マラソンが速くなるための理論をまとめてみた:ランニングを科学する

伊豆高原から戻ってきて、ランニングのトレーナー依頼が増えてきたので、このあたりで自分の考え方や理論をまとめておこうと思います。文字にして書き出さないと感覚だよりのトレーニングになってしまいますし、口を開くたびに違うことを言ってしまいそうなので。

いずれまた考え方は変わるとは思いますので、枝葉末節の部分には触れず、原理原則のところだけになりますが、できるだけ感覚ではなく理屈や理論を使って説明していくので、「走るってなんだろう?」を知りたい人はぜひ参考にしてください。

目次

ランナーの持つ最高速度を決めるのは筋力と体重

まずはランナーそれぞれが持つ最高速度について説明します。ランナーにはそれぞれ、自分で出せる最高速度(ペースではない)というものがあります。100mを9秒台で走れる人もいれば、15秒かかる人もいて、それを決めるのは、その人の筋力と体重です。

これは運動エネルギーの公式「F=1/2・m・v2」で示されます。これを変換すると「v=√2F/m」になります。Fが運動エネルギーですが、これは足の出力だと考えてください。足の出力が大きければ大きいほど速度vは大きくなり、重さ(体重)mが大きくなればなるほどvは小さくなります。

これにより筋力が高くて、体重が軽い人ほど最高速度が速くなることがわかります。ただこの2つは矛盾を含んでいます。なぜなら筋力は体重が重たいほど大きくなるわけで、速く走るために体重を落とすと、筋力(出力)は落ちてしまいます。

筋力が有効だというなら、マラソンランナーはみんな100kg超えのムキムキマッチョばかりになってもおかしくないはずです。確かに最高速度だけを考えると体重よりも筋力のほうが優先されます。実際にオリンピックの100m走でガリガリのランナーはほとんどいません。

ただ、それは無酸素運動の範囲のことで、無酸素運動の範囲では重さはパワーで打ち消すことができるのですが、マラソンのような有酸素運動の範囲ではフル出力をするわけではないので、重さはマイナス要因にしかなりません。だからマラソンランナーは軽さが重要になってきます。

身も蓋もないことを言えば、マラソンのタイムは体重で決まります。速く走りたいなら痩せるのが1番手っ取り早い方法です。

体重を落とすために1週間で160kmを走る

マラソンにおいては体重がすべてと言っても過言ではありません。これを言い過ぎると女性ランナーのコンディション問題などが浮かび上がってくるので、あまり大きな声では言えないのですが、少なくともサブ3を狙うレベルのいわゆるシリアスランナーのレベルであれば「軽さは正義」です。

これもいつも言っていることですが、本気で戦いたいなら標準体重の90%がひとつの目安で、自分のポテンシャルを限界まで引き出したいなら標準体重の80%を目指す必要があります。ただ、これは「食べないで痩せる」であってはいけません。

食べ過ぎないように注意することはありですが、基本的には「走って痩せる」が理想です。標準体重の80%を狙うなら1週間の走行距離は160kmくらい必要になってきます。月間走行距離が長いほどマラソンのタイムが速くなるというのは、様々な論文が出されていますが、その理由のひとつが「走ったら体重が軽くなる」ことにあります。

だから私は月間走行距離は「本気度」だと思っています。別に月間走行距離が100km以下でもいいんです。ただ、それがその人の本気度。優先順位と言い換えても構いません。本気で取り組む気持ちがあるなら、痩せるくらい走る必要があります。

ちなみに月間走行距離が300kmでサブ3みたいな人もいますが、そんな人の多くが標準体重よりも遥かに軽く、痩せるために走る必要のない人がほとんどです。別に走らなくても痩せているなら、1週間で160kmも走らなくても問題ありません。ただ、それを10年続ければ体重が増えてきて、いつの間にか走れない人になっています。

出力をいかに効率よく走りにつなげるか

体重がマラソンのタイムに影響することは理解できたかと思いますが、出力(筋力)ももちろん、マラソンのタイムに影響します。ただ、最高速度は筋力で決まるので、まず筋力を高める必要があります。特に40代以降は筋力が顕著に落ちてくるので、筋トレをしないと若い頃のようには走れなくなります。

そして次に大事なのがロスを防ぐということです。100の出力を出せる人でも、その100をそのまま推進力に使えるわけではありません。たとえば重心の前方で踵着地をすると、走りにブレーキが掛かるので推進力に使えるのが90とかになってしまいます。

これをいかにして落とさないかというのがランニングフォームの話になります。ただランニングフォームをいじったところで、そもそもの本人が持つ最大速度を超えるスピードを出せるようになるわけではありません。フォームをいじったところで100が110にはなりません。

だからほとんどの人がランニングフォームをいじるよりも、筋トレをするほうが好タイムにつながります。マラソントレーニングで多くの人が勘違いしているのが、みんなこの効率化の部分ばかり考えて、ベースアップ(そして減量)をないがしろにしているということです。

ランニングフォームをいじることが意味がないとは言いません。でも先にやることがあるという話です。そして、そのランニングフォームですが、ここで大事なのが自分のイメージ通りに体を動かせるようになるということです。自分の体を自分でコントロールできるようになることが、最適なフォームを定着させるためのベースになります。

自分で自分の走りをコントロールできないのに、細かい変更を加えたところで再現性もなく、いつまで経っても成長しません。ただそこまで必要となるのは、かなりトップレベルのランナーくらいです。ほとんどの人はベースづくりと減量さえ真剣に取り組めば、大抵の目標は達成できてしまいます。

まとめ

定期的に自分の頭の中を書き出しているのですが、まだまだ言語化できていないことが多々あるような気がします。ただ現時点で速くなるために何が必要かを言語化したのがこのブログになります。うまく言語化できているかはわかりませんが、一応重要なことを書いておきます。

  • マラソンで1番大事なのは体重
  • 体重が落ちるまで距離を積む
  • ランニングフォームよりもベースとなる出力を上げることが大事

効率よく走るという部分に関しては、またいずれ言語化が必要になったときにアウトプットします。とにかく大事なのはベースづくりで、私はまさに今それをやっています。体重を落として標準体重の90%になるまで距離を積む。効率よく走るとか、心肺機能向上なんていうのは次のステップです。

秋マラソンで結果を出したい人は、6月末までがカラダづくりの期間で体重を落とすべき期間です。妥協することなく距離を積んで、走れるベースをしっかり整えましょう。

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