑張りすぎて、久しぶりに足がパンパンな状態まで追い込んでしまいました。こういうのも襷をつなぐレースならではの面白さです。
さて、来週までにこの足は復活するのでしょうか。今週は疲労回復強化週間としてちょっとあがいてみます。
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