平凡:誰よりも高く跳べ!

目の前にある仕事を着実にこなせばいい。

それがどれだけ積み上げられたとしても、僕は万能じゃないし、焦ったところで結果がいい方向に転ぶわけじゃない。そう思えるようになってから、仕事でストレスを感じなくなった。

そう話したら「それは成長を諦めただけ。誰よりも高く跳ぶ気持ちを忘れてはいけない」と彼が言う。ストレスを避けることは逃げであり、その先に成功はないという彼の言葉に、周りの誰もが同調し、とささに僕は見えない壁を構築した。

成長は選択肢のひとつ。別に否定したいわけじゃない。それでも、ピーマンやトマトが苦手な人がいるのと同じで、成長がなじまない人もいる。僕がそうなのかはわからない。そもそも成長否定の原理主義者でもない。

求められていることを完璧にこなすだけじゃなく、期待された以上の成果を残す。そのために努力もしてきたし、自分でアピールするようなことじゃないけど、スキルアップを怠ったこともない。

だからこそ、僕にはわかる。みんな騙されているのだと。

スキルアップなんて仕事をさせる側の都合でしかないし、彼らが望んでいるのは従順な奴隷。労働者の権利とかワークライフバランスとか、働く側に立っているように見せかけて、彼らは収益の最大化しか考えていない。

それが嫌なら、自分が経営者になるしかない。雇われている側は、どんな着飾らせてもらったところで、企業の儲けのしくみに利用されて搾取されているにすぎない。「奴隷」という言葉が「社員」に置き換わっただけ。

きっと僕はひねくれているのだろう。歯車になるには歪すぎたのか、もしくは素材の強度が高すぎたのか。周りに合わせる演技をしても、それが長く続くことはない。いつだって周りを傷つけてしまう。

かつて僕に備わっていた向上心は、「自分は違うのだ」という勘違いを生み、僕を孤立させた。その孤立はさらに僕を増長させ、僕はただそれに酔っていた。

特別な人間ではなかった。

それを受け入れたとき、重たい荷物を背負っていたんだと気づけた。もう遅いのかもしれないし、やり直すことなんてできやしない。それでも上を向くのではなく、目の前の現実とじっくり向き合おうと決心した。

僕は大谷翔平でもなければ芥川龍之介でもない。そして、満開の桜を見れる数に限りがあることを、嫌でも意識する年齢になった。新しいことへの挑戦よりも、積み重ねてきたものをどうやって誰かの役に立てるのか。

シューレースをしっかりと締め直し、その場で3回ほどジャンプした。かつてのように高くは跳べない。でも、全力でやりきった。僕のことなんか誰も見ていなかったけど。

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