旅は子どもを大人に変えるか?旅は人生を大きく変えるか?どうでもいいような大切なお話。そしてもう聞き飽きたと言う人がいるかもしれないお話でもある。
わたしが初めて海外に行ったのは大学3年の夏。行き先はブラジル。19日間の放浪旅だ。
なんでブラジルだったのかはいまだによくわかっていないのだが、当時サッカー部でブラジルのサッカーが好きだったという影響もあるのだが、まったくノープランで単身ブラジルに向かう無謀さが我ながらおそろしい。
いまと違ってインターネットもない時代なのでガイドブックは地球の歩き方1冊だけ。使えると思っていたJCBカードが使えず手持ちの1500ドルで19日間を乗り切る必要があった。
当時の日記(絶対に公表できない)とお金の管理をしていたメモが出てきたのだが、毎日頭のなかには今日いくら使えるかしかなかった。いま思えばそれこそが最高の経験だった気がする。
当時、1ドルは110円ぐらい。宿代込みで1日9000円以下。十分だろ思うかもしれないが、移動代も必要だし、お土産だって買いたいし、たまには美味しいもの食べたいし。そう考えると毎日カツカツだった。何度マクドナルドに行っただろう。
ある一日は10ドルしか使っていないとメモには書いてある。
言葉も通じない国で、お金もたいして持っていない。それでもサンパウロ、イグアス、リオ、サンパウロと有名どころばかりだがなんとか移動して滞在期間を満喫していた。
最後のほうは身なりもひどかったので、普通に歩いてて道をたずねられることも度々。リオでは中学生ぐらいの子どもにバス代を出して欲しいと頼まれたり。言葉が通じないのに違和感なくそこにいれる。
この適応力はいまでもかなり重宝している。そして言葉が通じなくたって海外でやっていけるという自信がいまのわたしを築き上げたと言っていい。その後、社会人になって訪れたキューバも中国も言葉は通じなかったが、それは何も問題ではなかった。
そしていまに至る。北京にはもう10回以上行っている。相変わらず言葉は通じないが、いまでは中国に日本人のラン仲間もいるし、中国人の友だちもいる。
それもこれも最初の一歩となったブラジルがすべてだろう。あれがなかったら、いまのわたしはきっとまったく違う生き方をしていただろう。ブラジルで貧しい放浪の旅をしていなければ、海外に対する渇望もなかっただろう。
ブラジルから帰ってすぐに人生が変わったわけではないが、長い目で見るとやはり旅は人生を大きく変えることがある。誰もがそうだとは言わないが、旅は人生にスパイスを与えてくれる。
おかげで貯蓄はまったくなく、行きたいと思うとすぐに行ってしまうフットワークの軽さだけが取り柄になってしまったが、それはそれでいいだろう。何歳になっても違う国を肌で感じて活き活きとしていたい。
さて、次はどこに行こうかな。
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