マラソンは減点方式のスポーツ

マラソンは積み重ねのスポーツだと思っていたのですが、実は間違っているのではないかという考えが、かすみがうらマラソンで多くのランナーの走りを見ていたら浮かんできました。体づくりの段階は確かに積み重ねが必要なのですが、レースはちょっと違うかなと。

おそらくマラソン大会でタイムを狙うときは、積み重ねではなく減点方式。たとえば私がこれから愛媛マラソンに挑む上で、出せるタイムの上限はすでに決まっています。それに対して、やらなかったことが減点されていき、当日のタイムが決まります。

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最も重要なのは体重

Sブロックの上位のランナーに共通していたもの。それはとてつもなく細いということです。私はこれまでマラソンで大事なのは体重と言ってきましたし、間違っているとも思いません。ただ優先順位がどこにあるかはあまり意識していませんでした。

今回確信したのは、優先順位は体重です。まず、しっかりと絞ったランナーが通過していき、その後から徐々に絞りきれていないランナー、がっしりしたランナーが続きます。もちろん個人差はあります。傾向としてそうなっているという話です。

どこまで絞ればいいかは人によって異なりますが、減点されない体重が標準体重の80%でしょうか。そこまで落とせば自分の持っているポテンシャルの部分から、体重に関しては減点されずに済むのではないかというのが私の推測です。

しつこいようですが、個人差はあります。でも標準体重の90%だと絞りきれてないというのが私の実感でもあります。

軽いことが大前提で出力の高さも必要

マラソンのスピードは体重と出力で決まります。軽ければ軽いほど早くなり、出力が高ければ高いほど最高速度が上がります。これは物理の法則ですので、スピリチュアルな世界の住民でもない限り、否定する人はいないと思います。

なので軽いだけではいけません。ある程度の出力も必要。それはただ細いだけの人は、がっしりした人、絞りきれてない人よりも後方グループに集中しており、女性のトップランナーもその位置にいることから明らかです。かつて早かったであろう50〜60代のランナーを見ていてもわかります。

ですので、ベースとなる出力を上げていないというのも減点対象になります。筋トレをしたからプラスになるのではなく、筋トレをしてない分がマイナスになる。同じことのように思えますが、これは似て非なるものです。積み重ねがすべてなら、ムキムキマッチョマンがマラソンを制します。

現実は軽いランナーが速いわけです。筋肉は重要ですが、ある程度のスピードを無理なく出せる程度で構いません。別に100mを9秒台で走れるだけの出力は必要ないわけです。

食生活や走行距離も減点対象

減点方式で自分が出せる上限は決まっているとお伝えしましたが、この上限がいわゆる才能の差だと思います。RPGではないので、ステータスを見れるわけではありませんが、私はどうあがいても2時間10分以内にフルマラソンを走ることはできません。

減点を一切されなかったとして、おそらく2時間30分くらいが上限です。そして2時間30分を出すには、人生のすべてをマラソンに注ぎ込む必要があります。完全に計算された食事と、最適なトレーニング。それがあって初めて2時間30分を出せます。

そのためにはお酒も呑まず、栄養バランスを考えた食事にこだわり、1週間に160km走る必要があります。160kmが150kmになれば減点です。お酒を1回飲んだら減点。そうやって日常生活やトレーニングを完璧にこなして、初めて自分のすべてを引き出せます。

マラソンを積み重ねだとすれば、お酒を飲んでもそれを上回るトレーニングをすればチャラにできてしまいます。もちろんそんなわけはありません。きちんとやるべきことをやらなかった分だけ減点されていくのがマラソンです。

もちろん当日のレースプランも減点対象で、レース中に自分をきちんとコントロールできなくなっても減点です。シューズのフィッティングが甘いというのも減点。正解から外れれば外れるほどタイムが悪くなる。難しいのは正解が何なのか誰も教えてくれないということです。

体づくりは積み重ね

最初に体づくりは積み重ねとお話ししましたが、走れる体を作るまではもちろん積み重ねがすべてです。具体的には、1週間に160kmを当たり前のように走れるようになるまで。そこまではとにかく積み重ねていくしかありません。

1週間に160kmも走れないという人がほとんどかと思います。別に走れる必要なんてありません。ただ、それくらい走らないと、減点されてタイムが落ちるというのはすでにお伝えしたとおりです。そこをどう受け止めるかはランナーごとに違います。

ただ160km走らないと体重を落とすために無理な減量が必要になります。毛細血管を拡張しきれません。マラソンは42kmを走るというどう考えても体に悪いスポーツをするわけです、それに見合うだけの距離を踏んでいないと、自分のポテンシャルは引き出せません。

最近パーソナルトレーニングで教えている「体重を足に乗せる」感覚も、積み重ねていくしかありませんし、積み重ねれば積み重ねるほど良くなっていきます。体幹を整えるトレーニングもそうです。とにかく回数を増やして感覚を掴むしかありません。

これらは筋トレと違ってやり過ぎて困ることはありません。むしろ、ここでの積み重ねが自分の上限を引き上げてくれます。私の上限が2時間30分だとして、これらのトレーニングをすることで2時間25分が上限になることもあります。

だからまず体づくりから始める必要があるわけです。まず数年かけて体をつくり、そこからレースに向けて必要なトレーニング、適切な生活を繰り返す。レースでも減点にならないように、正しい判断をしていく。そうやって記録は生まれるわけです。

積み重ねだと思うからサボってしまう

減点方式と積み重ねで最も違うことは、積み重ねだと考えると「やらなければ現状維持」だと思ってしまうことにあります。体重を落とすことが大事だとわかっていても、積み重ねだと考えると「そこまでしなくていいか」と、自分に甘くなります。

でも、減点方式だと考えると、やらなかった分はすべて手からこぼれ落ちていく。人間は不思議なもので、手に入れてないものを諦めるのは得意で、手にしたものを失うのは苦手。だから、減点方式と考えるほうが自分に甘くならずに済むわけです。

みんながみんなそういうわけではなく、人によっては積み重ねだというほうが頑張れるかもしれません。あくまでも私にとってのマラソンとの向き合い方の話です。ただ、レースで後悔しないためには必要な考え方かなと思ったので書いておきました。

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