
昨年の秋から熊の出没によるマラソン大会の中止について、そうなる可能性が高いとお伝えしてきました。小さな大会では実際に中止したり、参加を見送るランナーもちらほらありましたが、ついに大規模なマラソン大会でも中止が発表されました。
北海道で人気のマラソン大会のひとつ「千歳JAL国際マラソン」が、熊の出没リスクを考慮しての中止を発表。エントリー前ということもあり、返金などの問題は起きませんでしたが、原生林を走れるコースが売りの大会において、熊対策には限界があり、苦渋の決断だったことと思います。
今回は「千歳JAL国際マラソン」でしたが、今回の中止を受けて、北海道では相次いでマラソン大会の中止が発表される可能性があります。洞爺湖マラソンも自然豊かなコースが魅力ですので、当然ながら熊の出没リスクがあります。
他にもというか、札幌で開催されるマラソン大会以外は、基本的にどこが中止になってもおかしくありません。東北も同じで、私の肌感ではありますが、本当にどこから熊が出てもおかしくない状態にあるため、本来ならマラソン大会どころではありません。
ただ、難しいのが中止にしたところで、いつ再開できるのかまったく見通しが立たないということです。熊による被害が目に見えて減ってきたら、安全と判断することになりますが、いつそうなるのかがまったくわかりません。1年間大丈夫でも、翌年が大丈夫という保証もありません。
何らかの対策を行った結果、2〜3年ほど熊害が目に見えて減る。これくらいの状態でないと、マラソン大会の再開はできないわけです。いくら要望があったとしても、安全よりも優先させるべきことはひとつもありませんので。

もちろん、中止にするという判断を批判するつもりはありません。そこはもう尊重するしか選択肢はありません。参加して自分が被害者にならない根拠もなく、自分が被害に合うのはまだいいのですが、それにより多くの人に迷惑をかけることになるので、開催しないという判断には同意しかありません。
そして、そのような状況になっているということは、気軽に旅ランをできないことを意味しています。少なくとも東北と北海道は、1人で野宿しながら旅ランなんて絶対にできません。しばらく旅ランをしていませんが、やるとなると拓けた場所を走ることになります。
そういう意味では、本州横断はあのタイミングで開催できて幸運でした。思いついたのが昨年だったとしたら、当然ながら実施できませんでした。中山道ランも同じで、どう考えても今すべきことではありません。そして、ここから数年はできません。
ランナーとして私に残されている時間には限りがあり、もっと走りたい大会もあれば、走りたい道もあります。それがまたパンデミックの頃のように制限されてしまう。ランナーは自分の足でどこにでも走っていけるのに、自由の翼を奪われたようなもの。
思った以上に個人的にはダメージを受けています。「千歳JAL国際マラソン」に参加する予定はありませんでしたが、これからのことを考えると、ただただ憂鬱になります。でも、それもひとつの経験。走れないなら何をするかを自分なりに考え、その先に楽しさを見つけるしかありません。
その結果、これまでとは違ったランニングとの向き合い方ができるようになるはずです。パンデミックにより国内の魅力に気づいたように、熊害によって何か別の魅力を知るチャンスと考える。まだそこまでポジティブにはなれませんが、数年後に「これはこれで良かったかも」と思える自分を目指したいところです。
