第14回 渋谷・表参道 Women’s Runの取材をしてきました。RUNNING STREET 365としてメディア登録しての取材で、階段マラソンを除き、メディアとして取材するのは大阪マラソンに次いで2回目になります。8年以上も運営してきて、ようやく大会側にもメディアとして認識してもらえるようになりました。
メーカーからは1年目ですでに取材依頼をいただいていたのは、8年前ですとRUNNING STREET 365のようなサイトは他になかったから、少しだけ目立っていたのかもしれません。今はランニングの情報発信をしているサイトも増え、何よりもYouTuberという存在がいるので、あのタイミングでスタートしたのは幸運としか言えません。
渋谷・表参道 Women’s Runには大会デビュー枠というものがあり、今回は5000人の参加者のうち、1000人が初マラソンとなります。そういう人たちを見ていると、自分がマラソンデビューしたときのことを思い出しました。私のマラソンデビューは、2006年10月29日に開催された「2006あつぎマラソン」です。
あつぎマラソンの種目は10kmとハーフマラソンがあるのですが、エントリーした種目は渋谷・表参道 Women’s Runでマラソンデビューした人たちと同じ10kmです。初マラソンは45分37秒という平凡なタイムでしたが、ここから40分を切るまでに3年かかりました。
出場したきっかけは大学時代の同級生が誘ってくれたから。当時はフットサルもやめており、スポーツはほとんど何もしていなくて増えていく体重が気になっていたところでした。渡りに船とはまさにこのことで、もちろんふたつ返事でOKして練習を始めたわけです。
長距離には少しだけ自信があったというのもあります。中学生のときの持久走では学年トップクラスの成績でしたし、サッカー部時代は高校も大学も持久力を強みにしていました。だから10kmくらい何とか走れるどころか、そこそこの順位に入れるのでは?と密かに思ってもいました。
ところが実際に練習で走り始めてみると、5kmもまともに走ることができません。そもそも1kmをどれくらいのペースで走ればいいのかすらわかっていませんでした。調べるにしても今ほどインターネット上にランニングの情報がない時代。
とりあえずキロ3分で走ればフルマラソンの世界記録を出せることは知っていたので、私はキロ3分に可能な限り近づくことを目標としました。今でも目指すべきペースをキロ3分としているのですが、それはこの当時のことがすり込みされているためです。
もちろん昔も今もキロ3分で走れるわけがないのですが、だからこそ当時は不安になってしまいました。練習を積んで10kmを走れるようになっても「レースは別物」という考えがあり、あまりにも不安になって大会前にコースの下見ということで1度走りに行ったことを昨日のことのように覚えています。
スタートラインで心臓が飛び出るかと思うほどドキドキしたことも、渋谷・表参道 Women’s Runのスタートエリアでカメラを構えながら思い出しました。そして、ここにいる1000人の大会デビュー枠参加者も、そう遠くないうちにドキドキしなくなるんだろうなとも。
マラソンは不思議なスポーツで、どれだけ頑張っても「よくやった」にたどり着けません。自己ベストを更新したところで、フィニッシュラインを超えて1時間もすれば「もっとできたはず」となります。私の場合はキロ3分が頭の片隅にずっとあるため、どんなタイムで完走しても満足することがありません。
だから「2025年の愛媛マラソンを集大成にする」としていますが、走り終えたらまた考えが変わる可能性もあります。マラソンのある生活は終わりなき旅のようなもの。取材した渋谷・表参道 Women’s Runでは1000人のランナーが旅立ちましたが、5年後10年後の彼女たちに「あの日、どんな気持ちだった?」と聞いてみたいものです。