
マラソンに限らず、陸上競技において、助力を受けた選手は失格になります。ただ、どこまで厳格にするかは大会ごとに異なります。たとえば東京マラソンのゴール直前で動けなくなったチームメイトの背中を押してゴールする。これは失格行為になります。
でも、一般のランナーがこれをしても咎められることはなく、むしろ美談になることもあります。ただ、そうやってゴールしたことを「マラソン完走」とするかどうかについての個人的見解としては「それは違う」と考えています。
マラソンはサポートしてくれる人たちがいますが、基本的には個人競技です。孤独とどう向き合っていくかが問われるスポーツと言っても過言ではありません。だからこそ助力を受けるべきではありませんし、助力すべきでもありません。
ただ、何をもって助力とするのかは本当に難しい話です。たとえば「頑張って」の声や、沿道でのハイタッチなども広義で考えれば助力です(ちなみに医療スタッフや大会スタッフによる処置は助力になりません)。それもダメとなるとマラソン大会は成立しません。
私設エイドなんてもってのほかで、沿道でサロンパスを用意してくれている人たちは、マラソン競技として考えると「天使の顔した悪魔」ということになります(別に批判しているわけではありません)。「あと◯キロ!」とアドバイスする人も。
そこを正しく撮りしまうべきと言いたいのではなく、これから話すことを理解してもらうには、そういうルールがあるということを知っておいてもらいたかったのであえて説明しました。今回お話ししたいのは「見えない助力」についてです。

ランナーの間で繰り返し議論になるファイテンのチタンテープ。血流を促進させ、リラックス状態になる効果があるとされています。これを助力とするかどうか。少なくとも現在のルールでは助力になりません。でも、効果があるならこれは明らかな助力です。
これの面白いところは、医薬品医療機器等法(旧薬事法)により、そもそも効果を謳えないところにあります。効果はあっても効果をアピールできず、そしてそれは逆説的に「効果があるとは断定できない」ことを意味し、禁止する根拠がなくなるわけです。
禁止するとなると明確に「効果がある」ことを証明しなくてはいけませんが、少なくとも建前上はファイテンが肌に貼れるシールを売っているだけ。これをNGとすると絆創膏もNGとなります。ファイテンのチタンテープはあくまでも例のひとつで、そういうものはたくさんあります。
たとえばロキソニン。ドーピング違反にはなりませんが、痛みを和らげるので選手によっては明らかにタイムに影響が出ます。なぜいきなりそんな話を出したのかというと、ある企業からレビュー用に提供されたアイテムが、明らかに効果があったからです。
これは力を入れて紹介したくなり、愛媛マラソンで使ってレポートしようと思ったのですが、ここまで効果を感じたら「助力」なのではないかと。もちろんルールとしては違反ではありません。でも、それでアスリート枠を確保したとして、私はそれでいいのかと。
難しいのはフルマラソンで効果があるかどうかはわからないという点。だから使ってもアスリート枠を失う可能性もあります。ただ、確保したときに私はどんな顔をすればいいのだろうかと。でもインパクトのある紹介をしたい。そんなせめぎ合いか私の中で発生しています。
